カルダノは、2023年6月30日現在で時価総額7位の暗号資産(仮想通貨)です。2015年に発足したプロジェクトから誕生した暗号資産であり、現在は「カルダノ財団」「IOG(IOHK)」「Emurgo」3つの団体によって開発、運用が行われています。
カルダノは日本ではよく名を知られた存在です。日本でも行われたプレセールの時は、当初「0.22円〜0.28円」ほどで売り出された後、数年の時を経て人気が上昇し、2021年9月には最高値「323円」と1,000倍以上の伸びを記録しました。
最低購入単価が一口1,000ドル(当時約11万円)でしたので、プレセールに参加し高値で売れていれば億単位の利益を出せていたことになります。当時の値上がりを覚えている人も多く、日本人には人気のある銘柄です。
本記事では、カルダノの歴史や特徴、将来性について詳しく解説していきます。
この記事の構成
カルダノとエイダコインという名称について
カルダノとはブロックチェーンもしくはオンラインカジノの名称、エイダコインとはカルダノで利用できる暗号資産のことをいいます。本来であれば、エイダもしくはエイダコインと呼ぶのが正しいですが、混合して使われています。
SBI VCトレードやGMOコインなどの取引所、また暗号資産に関する価格情報を扱うCoinMarketCapでは「カルダノ」の名称を採用しているようです。この記事でも、それらの媒体に倣ってカルダノで記載していきます。
カルダノ(ADA)の誕生〜現在までの歴史
引用:https://roadmap.cardano.org/en/
ここでは、カルダノの誕生から現在までの歴史を紹介していきます。
創設者
カルダノの創設者は、天才数学者と呼ばれるチャールズ・ホスキンソン氏です。プロジェクト自体は2015年頃に発足し、2017年9月にカルダノ財団とIOHKによって暗号資産カルダノがリリースされました。
ホスキンソン氏は、もともとイーサリアムの共同設立者の一人でしたが、開発チーム内の内紛や方向性の違いにより半年ほどで脱退しています。その後、大阪でイーサリアム財団で一緒に仕事をしていたジェレミー・ウッド氏と合流し、ビジネスアイディアを話し合う中で、カルダノが誕生しました。
運営チーム
カルダノの運営に携わるチームには「カルダノ財団」「IOG」「Emurgo」の3つがあります。カルダノ財団とはスイスに拠点を置き法規制への対応を行う団体、IOGとはカルダノブロックチェーンの開発を進める会社のことです。
Emurgoは、カルダノのブロックチェーンを用いて開発を行うスタートアップに対して投資や支援を行います。
出資者
カルダノは、2015年から2017年初めの間に当時としては珍しかったICOを実施しました。プレセールは全部で4回行われ、総額6,200万ドル(約69億円)を集めましたが、内94%が日本人からの出資でした。
その後、カルダノのリリース延期があったものの、2017年9月無事にリリースされ、今では国内・海外問わず数多くの取引所で取り扱いがあります。
カルダノの目的
カルダノは「教育」「医療」「農業」「政府」など、さまざまなユースケースに利用できることを目的としています。オンラインカジノのカルダノのイメージが先行していますが、オンライン決済のAdaPayやメタバースのPavia(パヴィア)、ブロックチェーンをHIV・AIDS治療成果研究に活用するなど、実績は豊富です。
今後もアップデートを予定しており、カルダノのブロックチェーンを通じてさまざまな課題を解決していくことが期待されています。
カルダノ(ADA)の技術的特徴
次に、カルダノの技術的な特徴を挙げていきます。
開発には5つのフェーズがある
カルダノは開発フェーズを「Byron(バイロン)」「Shelley(シェリー)」「Goguen(ゴーグエン)」「Basho(バショウ)」「Voltaire(ボルテール)」の5つに分けています。
それぞれ以下の目的があります。
名前 | 目的 |
Byron(バイロン) | Foundation(財団) |
Shelley(シェリー) | Decentralization(分散化) |
Goguen(ゴーグエン) | Smart Contracts(スマートコントラクト) |
Basho(バショウ) | Scaling(スケーリング、拡大) |
Voltaire(ボルテール) | Governance(ガバナンス、統制) |
現在はスケーリング、拡大を目的とするBasho(バショウ)のフェーズです。
Voltaire(ボルテール)のフェーズでは、開発の方針を決める投票システムとブロックチェーンの財務システムが整備される予定です。そして、すべてのフェーズが完了した後にはカルダノ財団やIOGの手から離れ、コミュニティに運営が引き継がれることになります。
レイヤー2ソリューション「Hydra」で取引処理能力が大幅に向上
2020年3月、レイヤー2ソリューションの「Hydra(ヒュドラ)」をリリースし、ネットワークの取引処理能力が大幅に上昇しました。レイヤー2ソリューションとは、メインとなるブロックチェーンの外部(オフチェーン)で取引の処理を行う技術のことです。
Hydraによって、理論上1秒あたり100万件の処理を行うことが可能になり、能力としてはクレジットカードのVISAを超えることも期待されています。
また、HydraによってDAppsの開発を行う基盤が完成し、ブロックチェーンとしての汎用性が大幅に広がる契機にもなりました。
他の暗号資産に先駆けてPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用
今では当たり前となった承認方式「PoS」は、2020年7月にカルダノが他の暗号資産に先駆けて導入しました。当時はビットコインにも採用されている「PoW(プルーフ・オブ・ワークス)」が主流でしたが、膨大な電力を消費することによるコストの増加や、環境問題への懸念が指摘されていました。
そうした中で、カルダノは2020年7月末に実施されたアップグレードで、ステーキング機能が実装されました。ステーキングはヨロイウォレットやダイダロスウォレットなどの専用ウォレットや取引所を通じて行うことができます。
カルダノのステーキングは、ウォレットや口座に入れたままで報酬の獲得が可能です。ロックアップ期間もなく、ステーキング中はいつでも自由に入出金できます。
独自の承認アルゴリズム「Ouroboros(ウロボロス)」
Ouroborosとは、PoSを採用しているカルダノ独自の承認アルゴリズムのことです。数学的な理論や組み合わせ論を元にして作られており、ブロックチェーン業界で初めてピアレビュー(専門家たちによって精査されること)を受け誕生しました。
OuroborosによるPoSでは、不特定多数の参加者によって構成されるステークプールで運営が行われます。そして、自分の保有量に応じたネットワーク量によってブロックの生成が行われ、配当が獲得できる仕組みです。
Ouroborosはマイナー選定時のランダム性を高め、新しいブロックが生み出される際の承認が公平に行われます。
スマートコントラクトが実装され、DAppsの開発が可能に
カルダノは、2021年9月にスマートコントラクト「Plutus(プルータス)」を実装しました。Plutusが実装されたことに伴い、暗号資産を担保にして法定通貨を借りられるDeFiの銀行サービスMELDや、DEXの設立を目指すAdaSwap、メタバースのEIKONIKOSやPaviaなど、さまざまなサービスが続々とリリースされています。
中でも、AdaSwapは2022年3月に260万ドル(約3億円)の出資を受けたとして話題になりました。2023年に入ってからも順調に開発が進んでおり、カルダノは幅広い分野への広がりを見せています。
カルダノ(ADA)の将来性
ここでは、カルダノに関する展望や、現時点で見えている懸念事項を挙げていきます。
決済手段として普及
カルダノは複数のオンラインカジノを始め、東京の大手町で隔週土曜日にオープンする「Cardano Cafe(カルダノカフェ)」で利用できます。
現時点で決済手段として普及しているとはいえず、用途は限られます。2019年3月にリリースされたAdapayもその後のアップデート情報は乏しく、2023年6月時点では国内の数店舗で利用できるのみです。
決済手段として確立するには、価格の安定は必須と考えられます。店舗側も暗号資産を受け取って法定通貨に両替するまでに価格が暴落してしまったら、とても採算が合わないでしょう。
今後普及する余地はありますが、現在の長い下落トレンドが続いている中では厳しく、店舗側も導入に前向きにならないはずです。再びカルダノの価格が上昇基調になってきた時に期待しましょう。
今後もブロックチェーンの能力が拡大する
カルダノの開発は、現在ブロックチェーンの拡大を目的とする「Basho(バショウ)」のフェーズです。すでに多くのDAppsの開発が進んでおり、今後もメタバースやNFT、DeFiなどさまざまな分野での発展が期待されています。
今後もアップグレードが予定されていると考えられますが、公式による詳細のスケジュールは確認できませんでした。次回のアップグレードについては創設者のチャールズ・ホスキンソン氏やカルダノコミュニティのツイッターアカウントをフォローしておくと、最新の情報を得ることができるかもしれません。
SEC(米国証券取引委員会)はカルダノを証券と指摘
2023年6月、SECはカルダノ含む48種類の暗号資産を有価証券と指摘し、許可を得て販売を行っていなかったとして訴訟を起こしました。これに伴いカルダノは1週間ほどで「1ADA=53円→33円」の40%近い下落を記録しています。
訴訟を受けて、IOGは「ブロックチェーンは十分に分散化されており、いかなる状況においても、ADAは米国証券法上の有価証券には該当しない」と主張しています。まだ判決は出ていませんが、今後有価証券と認定された場合には取引所での扱いが変わり、価格に大きな影響が出てくる可能性があるでしょう。
カルダノ(ADA)の時価総額推移
カルダノの流通量と時価総額推移、現在のチャートを見ていきましょう。
流通量と発行上限数
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/cardano/
カルダノは発行上限枚数450億ADAのうち、349億4,570万3,034ADAが発行済みです。
カルダノの取引承認方法はPoSであり、総供給量の4分の3がステーキングされています。多くの保有者がウォレットや取引所を通じて運用していると考えられます。
リアルタイムチャート
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/cardano/
カルダノは、2021年のDeFi、NFTブームで大きく注目された暗号資産の一つといってもいいでしょう。
2020年末は「1ADA=18円」ほどでしたが、2021年9月には「1ADA=323円」にまで到達しました。約18倍の伸びはビットコインやイーサリアムを大きく上回る数字でした。
しかし、その後は大きく下落し、現在は「1ADA=40円前後」を推移していて、上昇への兆しが見えない状況です。2022年12月に記録した安値「1ADA=32円」を割ってしまうと、20円台に到達する日も遠くないでしょう。
単体時価総額推移グラフ
引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/cardano/
時価総額は「単価×発行済み枚数」で求められ、基本的に価格と同じようなグラフを描くことが多いです。カルダノのグラフも例に漏れず、価格と同様の形を形成しています。
カルダノにはバーン(市場から消失させること)に否定的なのでその機能を実装していないため、基本的に発行済み枚数は右肩上がりで増えていきます。現在の時価総額は7位ですが、他の暗号資産の価格推移によっては、大きく順位が入れ変わる可能性もあるでしょう。
他の上位銘柄との時価総額比較
ここでは、カルダノと他の上位銘柄の時価総額推移と、過去の順位変動を紹介していきます。
時価総額推移グラフ
以下は、2022年末時点で時価総額TOP10に入っていた銘柄の、過去10年間の時価総額をグラフ化したものです。
対象銘柄
- ビットコイン(BTC)
- イーサリアム(ETH)
- テザー(USDT)
- USDコイン(USDC)
- バイナンスコイン(BNB)
- リップル(XRP)
- バイナンスUSD(BUSD)
- ドージコイン(DOGE)
- カルダノ(ADA)
- ポリゴン(MATIC)
上記のグラフではビットコインとイーサリアム以外の推移がわかりづらいので、3位以下の銘柄を拡大します。
カルダノは2020年から3年続けてランクインしています。2021年は価格が急上昇したこともあり、リップルを超える時価総額6位を記録しました。
2023年6月30日現在は時価総額7位です。カルダノが他の銘柄よりも強く価格が下落している中では、健闘しているといえるのではないでしょうか。
時価総額順位推移一覧表
以下は、過去10年間の時価総額TOP10の一覧表です。
カルダノは2017年に5位となってから2年間はTOP10外でしたが、2020年から復帰しました。今は7位で十分に上位を狙える位置にはいるものの、6位のリップルの時価総額約3兆5,000億円に対してカルダノは約1兆4,000億円ほどと、2倍以上の開きがあります。
この差を埋めるためには、機関投資家やベンチャーキャピタルによる大きな資金の流入が求められるでしょう。
カルダノ(ADA)を取扱っている暗号資産取引所
最後に、カルダノを取り扱う取引所や保管方法を紹介していきます。
カルダノ(ADA)の取扱いがある国内取引所
カルダノの取り扱いがある主な取引所は以下の通りです。
- GMOコイン
- SBI VC トレード
- ビットポイント
- ビットバンク
- オーケーコインジャパン
カルダノは数年前まで海外取引所でしか買えませんでしたが、2022年頃から取り扱う国内取引所も徐々に増えてきています。
GMOコインやSBI VC トレード、ビットポイントではステーキングにも対応しています。購入して持っているだけで配当がもらえるので、長期で保有する予定の人はぜひ利用してみてください。
カルダノ(ADA)の取扱いがある海外取引所
カルダノは、多くの海外取引所で取り扱いがあります。
取引高トップ10に入る以下の取引所では、カルダノの売買が可能です。
- バイナンス
- コインベース
- クラーケン
- クーコイン
- バイビット
- OKX
- ビットフィネックス
海外取引所は取り扱い銘柄も多く、ステーキングや先物取引などのサービスが充実しています。一方で、金融庁からも警告が出ていることに加え、2022年11月には当時取引高3位のFTXが破綻しユーザーの資金返済の目処が立っていないなど、昨今は利用に際してのリスクが高くなっています。
海外取引所は、自己責任で利用するようにしてください。
カルダノ(ADA)の取得・購入および保管方法
カルダノの取得や購入には、以下の方法があります。
- 暗号資産取引所やDeFiのプラットフォームで購入
- ステーキングで配当をもらう
- レンディングで配当をもらう
また、保管方法は以下の通りです。
- 取引所で保管
- ヨロイウォレットやダイダロスウォレットで保管
- セーフパルなどのソフトウェアウォレットで保管
- トレザーやレジャーナノなどのハードウェアウォレットで保管
- ペーパーウォレットで保管
ハードウェアウォレットは、インターネットと切り離されたところで保管できるのでセキュリティ面で優れていますが、1万5千円〜の費用がかかります。予算とセキュリティを鑑みて、ご自身に合う方法で保管するようにしてください。
カルダノ(ADA)の今後の展望まとめ
カルダノは、日本ともつながりのある暗号資産で、プレセールに参加した中から多くの「億り人」を輩出しました。2017年9月にリリースされ、2020年末から2021年の9月までは大きく上昇したものの、現在は大きく値を下げています。
2023年に入ってからは暗号資産市場全体が上向きになってきていますが、カルダノはその流れに乗れておらず出遅れています。
ブロックチェーンとしては高い性能を持っているだけに、将来的な需要拡大の余地は十分にあるでしょう。現在開発が進んでいるDAppsやブロックチェーンを活用した事例に、今後の期待が集まります。