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【時価総額TOP20】Solana(SOL)について徹底解説

解説系記事

Solana(SOL)はスケーラビリティや手数料の安さに定評があるブロックチェーンです。

暗号資産(仮想通貨)の価格追跡サイトCoinMarketCapにおけるSolanaの時価総額は、2023年7月中旬時点で世界TOP10に入っています。

2020年3月にローンチした後、2021年に暗号資産市場が過去最大の盛り上がりを見せた局面で特に時価総額を伸ばした銘柄でもあります。

この記事ではSolanaの基本的な特徴を理解した上で、ここ数年で急速に存在感を高めた理由や将来性について解説します。

SolanaとSOLの違い

引用元:Solana

詳細な解説の前に、SolanaとSOLの表記が持つ意味の違いについて確認しておきます。

個々の暗号資産の呼称において「ブロックチェーン技術」そのものを指す言葉と、当該ブロックチェーンを技術的な基盤とした「通貨」を指す言葉が混在していることが多く見られます。

SolanaとSOLについても、まずはその違いを理解しておきましょう。

Solanaについて

Solanaは、ブロックチェーンベースのプラットフォームそのものを指します。

トランザクション処理の速さと手数料の安さを強みとし、dApps開発に適した環境を提供しています。

高速処理性能の実現にあたってはレイヤー2やサイドチェーンといった技術を必要としておらず、「高速処理が可能なレイヤー1」としてローンチ直後から注目を集めました。

SOLについて

SOLは、通貨単位や取引における通貨記号として使用される表記です。

SOL建ての金額を表示する際や、取引所での取引ペア表示に使われます。

例えば「1SOL」や「SOL/USD」のように用いられます。

まとめると「Solana」はブロックチェーンそのものや暗号資産を総体的に指す名称であるのに対して、「SOL」は通貨単位や取引記号として使用されます。

この両者は厳密には文脈に応じて使い分けることが望ましく、したがって本記事でもこの2つの用語は区別して用いることとします。

Solanaの誕生〜現在までの歴史

引用元:Solana

Solanaは2017年、エンジニアのAnatoly Yakovenko氏が中心となって立ち上げたSolana Labsというプロジェクトによって開発が始まりました。

創設者

Solanaの開発の中心人物は、Anatoly Yakovenko氏以外にもGreg Fitzgerald氏、Raj Gokal氏、Stephen Akridge氏らがいます。

Solanaの基盤となるProof of History(PoH)と呼ばれるコンセンサス・アルゴリズムは、Anatoly Yakovenko氏の開発によるものです。

Anatoly Yakovenko氏は、Solana Labsを立ち上げる前に勤めたQualcomm社やDropbox社で分散型システムを開発した経験がありました。

その時の経験が、Solanaの「高速処理・低コスト」という特徴の実現に生かされています。

運営チーム

Solanaは現在、スイスのジュネーブに本部を置く非営利団体のSolana財団(Solana Foundation)によって管理されています。

Solana財団は、Solanaエコシステムの拡大と発展を支援し、分散型技術の普及促進を目指して設立された組織です。

Solanaを立ち上げたSolana Labsは、Solanaのプロトコルに関するIPと多額のSOLをSolana財団に譲渡しています。

Solana財団のメンバーには創設者であるAnatoly Yakovenko氏の他、同じく創設期から関わっているRaj Gokal氏も名を連ねており、設立当初から掲げているビジョンを今も保持しながら開発を進めています。

出資者

Solanaが受けた出資の中で特に規模が大きかったものは、2021年に実施されたプライベートトークンセールによる資金調達です。

Andreessen Horowitz(a16z)とPolychain Capitalがラウンドを主導し、さらにAlameda ResearchやCoinShares、Multicoin Capitalらが出資に参加しました。

このトークンセールにおける調達額はおよそ3億1,400万ドル(約340億円)となり、ブロックチェーン・プロトコルの開発を目的とした資金調達としては過去最大級の規模になりました。

Solanaの目的

Solanaの目的は、従来のパブリックブロックチェーンが抱える「トランザクションの処理速度」や「取引コスト」の問題を解決し、その上で分散型アプリケーション(dApps)の開発ができる環境を提供することです。

一般的なパブリックブロックチェーンとして知られるBitcoinやEthereumは、分散性やセキュリティに強みがある一方で、スケーラビリティに大きな問題を抱えているとされています。

Bitcoinの秒間トランザクション処理数が約7件、Ethereumでも約15件とされる中、Solanaは約5万件のトランザクションを処理できる圧倒的なスケーラビリティを備えています。

取引手数料も非常に安く、ガス代の高騰が問題視されることが多いEthereumに比べてdApps開発が非常にしやすい環境が整っています。

Solanaの技術的特徴

引用元:Solana

ここからはSolanaの技術的な特徴について解説します。

Solanaと同じようにdAppsの開発環境を提供しているEthereumと比較すると、Solanaの特徴がより際立って見えます。

ここでは、Solanaを知る上で重要な要素として以下の項目について解説します。

  • 独自のブロックチェーンを持つ暗号資産である
  • Proof of History(PoH)
  • レイヤー2が不要
  • 処理速度が速く、取引コストが安い
  • SPL(Solana Program Library)規格

独自のブロックチェーンを持つ暗号資産である

Solanaは独自のブロックチェーンを持つ暗号資産です。

暗号資産の価格追跡サイトCoinMarketCapでは、各暗号資産は「コイン」と「トークン」の2種に大別されています。

それぞれの特徴を簡単にまとめると、コインは独自のブロックチェーンを持つ暗号資産であるのに対し、トークンは既存のブロックチェーン上で作成された暗号資産だと言えます。

代表的なコインにはBTC、ETH、XRPなどがあります。一方、代表的なトークンにはUSDT、USDCなどがあります。

USDTやUSDCは既存のブロックチェーンであるEthereumなどの規格を用いて運用されているトークンであり、いわば他のブロックチェーンを「間借り」している通貨だと言えます。

これに対してSolanaは独自のブロックチェーンを持っているため、通貨としての信頼度が高いと言えます。

Proof of History(PoH)

Solanaではコンセンサス・アルゴリズムとして一般的によく採用されるProof of Stake(PoS)に加え、Proof of History(PoH)と呼ばれる独自のシステムを採用しています。

そしてこのProof of Historyのおかげで、Solanaの高速処理が実現しています。

BitcoinやEthereumなど一般的なブロックチェーンにおいてノードが取引承認をする場合、「何番目のブロックを処理しているか」という情報を共通の時間概念として用いています。

前のブロックの生成が完了していない状態で次のブロックを作ることは出来ず、ゆえにノード同士が常に同期しながら処理を進めなければなりません。

そしてこの「同期処理」を余儀なくされる点こそが、既存のブロックチェーンの処理速度が遅い原因だとされてきました。

しかしSolanaでは、コンセンサスの処理自体はProof of Stakeによって行う一方で、Proof of Historyの仕組みによりコンセンサス処理の「外側」にも別の時間概念を持たせています。

つまり、ブロックを生成せずとも「コンセンサスの外側にある時計」によって各ノードが共通の時間概念を持つことができるため、前のブロックの生成を待たずに次のブロックを生成(=非同期処理)できるようになっています。

この「非同期処理」の実現こそが、秒間5万件というSolanaの高速処理につながっています。

レイヤー2が不要

Solanaは、他のレイヤー1ブロックチェーンによく見られるレイヤー2ソリューションを必要としていません。

レイヤー1はブロックチェーン上(オンチェーン)での取引、レイヤー2はブロックチェーン外(オフチェーン)での取引を指すものであり、多くのブロックチェーンでは取引の遅延や手数料高騰などの問題を解決するために、レイヤー2で取引を行っています。

しかしSolanaは、それ自体が「取引処理速度が非常に速く、取引手数料も安い」という特徴を持っているため、レイヤー2に頼ることなくSolanaチェーンのみで取引を完結できます。

トランザクションをオンチェーンで処理できるということは、ネットワークの透明性の高さにもつながり、この点もSolanaが有望とされる理由の1つになっています。

処理速度が速く、取引コストが安い

Proof of History(PoH)を採用していること、およびレイヤー2を必要としないことにより実現しているのが、Solanaの「処理速度の速さ」と「取引手数料の安さ」です。

すでに述べた通り、Bitcoinの秒間トランザクション処理数が約7件、Ethereumが約15件であるのに対し、Solanaは約5万件のトランザクションを処理できます。

取引手数料についてはBitcoinが約15ドル、Ethereumが約10〜20ドルとなっており、いずれも日本円にして2,000円前後の手数料がかかります。しかもこの金額は、ネットワークの混雑状況によって変動する可能性もあります。

これに対し、Solanaの取引手数料は常に0.000005SOLとなっており、1円未満の手数料で手軽に取引ができます。

SPL(Solana Program Library)規格

SPL(Solana Program Library)は、Solanaブロックチェーンと互換性を持つ暗号資産を作るための規格です。

SPLはEthereumにおけるERC-20と同じような役割を果たしており、さらにSPLトークンとERC-20トークンの間にも相互運用性を実現するためのブリッジが存在しています。

SPLを用いて発行されているトークンには、暗号資産取引において広く利用されているUSDTやUSDCなどのステーブルコインも含まれています。

Solanaの高速取引・低コストという特性も相まって、これらSPLをベースとしたトークンが、今後さらに決済やDeFiなどの領域で利用されることが期待されています。

Solanaが有望銘柄とされる理由

引用元:Solana

次に、Solanaが有望銘柄とされる理由について、ここまでに述べた技術的な特徴も踏まえて解説します。

幅広いジャンルにおけるdApps開発が可能

1点目は、幅広いジャンルにおけるdApps開発が可能である点があげられます。

処理速度が速く手数料が安いソラナは、dApps開発のプラットフォームとしてすでに広く利用されています。

今後さらにSolanaで開発・運営されるdAppsの数が増えれば、dApps上での決済やネットワーク手数料の支払いなどで使用されるSOLの需要も上昇し、トークン価格の上昇も含めてSolanaの価値が高まっていくことが考えられます。

Solanaを利用してサービスが提供されているdAppsには、2022年に流行したSTEPNや同じくMove to EarnのサービスとされるGenopets、NFTマーケットプレイスのOpenSeaやMagic Edenなどがあります。

多数の企業とパートナーシップを結んでいる

2点目は、ローンチからまだ3年程度であるにもかかわらず、Solanaが多数の企業とパートナーシップを結んでいる点です。

Solanaは現時点ですでに多種多様な企業やプロジェクトと提携を結んでいます。

Solanaとパートナーシップ関係にある組織には、以下のようなものがあります。

  • Serum
  • Chainlink
  • Tether
  • Circle
  • Brave
  • Google
  • Discord
  • Meta
  • Arweave
  • Akash Network

ブロックチェーンプラットフォーム、ステーブルコイン、DEX、NFTマーケットプレイスなどweb3の各種技術を開発している企業からGoogleやMetaといったWeb2.0を象徴する企業まで、様々な組織とパートナーシップを結んでいます。

また、2022年にはSolanaベースのNFTマーケットプレイスであるMagic Edenがweb3ゲームの投資部門を立ち上げていることから、高速処理・低コストという特性がゲームにマッチしやすいSolanaにおいても、今後はゲーム関連の提携がより増えていく可能性があります。

Solanaの時価総額推移

引用元:Solana

次に、市場におけるSolanaの立ち位置を数量的な面から把握していきます。

流通量と発行上限数

Solanaには発行数の上限がありません。

発行済の暗号資産のうち、市場で売買可能な状態にある数量を流通量と呼び、CoinMarketCapではこの流通量に暗号資産1単位あたりの価格を掛けることで時価総額を算出しています。

2023年7月中旬時点におけるSolanaの流通量は約5億5,000万SOL、時価総額は約1兆5,500億円で世界第7位です。

なお、Solanaがローンチした時点での流通量は約5億SOLでしたが、現在は約5億5,000万SOLまで増加しています。これはSolanaに発行上限がなく、時間の経過と共に流通量が増加していくためです。

しかし、流通量が増加し続けると、いずれ供給過多でSOLの価格は下落してしまいます。

そこでSolanaでは、インフレ率がローンチ当初の8%から徐々に低下していく仕組みをとっており、これにより毎年の通貨発行量を減少させることでSOLの価値が下落することを防いでいます。

リアルタイムチャート

以下のグラフは、Solanaのリアルタイムの価格推移を示したチャートです。

<Solanaの価格推移、対日本円>

引用元:CoinMarketCap

直近では、暗号資産市場全体がDeFi(分散型金融)とNFT(非代替性トークン)で盛り上がった2021年に価格が上昇し、その年の11月には過去最高値である1SOL=約2万8,000円を記録しました。

しかしその後、市場の冷え込みと共に2022年は価格が大幅に下落。現在の価格は1SOL=約3,800円になっています。

特にSolanaにおいては、提携関係にあったTerra(LUNA)の崩壊、そしてSolanaを支援していたサム・バンクマン=フリード氏がCEOを務めていたFTXが破綻した影響により、他の暗号資産と比べてもかなり大きく価格が下落しました。

単体時価総額推移グラフ

Solanaの時価総額も、価格推移のチャートとほぼ同じ形状をしています。

<Solanaの時価総額、円建て>

引用元:CoinMarketCap

最高値を記録した2021年11月頃のSolanaの時価総額は約8兆6,000万円、そして現在は価格下落の影響もあり、約1兆5,000万円で推移しています。

他の上位銘柄との時価総額比較

次に、Solanaと他の時価総額上位銘柄を比較してみましょう。

以下の表は、Solanaがローンチした2020年から2022年までの3年間において、各年の時価総額TOP20の銘柄を表したものです。

Solana(SOL)を水色で示しています。

引用元:CoinMarketCapよりデータを取得し作成

2020年のローンチ後、翌年には急速に時価総額を伸ばしてTOP5にランクインしています。

しかし先ほど述べたように2022年は他の銘柄以上に大幅に下落したため、16位までランクを下げました。

しかし、本記事を執筆している2023年7月中旬の時点では再びTOP10まで順位を戻すなど、復調の兆しが見えます。

これは、2022年の下落はTerraの崩壊やFTXの破綻など外的要因の影響による部分が大きく、Solana自体の機能や価値が損なわれたわけではないため、再び評価が高まっているからだと考えられます。

SOLを取り扱っている暗号資産取引所

引用元:Solana

ここからは、SOLを取り扱っている国内外の暗号資産取引所について解説します。

SOLの取扱いがある国内取引所の例

BTCやETHなどの主要銘柄に比べると、SOLを取り扱っている国内暗号資産取引所は数が限られています。

2023年7月時点で、SOLを取り扱っている国内の暗号資産取引所には以下の2つがあります。

  • GMOコイン
  • SBI VC トレード

なお、以前はFTX JapanとCoinbase JapanでもSOLを取り扱っていましたが、FTXは破綻、Coinbaseは日本事業からの撤退を表明しており、現在はこの2つの取引所を利用することはできません。

SOLの取扱いがある海外取引所の例

国内取引所に比べると、SOLを取り扱っている海外取引所は多数あります。具体的には以下のような取引所が利用可能です。

  • Binance
  • Coinbase
  • KuCoin
  • Kraken
  • Bitfinex
  • Bitstamp

しかし、すでに述べたCoinbaseのようにこれらの取引所の中のいくつかは日本事業からの撤退などにより、日本国内から利用できなくなったり、新規ユーザーの登録ができなくなったりしています。

利用を検討される際は、ご自身で最新の情報を調べた上で利用してください。

SOLの取得・購入および保管方法

上記の国内・海外取引所で取得・購入したSOLの保管方法には、以下のようなものがあります。

  • 購入した取引所の口座でそのまま保管する
  • Phantom Walletなどのソフトウェアウォレットで保管する
  • 物理的な形を持つハードウェアウォレットで保管する
  • SOLを用いた各種サービス内で保管する

暗号資産を保管する時は、ハッキングや詐欺にあうリスクを極力減らすことを考えなければなりません。

そして上記の保管方法は、それぞれ以下のようなリスクがあります。

  • 取引所の口座:取引所自体がハッキング等の被害にあう危険性がある
  • ソフトウェアウォレット:資産を管理する秘密鍵を盗まれる危険性がある
  • ハードウェアウォレット:デバイス自体を紛失する可能性がある
  • SOLを用いた各種サービス:ハッキングや秘密鍵の紛失などの可能性がある

いずれの場合も、資産を失ってしまうリスクを完全にゼロにするのは困難です。

状況に応じて管理手法を使い分け、リスクを最小限に抑えるようにしましょう。

Solana(SOL)の今後の展望まとめ

本記事では、Solana(SOL)の特徴について解説しました。

Proof of Historyという独自のコンセンサス・アルゴリズムや、レイヤー2が不要であるという特徴などにより「高速処理」「低コスト」を実現しているSolanaは、今後ますます広い領域で利用されることが期待されています。

日本国内でSOLを取り扱っている取引所はまだ多くありませんが、今後その数は増えていくでしょう。

パートナーシップを結んでいる企業やチームも多岐に渡り、Solanaを活用した魅力的なサービスも増えてくることが予想されます。

本記事を読んでSolana(SOL)に興味が湧いた方は、ぜひSOLを手にして様々なサービスを実際に利用してみてください。

Sparrow

Sparrow

フリーランスのWebライター。ブロックチェーンの非中央集権的な世界観に惚れ込み、暗号資産・NFT・メタバースなどのWeb3領域に絞って記事を執筆。自らの暗号資産投資やNFT売買の経験をもとに、難しいと思われがちなブロックチェーンについて、初心者にもわかりやすい記事を書くことを心がけています。好きなNFTクリエイターは「おにぎりまん」氏。
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