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【時価総額TOP20】UNUS SED LEO(LEO)について徹底解説

解説系記事

UNUS SED LEO(LEO)は、海外の大手暗号資産(仮想通貨)取引所Bitfinexの親会社であるiFinex社が発行したトークンです。

暗号資産の価格追跡サイトCoinMarketCapにおけるUNUS SED LEOの時価総額は、2023年8月下旬時点で世界TOP20に入っています。

BitcoinやEthereumのように、もはや社会インフラのような存在として開発が進み、恒久的な使用を前提としているブロックチェーンに比べると、UNUS SED LEOはかなり特性が異なるトークンに見えます。

この記事では、UNUS SED LEOの技術的な特徴を解説した上で、他の暗号資産との違いをわかりやすく説明します。

UNUS SED LEOとLEOの違いについて

引用元:Bitfinex

詳細な解説の前に、UNUS SED LEOとLEOの表記が持つ意味の違いについて確認しておきます。

個々の暗号資産の呼称において、「ブロックチェーン」技術そのものを指す言葉と当該ブロックチェーンを使用した「通貨」を指す言葉の2つが用いられることがよくあります。

例えばBitcoinやEthereumなどは、上記のような用語の使い分けをしています。

Bitcoin、Ethereumがブロックチェーン技術そのものを指すのに対し、BTCやETHなどの「ティッカーシンボル」と呼ばれる表記は、通貨やその単位を示すものとして用いられています。

あるいはTether(USDT)のように、暗号資産を発行している企業名(Tether)とティッカーシンボル(USDT)で使い分けられるケースもあります。

ところがUNUS SED LEOとLEOについては、いずれもiFinex社が発行したトークン自体を指すものとしてほぼ同一視されており、違いはあまりありません。

そして、トークンそのものを表す場合も通貨単位を表す場合も、共通して「LEO」の呼称が用いられることがほとんどです。

そこで本記事では、基本的にLEOの表記を用いて記載します。

LEOの誕生〜現在までの歴史

引用元:Bitfinex

LEOは2019年5月にローンチし、現在はiFinex社が提供するエコシステム全体でユーティリティトークンとして利用されています。

LEOが用いられる主なサービスには、暗号資産取引所Bitfinexの他に分散型取引所のEthfinex Trustlessなどがあります。

運営チーム

LEOを発行したのはiFinex社です。

iFinex社は、暗号資産取引所Bitfinexの親会社であるとともに、ステーブルコインのUSDTを発行するTether社の親会社でもあります。

他のブロックチェーンのプロジェクトでは、創設者や運営チームのメンバーが明確になっているケースが多く見られます。

それに対し、LEOは親会社のiFinexと取引所のBitfinexによって運営・管理がなされているため、特定の人物を名指しして「この人物こそがLEOの運営チームのメンバーである」とすることはあまりありません。

iFinex、Bitfinex、そして関連会社にあたるTetherの3社が、広い意味でLEOの運営に影響を及ぼしていると言えます。

出資者

LEOの具体的な出資者情報については、詳細が公開されていません。

そもそもLEOは、トークン発行を伴う他のプロジェクトとは以下の点で大きく性質が異なります。

  • 主な購入者はBitfinexの利用者や投資家である(大手VCなどではない)
  • LEOは、新規プロジェクト開発のために発行されたトークンではない

iFinexは2019年にLEOを発行して資金調達を行いましたが、その際のLEOの主たる購入者はiFinexの各プラットフォームを使用する一般の投資家や機関投資家でした。

これは、ブロックチェーンプロジェクトでよく見られる「プロジェクト開発のために大手VCが大規模な出資を行う」という事例とはかなり様相が異なっています。

その理由は、LEO自体が「特定のプロジェクトの開発を進めるための資金確保」を目的として発行されていないためです。LEO発行の目的については後述します。

実際は、LEO購入者の多くは「プロジェクトの開発・推進のために投資をした」わけではなく、「自分がBitfinexのユーザーとして、LEOを保有することでさまざまなメリットを享受したい」という理由で購入しています。

LEOの目的

LEOが発行された当初の目的は「iFinex社の資金不足懸念を解消するための資金調達」でした。

iFinex社はCrypto Capitalという決済処理業者を利用していましたが、そのCrypto Capitalが保有する資金の一部が政府に差し押さえられるという事件が発生しました。

その結果、Crypto Capitalからの資金回収が不可能になるかもしれないという事態に陥ったiFinex社が、資金不足解消を目的として発行したのがLEOです。

このように、単純な「不足資金の補填」を目的としてLEOは発行されたため、すでに述べた通り出資者も大手VCなどではなくBitfinexの利用者が大勢を占めることになりました。

LEOの技術的特徴

引用元:Bitfinex

ここからは、LEOの技術的特徴について解説します。

LEOは、Bitfinexという特定の暗号資産取引所で主に利用されているトークンであるため、他の銘柄とは異なる特徴を多く持っています。

具体的に以下の4点について解説します。

  • 買い戻しおよびバーン(焼却)の実施
  • 取引手数料の割引
  • 通貨情報を公式サイトで公開している
  • 2つのプラットフォームで展開している

買い戻しおよびバーン(焼却)の実施

LEOはiFinex社によって市場から定期的に買い戻され、バーン(焼却)されています。

買い戻す頻度は毎月で、その金額は少なくともiFinex社の収益の27%だとされています。

買い戻しとバーンを行うことでLEOの希少性は高まり、今後の価格上昇につながる可能性があります。

なお、この買い戻しとバーンは「LEOが100%償還されるまで続ける」とされています。

しかし、「トークンの100%償還」とは、当該トークンが市場から完全に取り除かれて供給量がゼロになることを意味しています。

理論的にはこれは可能であるものの、どれくらいの期間で100%償還が実現するのか、また本当に完全な償還が実現するのかは不透明です。

LEOの購入を検討している方は、今後のiFinex社の動向には注意しておく必要があります。

取引手数料の割引

Bitfinexユーザーは、LEOの保有数量に応じて取引手数料の割引サービスが受けられます。

割引額は「暗号資産同士の取引ペア」「暗号資産とステーブルコインの取引ペア」など、組み合わせによって変化します。

またBitfinexは、今後提供するプラットフォームや製品、各種サービスにおいても、LEO保有者が何らかの特典を受けられるようにすることをアナウンスしています。

通貨情報を公式サイトで公開している

Bitfinexの公式サイトでは、LEOの流通量やバーンされた数量をいつでも確認することができます。

公式サイトには、LEOに関する以下の情報が掲載されています。

  • 現在の供給量
  • バーン済みの通貨量
  • 1時間あたりの買い戻し量
  • バーンのために保留している通貨量
  • 直近24時間で買い戻した通貨量
  • 直近1週間の日毎にバーンした通貨量
  • バーンした通貨のトランザクション履歴

2つのプラットフォームで展開している

LEOは以下の2つのプラットフォームで展開しています。

  • Ethereum
  • EOS

Ethereum、EOSはいずれもスマートコントラクトを備えたdApps開発のための分散型プラットフォームです。

通貨供給量はEthereum上で64%、EOS上で36%になっています。

LEOの将来性

引用元:Bitfinex

次に、LEOの将来性についてメリット・デメリットの両面から考察します。

LEOは通貨としての基本設計が他のブロックチェーンと大きく異なるため、特に投資対象としてLEOを取り扱う際には注意が必要です。

バーンによる希少性の向上

LEOのメリットの1つに、継続的なバーンによる希少性の向上があります。

暗号資産に限らず、あらゆる通貨は供給量が少なくなるほど希少性が高まり、価格が上昇しやすくなる傾向にあります。

LEOはiFinex社によって定期的に買い戻しとバーンが行われるため、通貨供給量の観点だけに着目すれば、今後価格が上昇していく可能性があります。

しかし、iFinex社自身が「現在流通しているLEOは100%買い戻してバーンする」と公表していることから、そもそもLEOというトークンがいつまで存続するかという点は十分に注意しなければなりません。

Bitfinexに依存している

LEOはあくまで、Bitfinexとその周辺のエコシステムに依存することで価値が保たれているトークンです。

したがって、Bitfinexの運営がうまくいっている間は、LEOの価格も比較的安定して推移する可能性があります。

よくも悪くもBitfinexに依存していることは、Bitfinexが好調なうちはLEOにとってメリットとなり、Bitfinexが傾いてきたらデメリットになると言えます。

LEOの保有者は、Bitfinexや親会社iFinexの動向を常に見ておく必要がありそうです。

本質的な価値を提供するプロジェクトではない

LEOの将来性を左右する要素の1つとして、本質的な価値を提供するプロジェクトではないということが挙げられます。

ここまでの解説で触れた通り、LEOは以下のような特徴を持っています。

  • LEOが発行された目的は、iFinex社の不足資金の補填のため
  • 将来的に100%買い戻されてバーンされる可能性がある

これはつまり、

  • 社会の発展に貢献するようなプロジェクトを作る予定はない
  • 恒久的に運営する予定もなく「終わりが存在するトークン」として発行された

ということになり、他のブロックチェーンプロジェクトや暗号資産と比較すると「本質的な価値を提供していない」ということが言えます。

短期・中期的に見れば希少性の向上により価格上昇が起こる可能性はありますが、長期的に見た場合、世の中に対して本質的な価値を生み出さないLEOの将来性については疑問視すべき部分があります。

LEOの時価総額推移

次に、市場におけるLEOの立ち位置を数量的な面から把握していきます。

流通量と発行上限数

LEOは、2019年5月のIEOで10億LEOが発行されました。

発行済の暗号資産のうち、市場で売買可能な状態にある数量を流通量と呼び、CoinMarketCapではこの流通量に暗号資産1単位あたりの価格を掛けることで時価総額を算出しています。

2023年8月下旬時点におけるLEOの流通量は約9億2,950万LEO、時価総額は約5,200億円で世界第19位です。

初期の発行数から減少しているのは、iFinex社による定期的なバーンの影響によるものです。

リアルタイムチャート

以下のグラフは、LEOのリアルタイムの価格推移を示したチャートです。

<LEOの価格推移、対日本円>

引用元:CoinMarketCap

ローンチ後、最初に大きな価格上昇を見せたのは2021年。特にこの年の後半は、価格が急騰しました。

これは、暗号資産市場全体がDeFiやNFTなどで盛り上がった影響を強く受けていると考えられます。

その後、市場の冷え込みによって大半の暗号資産の価格が大きく下落する中、LEOは2022年に入ってさらに急激に価格を伸ばしています。

この価格上昇は、LEO固有の要因によるものだと考えられます。

iFinex社は2016年8月、Bitfinexにおいてハッキングの被害にあい、巨額の資金を失っていました。

しかし2022年2月、米国司法省がハッカーから資金を回収した旨を明らかにするとLEOの価格は急騰。対年初価格で100%以上の伸びを見せました。

現在は価格の上昇は落ち着いており、1LEO=約560円で推移しています。

単体時価総額推移グラフ

LEOの時価総額も、価格推移のチャートとほぼ同じ形状をしています。

<LEOの時価総額、円建て>

引用元:CoinMarketCap

最大で約8,300億円にまで到達した時価総額ですが、現在は価格下落の影響もあり、約5,200億円前後で推移しています。

今後、LEOが継続的にバーンされることで時価総額の推移にどのような影響があるか、LEOに関心がある方は注目しておく必要がありそうです。

他の上位銘柄との時価総額比較

次に、LEOと他の時価総額上位銘柄を比較してみましょう。

以下の表はLEOがローンチした2019年以降、現在までの各年の時価総額TOP20の銘柄を表したものです。LEOは青色で示しています。

なお、2021年はLEOがTOP20に入っていないため、21位以下の部分についてはLEOの順位(50位)のみを表示しています。

引用元:CoinMarketCapよりデータを取得し作成

ローンチ初年度は14位、その後も2021年以外はTOP20にランクインしており、安定した時価総額の推移を見せています。

2023年8月時点でもTOP20近辺に位置しており、数ある暗号資産の中ではかなり評価が高い銘柄だと言えそうです。

LEOを取り扱っている暗号資産取引所

ここからは、LEOを取り扱っている国内外の暗号資産取引所について解説します。

LEOの取扱いがある国内取引所の例

2023年8月現在、日本の暗号資産取引所でLEOを取り扱っている取引所はありません。

これは、日本の暗号資産取引所は金融庁の規制や審査が厳しく、取り扱える銘柄が限定されているためです。

また、LEOは日本展開をしていないBitfinexと非常に関わりが深い銘柄であることや、恒久的な展開もさほど考えられていないことから、日本の取引所が今後LEOを取扱う可能性はあまり高くないかもしれません。

LEOの取扱いがある海外取引所の例

現状では、LEOを購入したい日本のユーザーは海外取引所を利用する必要があります。具体的には以下のような取引所が利用可能です。

  • Bitfinex
  • Gate.io
  • ProBit Global
  • OKX
  • AscendEX
  • Indodax

ただし、これらの取引所が日本国内から利用できるとは限りません。

利用を検討される際は、ご自身で最新の情報を調べた上で利用してください。

LEOの取得・購入および保管方法

上記の海外取引所で取得・購入したLEOの保管方法には、以下のようなものがあります。

  • 購入した取引所の口座でそのまま保管する
  • メタマスクなどのソフトウェアウォレットで保管する
  • 物理的な形を持つハードウェアウォレットで保管する
  • iFinexが提供する各種サービス内で保管する

暗号資産を保管する時は、ハッキングや詐欺にあうリスクを極力減らすことを考えなければなりません。

そして上記の保管方法は、それぞれ以下のようなリスクがあります。

  • 取引所の口座:取引所自体がハッキング等の被害にあう危険性がある
  • ソフトウェアウォレット:資産を管理する秘密鍵を盗まれる危険性がある
  • ハードウェアウォレット:デバイス自体を紛失する可能性がある
  • iFinexが提供する各種サービス:ハッキングや秘密鍵の紛失などの可能性がある

いずれの場合も、資産を失ってしまうリスクを完全にゼロにするのは困難です。

状況に応じて管理手法を使い分け、リスクを最小限に抑えるようにしましょう。

UNUS SED LEO(LEO)の今後の展望まとめ

本記事では、UNUS SED LEO(LEO)の特徴について解説しました。

iFinex社の管理下で運営されているLEOは、バーンによる希少性の向上から、投資対象としては短期・中期的に価格が上昇する可能性は十分にあります。

一方で、他のブロックチェーンのように長期的な視点で開発を進めているプロジェクトではなく、社会全体にもたらす価値もそれほど目立ったものはないため、取扱う際は親会社のiFinexや取引所のBitfinexの動向を注意深く見ておく必要があります。

本記事を読んでUNUS SED LEO(LEO)に興味が湧いた方は、適正なリスク管理を行った上で実際にLEOを手にしてみてください。

Sparrow

Sparrow

フリーランスのWebライター。ブロックチェーンの非中央集権的な世界観に惚れ込み、暗号資産・NFT・メタバースなどのWeb3領域に絞って記事を執筆。自らの暗号資産投資やNFT売買の経験をもとに、難しいと思われがちなブロックチェーンについて、初心者にもわかりやすい記事を書くことを心がけています。好きなNFTクリエイターは「おにぎりまん」氏。
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