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【時価総額TOP20】トンコイン(TON)について徹底解説

解説系記事

トンコインはテレグラム内で送金できる暗号資産(仮想通貨)で、2023年8月25日現在の時価総額14位です。2021年8月頃に複数の海外取引所でリリースされた後すぐに急上昇し、2年弱で一気に著名なアルトコインの仲間入りを果たしました。

本記事では、トンコインの誕生から現在までの歴史、技術的な特徴や将来性まで詳しく解説していきます。

トンコイン(TON)とテレグラムの関係

引用:https://telegram.org/

トンコインは、テレグラムというメッセージアプリ内で送金可能な暗号資産です。テレグラムは操作が非常に軽く、中東や東欧諸国を中心に7億人のユーザーがいます。また秘匿性が高いことでも知られており、自動的にメッセージが削除される機能を持っていて、運営者ですらやり取りを確認することはできません。

テレグラムは、もともと政府の検閲から言論の自由を守るために開発されたアプリです。近年は「闇バイト」「裏バイト」などでよく耳にするアプリでネガティブな印象を持たれがちですが、本来は異なる用途を目的としています。

テレグラムの運営チームは2018年頃から独自ブロックチェーンの開発を進めてきていて、当初は暗号資産グラムを投資家達に配布する予定でした。しかし、そうした行為が米国の証券法に違反しているとして提訴を受け、結果的に2020年5月に開発を断念しています。

その後、誰もが平等にマイニングできる形で仕組みと名前を変更し、2021年8月頃から海外取引所を中心に取扱われるようになりました。

トンコイン(TON)の誕生〜現在までの歴史

引用:https://ton.org/en/roadmap

ここでは、トンコインが誕生した理由や、どのような歴史を歩んできたかを解説していきます。

創設者

トンコインと基盤となるブロックチェーン「The Open Network」の創設者は、ロシア人のニコライ・デューロフ氏とパベル・デューロフ氏です。2人はテレグラムの創設者でもあり兄弟です。

パーヴェル・ドゥーロフ氏はロシアのマーク・ザッカーバーグとも呼ばれています。高校、大学時代にプログラミングを身につけた後に起業し、いくつかのサービスを立ち上げた後にテレグラムをリリースしました。

テレグラムはイランや中国では使用禁止となっています。2018年から2020年の間にはデューロフ兄弟の出生地でもあるロシアでも禁じられました。情報統制を行う国にとっては厄介なアプリと捉えられていて、追われる立場になっているとの報道もあります。そのため、創設者は同じところに留まらず、世界中を転々としているようです。

運営チーム

現在トンコインは、分散型の組織であるTON Foundationによって運営されています。

2018年のプロジェクト発足当初は、ニコライ・デューロフ氏とパベル・デューロフ氏を筆頭とする世界有数の開発チームによって運営が行われていました。その後、SEC(米国証券取引委員会)との裁判で敗訴したことにより、2020年5月にブロックチェーンの開発を断念すると同時に、TON Foundationへの運営先変更が発表されました。

トンコインのTONとは「The Open Network」の略であり、現在はブロックチェーン上でさまざまなDAppsの開発が行われています。

出資者

2018年4月、トンコインの前身となる暗号資産グラムのプライベートセールを行った際には17億ドル(当時約1820億円)を集めました。この記録は当時第2位の記録であり、世界各国の企業にグラムの販売が行われました。

しかし、2020年3月にSECとの裁判で敗訴し、罰金1,850万ドル(当時約20億円)と投資家へ12億ドル(当時1,308億円)の返還を命じられています。

トンコイン(TON)の目的

トンコインは、TONプラットフォーム内での少額支払い(マイクロペイメント)のために作られました。TONブロックチェーンはスマートコントラクトも実装しており、1秒あたり数百万の取引処理をこなすことができます。

ブロックチェーンの処理能力としては高く評価されています。しかし、テレグラムにネガティブな印象を持っている人からは、犯罪の助長や資金洗浄を懸念する声もあります。

トンコイン(TON)の技術的特徴

引用:https://ton.app/

次にトンコイン(TON)の技術的な特徴を解説していきます。

テレグラムのアプリ内で送金可能

トンコインはテレグラム内で送金可能で、ウォレットを作成する必要はありません。テレグラムのチャット画面から「wallet」と検索してボットを呼び出し、QRコードを読み取ることで表示されるアドレスから暗号資産を送金できます。

トンコインの送金手数料は変動しますが概ね非常に安く、高くても0.005TON(約1円)程度です。

ウォレットでは、トンコインとビットコイン、テザーでの入金に対応しています。アプリは送金、入金に加え、各暗号資産間の両替やクレジットカードを用いての売買機能も実装してます。

トンコインはTONブロックチェーンのネイティブトークン

トンコインはTONブロックチェーンのネイティブトークンです。TONブロックチェーンは、大きく分けてマスターチェーンとベースチェーンの2つに分かれており、それぞれ以下の役割を担います。

マスターチェーン:チェーンに関するすべての情報が含まれる
ベースチェーン:日常的な取引処理に使われるチェーンで、さらに細かくワークチェーン、シャードチェーン、アカウントチェーンに分けられる

TONブロックチェーンは1秒で数百万回の処理をこなすことができます。これはビットコインの7取引、Visaの1,700取引、Mastercardの5,000取引を大幅に上回る数字です。

さらにクロスチェーンに対応しており、ビットコインも送金できます。

ステーキングに対応

トンコインの承認アルゴリズムは「Pos(Proof of stake)」であり、ステーキングに対応しています。公式サイトでは、以下の条件でステーキングできることを示しています。

Ton Whales:50TON〜
TON Validators:10,000TON〜
Open a Validator pool:10,000TON〜
Become a Validator:300,000TON〜

2023年4月時点では、平均して3%前後の配当を獲得できるようです。

ブロックチェーン上でDAppsの開発

TONブロックチェーンでは、イーサリアムのようにDAppsの開発ができます。公式サイトではNFTやウォレット、SNSなど合計17分野で、551のアプリケーションがあることを示しています。

また、TON foundationは大容量のデータを保存できるTON Strage、TONブロックチェーン上のウェブサイトTON Sites、ネットワーク上のドメインを変更できるTON DNSなども提供しています。これらのサービスを使う際はトンコインで支払い、ステーキングをしている人達に分配されます。

トンコイン(TON)の将来性

引用:https://ton.org/

ここでは、トンコイン(TON)の将来性について解説していきます。

テレグラムの普及度

トンコインはテレグラム上で利用できる暗号資産です。テレグラムの普及度はトンコインの将来性に大きく影響してくることでしょう。

しかし、日本ではLINE、米国ではMessenger、ヨーロッパ諸国ではWhatsAppのように、すでに各国で定着しているメッセージアプリがあります。テレグラムのシェア数は全体の5番目で、上位には競合アプリが存在します。

今後、それぞれのメッセージアプリで情報漏洩や重大な不具合などが発生した場合は、各国のシェアが大きく変わることもありえます。ただし、現時点ではテレグラムのユーザー数が大きく伸びる可能性は低いといえるでしょう。

2023年第4四半期までのロードマップを提示

トンコインの公式サイトでは、2023年内のロードマップを提示しています。2023年8月25日現在は、イーサリアムやバイナンスコインのクロスチェーン対応や処理の最適化、膨大な取引処理を行うためのプロセスであるシャーディングを進めています。

今後もロードマップ通りに開発が進んでいくか、注目していきましょう。

オンラインコミュニティが発達

TONブロックチェーンを運営するTON Foundationは、世界の人に開かれたオープンネットワークの提供を目指しており、オンラインコミュニティにも力を入れています。

テレグラム内の開発者チャットや最新情報を配信するチャンネルには、それぞれ数万人以上のユーザーがいます。また公式ツイッター(X)の公式アカウントには現時点で21.8万人のフォロワーがいて、日々テレグラムやトンコインに関するアップデート情報が発信されています。

トンコイン(TON)の利用が増加する可能性

TONブロックチェーンでは、日々DAppsやTON Foundationが提供するサービスの開発が行われています。今後トンコインのユーザーが増える可能性は十分に考えられるでしょう。

TONブロックチェーンはビットコインやイーサリアムなどと比較して処理能力が高いです。また、テレグラムの特性を引き継いで強固なセキュリティを誇ります。

2023年8月には1ヶ月弱で価格が30%ほど上昇しており、少しずつ暗号資産投資家の注目が高まっているように感じられます。

バイナンスやコインベースでは取扱いがない

トンコインは2023年8月25日現在の時価総額で第14位ですが、全世界の取引高1位バイナンスや2位コインベースでは取扱いがありません。バイナンスは合計386種類、コインベースは247種類と、さまざまなアルトコインを多く取り扱っている中で注目すべき事実です。

取引高の多い取引所は、オーケーエックスやフォビ、ビットフィネックスなどが挙げられます。2社が取り扱っていない理由は不明ですが、過去に米国の裁判で敗訴したことや、テレグラムに対する心象が影響しているのかもしれません。

トンコイン(TON)の時価総額推移

ここでは、Coinmarketcapのチャートを用いて、トンコイン(TON)の流通量や時価総額の推移を解説していきます。

流通量と発行上限数

引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/toncoin/

トンコインの総発行枚数は約50億TONで、現在34億3,000万TONが発行済みです。

総発行枚数のうち、現在約4億8,900万枚がステーキングされています。

リアルタイムチャー

引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/toncoin/

現在トンコインの価格は「1TON=216.91円」です。

トンコインは暗号資産市場全体とはまったく異なる値動きをしています。2023年に入ってからはビットコイン含む多くのアルトコインが値上がりしていますが、トンコインは3月の最高値「1TON=344円」から大きく下落しています。

8月に入ってからは他の暗号資産が値下がりする中で30%ほど上昇し、強気の値動きを示すと共に時価総額も増加しました。

単体時価総額推移グラフ

引用:https://coinmarketcap.com/ja/currencies/toncoin/

時価総額は「発行済み枚数 × 価格」で求められます。

トンコインの時価総額は2023年6月14日に急上昇しました。この日に大きな価格変動はないため、発行枚数が急増したと考えられます。

他の上位銘柄との時価総額比較

トンコインは2021年の9月頃から取引され始めた比較的新しい暗号資産であり、過去に時価総額でTOP10に入ったことはありません。

2023年8月末では時価総額11位まで来ており、勢いを年末までキープできればランクインする可能性が十分にあります。

トンコイン(TON)を取り扱っている暗号資産取引所

最後に、トンコインを取り扱う暗号資産取引所を紹介していきます。

トンコイン(TON)の取扱いがある国内取引所の例

トンコインを取り扱う国内取引所はありません。

日本国内でテレグラムは禁止されていませんが、ネガティブなイメージとアプリのユーザーも少ないことから、今後の上場は期待できないかもしれません。

トンコイン(TON)の取扱いがある海外取引所の例

トンコインの取扱いのある海外取引所は以下の通りです。

  • オーケーエックス
  • ビットフィネックス
  • エクスモ
  • バイビット
  • ポロニエックス

前述の通り、バイナンスやコインベースでの取扱いはありません。上記の海外取引所に加え、DeFiのパンケーキスワップやユニスワップでも売買が可能です。

トンコイン(TON)の取得・購入および保管方法

トンコインの取得、購入方法は以下の通りです。

  • テレグラムのボット機能から購入する
  • 取引所で購入する
  • ステーキングする

保管方法は以下が挙げられます。

  • テレグラムのアプリ内で保管する
  • 取引所で保管する
  • Tonkeeperなどのソフトウェアウォレットで保管する
  • レジャーナノなどのハードウェアウォレットで保管する

メジャーなアルトコインと比較して、購入、保管方法共に方法は限られます。テレグラムはセキュリティに優れたアプリですが、保管が不安な方は取引所やハードウェアウォレットを利用するといいでしょう。

トンコイン(TON)の今後の展望とまとめ

トンコインは、TONブロックチェーンのネイティブトークンです。TONブロックチェーン上ではさまざまなDAppsの開発が進んでおり、今後トンコインのユースケースは増えると予想されます。

トンコインはメッセージアプリのテレグラム内で送金することも可能です。しかし、メッセージアプリの市場は成熟しており、テレグラムのユーザーが爆発的に増えることは考えづらい状況です。

直近1ヶ月で時価総額が増加し、価格も30%程度上昇しているように、トンコインが今後注目の暗号資産であることは間違いありません。今後の開発状況と共に、トンコインがどのように広がっていくか注目してみていきましょう。

S.G

SG

月間100万PV超えの投資情報サイトや、ニュースサイトなど、暗号資産に関する記事を数多く執筆するフリーランスのライター。自身も2016年から暗号資産投資を行なっており、日進月歩の進化を遂げる暗号資産業界を常に追ってきた。ライター歴は3年で「文章で読者をワクワクさせ、行動に移させる」をモットーに執筆を行う。東南アジア在住、海外留学の経験があり、英語の翻訳記事も得意にしている。
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