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【今後に注目!】NFTトレーディングカードの現状と課題。NFT特化型ブロックチェーンの動きと合わせて解説!

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NFTトレーディングカードは、NFT の技術を使ったデジタル版トレーディングカードのことで、「資産価値を持つこと」「改ざんが極めて困難なこと」「取引履歴が全て記録されること」などの特徴が挙げられます。

NFTトレーディングカードとしては、国内外でスポーツ、ゲーム、アイドルなどを扱った画像や動画をNFT化したものが流通しており、まだ認知度は低いものの、大企業の参入やインフラの改善により、今後の需要拡大が大きく期待されています。

NFTトレーディングカードとは

最近、アート作品など様々な分野でNFTという言葉を聞くことが多くなったと思います。その発端は、2015年にイーサリアムという暗号資産(仮想通貨)が、スマートコントラクトという新しい機能をひっさげて、世の中に出て来たことにより始まりました。

イーサリアムがこれまでの暗号資産と決定的に違うところは、スマートコントラクトという新しい機能によって、暗号資産の根底にあるシステム(ブロックチェーン)に、プログラムを書き込むことが可能になったことです。

それにより誰でも自由にアプリケーションの開発が、イーサリアムブロックチェーンの上で、できるようになったのです。これこそ、イーサリアムが「管理者のいないワールドコンピューター」と呼ばれるようになった所以なのです。

その「誰にも管理されずにアプリケーションの開発ができる」という特徴のもとに、世の中に大きな変革を及ぼす様々なプログラムが生まれ、NFTもその一つとして、2017年に産声を上げました。

NFTは、Non-Fungible Tokenの略語で、日本語にすると「非代替性トークン」という言葉になります。ちょっと日本語に変換しても難しいですが、簡単に言うと「替えが効かない暗号資産」ということです。わかりやすいように、アート作品を例に説明します。

たとえば、ゴッホが「ひまわり」という有名な絵画を描き、それに本人が署名することによって、世界にひとつしかないゴッホの本物の作品だと証明されていますね。

デジタルの世界でもこの新しいNFT技術によって、作成したデジタル作品に唯一のデジタルトークンを与えることによって、他に替えの効かないただ一つの本物であることが証明できるようになったのです。

これまでデジタル作品は、簡単にコピーができるため、資産として価値を持つことが難しかったのですが、それをNFTが可能にしてくれたのです。

この NFT技術は、最初はアートの世界で注目され、そこから音楽、ファッションなどの分野をはじめ、トレーディングカードの世界にも広がってきました。NFTトレーディングカードとは、 このようなNFT の技術を使った「デジタル版トレーディングカード」のことなのです。

NFTトレーディングカードの特徴

NFTトレーディングカードが単なるペーパーベースのトレーディングカードと何が違うのかが分かったところで、その特徴をさらに詳しく見ていきましょう。

カードが資産価値を持つ

NFTトレーディングカードは、発行枚数が限られているので、コレクターにとって特別なものになります。特に発行枚数が少ないカードはその希少性から高い価値を持ちますので、その資産価値を所有する満足感が得られますし、取引をすることによって利益を上げることも可能です。

このあたりの特徴は、ペーパーベースでのトレーディングカードにもありますが、決定的な違いは、NFTトレーディングカードは自分だけの所有物と証明ができ、デジタルカードであるためカード自体が劣化しないというところにあります。

従来のトレーディングカードは、極端な話、誰かがそのカードは自分のものだと所有を主張しても明確に否定することができません。

また、紙製かプラスチック製であるため、キズがついたり折れたりすることがありますので、保管には気を使いますが、NFTトレーディングカードではその心配がないのです。

さらに、NFTトレーディングカードは、画像だけでなくちょとした動画が見れるカードとしても作成可能なところに、大きな技術改革が見られ、新しい価値を創出したと言えるでしょう。

ブロックチェーン技術により改ざんが困難

ブロックチェーンの大きなメリットに、優れた暗号技術と分散型台帳技術により、「改ざんが極めて困難でありながら、検証が容易なデータ構造」を持っている点があります。

その利点を生かして、トレーディングカードにNFTを紐づければ、所有者の明確化はもちろんのこと、偽物やコピー品との違いを証明することができるため、改ざんが困難でいつまでも希少性を守ることができます。それが所有者の唯一無二のアイテムを所有するという、大きな優越感にもつながるのです。

取引履歴が全て記録され、ロイヤルティ収入を得ることも可能

ブロックチェーンの技術のひとつに、取引履歴が過去からすべて保管され見るものがあります。それをもとにNFTトレーディングカードは、転売されても売買履歴は全て残ります。

また、その取引履歴が残るシステムを利用して、NFTコンテンツのクリエーターは、二次流通において売買された金額から、一定のロイヤルティを得ることが可能です。

ロイヤルティ率は、最初にプラットフォームで販売を開始する際に自由に設定することが可能です。例えば10%と設定すれば、転売の都度、販売金額の10%がロイヤルティとしてクリエーターに還元されるのです。

これはNFTトレーディングカードに限らず、すべてのNFTコンテンツにおいて実現可能な機能ですので、クリエーター活動の活発化に繋がるでしょう。

NFTトレーディングカードにはどんなものがあるか?

NFTトレーディングカードは、2019年頃から、まず北米を中心に海外で注目され、その後、2020年後半から日本でも広まるようになってきました。

その種類は芸能人やアイドル、スポーツ選手、ゲーム利用できるカードなど様々で、現在も増え続けています。ここではこれまでに発売された中から、特に注目度や人気の高いものをご紹介します。

海外で人気の代表的なNFTトレーディングカード

アメリカのTOPPS(トップス)社、イタリアのPanini S.p.A(バニーニ)社が、まずスポーツカードをNFT技術を利用して販売を始め、世の中の大きな注目を集めました。

しかし、NFTトレーディングカードの認知度を決定的に広げたのは、カナダのDapper Labs(ダッパーラボ)社が始めた「NBA Top Shot 」(NBA トップショット)でした。

NBA Top Shot

(画像引用: NBA Top Shot公式

「NBA Top Shot」は、カナダのDapper Labs社が始めた、アメリカのプロバスケットボールリーグNBAで活躍する選手達を扱った、NFTトレーディングカードです。

NBAの試合で、選手のハイライト・シーンを5~10秒くらいの動画のデジタルカードにしたところが画期的なサービスで、これまで人気選手のカードは1,000万円以上の価格で取引され、ファンの間だけでなく世間でも大きな話題となりました。

カードにはCommon、Fandom、Rare、Legendaryの4種類があり、RareとFandom、Legendaryは希少性の高く、NFT技術によるデジタル署名によって唯一性が保証され、偽造されるリスクも殆どないため、その資産価値が人気を呼んでいます。

複数のトレーディングカードが入ったパッケージでの購入は抽選方式で、オンラインで列に並び、実際にお店で購入しているかのような感覚を味わえる凝った演出が憎いです。

2021 Topps Series 1 Baseball NFT

(画像引用:TOPPS SERIES1 NFT COLLECCTION 公式

「2021 Topps Series 1 Baseball NFT」は、アメリカのメジャーリーグカードを70年以上も販売してきた老舗Topps社が、2021年に発売して話題を呼んだNFTベースボールカードです。

同社のカードは、ペーパーベースでも非常に人気が高く、2018年に大谷翔平選手がデビューした時のルーキーカードは、1枚限定ものの直筆サインカードが、2,000万円を超える値段で取引され、センセーショナルな話題になったのを、覚えている人も多いかも知れません。

そのトップスカードが、NFT化されたのですから、希少性もさらに上がり、人気選手たちのカードの今後の取引価格が注目されます。

Sorare(ソラーレ)

(画像引用:SORERA公式

「Sorare」はフランスから出た大人気のサッカーNFTゲームで、世界140以上ものサッカークラブとライセンス提携をしており、現実のサッカーの試合がゲームに反映されるのが大きな特徴です。

保有しているNFTトレーディングカードの選手が、実際の試合で活躍するとポイントが稼げる仕組みで、ポイント上位者には暗号資産イーサリアムが贈呈されるのです。

そのエキサイティングな仕組みから、名プレイヤーのNFTトレーディングカードに人気が集中して、高値で取引されるのですから、単なるレアカードとは違った面白さがありますね。

ちなみに高値取引で過去に目を引いたものに、クリスティアーノ・ロナウド選手のユニークカードが、約3,200万円で売却された事例があります。

日本で人気の代表的なNFTトレーディングカード

日本では2020年後半からNFTトレーディングカードが出始め、アイドルのアイテムを中心に人気が広がりつつあります。

国内でもコインチェック NFT(β版)やnanakusa(ナナクサ)などのマーケットプレイスで、ユーザー同士が取引できる環境も整ってきましたので、取集目的だけでなく売買や交換も活発になってきており、今後の発展におおいに期待が持てます。

SKE48

(画像引用:NFTトレカ公式

2020年10月3~5日にアイドルグループSKE48のイベント「SKE48 Anniversary Fes 2020 〜12公演一挙披露祭〜」が開催され、それに伴いライブ撮りおろし写真を5枚封入した「いきなりNFTトレカ」が販売され注目を集めました。

また、2021年4月に開催された松井珠理奈と高柳明音の卒業コンサート限定カード「おでかけNFTトレカシリーズ」は大変な人気で、ファンの間だけでなく一般の人達にもNFTトレーディングカードの認知を広げました。

カードごとに、メンバーの画像や、音声、動画などが入っており、保有することで閲覧が可能となります。このシリーズは、Coincheck NFTでしか購入できませんので、コレクターの収集熱も高くなっており、カードによっては二次販売で数十万円で取引されるケースも出て、ちょっとした資産価値としても注目されています。

ももいろクローバーZ

(画像引用:ももクロNFT 公式)

結成10周年を記念するライブを2018年に東京ドームで開催し、その模様をトランプカードの形にしたNFTトレーディングカードを2021年10月に発売しました。

10枚のカードが入ったものを1パックとして、2,288パック限定で発行され、Yahoo! JAPANのデジタルチケット販売システムであるPassMarketでは、わずか1時間で予定枚数が終了したほどの人気でした。

総額2,000万円もの売上になった人気にあやかって、NFTトレーディングカードの知名度アップにつながったと思われます。

BABYMETAL

(画像引用:BABYMETALカードJP公式

こちらも結成10周年を記念して、2021年5月に「METAL RESISTANCE全10章」 という10種類のNFTトレーディングカードと、アナログ盤ベストアルバムをセットにしたものが、限定1,000パックで販売されました。NFTとアナログ商品の組み合わせ販売が注目され、今後の販売事例の一つとなっています。

海外で大きな人気を博しているグループだけに、発売元が日本ではなくアメリカの会社であるため、後述するWAXというNFT特化型ブロックチェーン上で取引する必要があります。

2021年10月10日の封印宣言から、ライブ活動も停止していましたが、ついに2022年4月より、新展開がスタート。なんと、バーチャル・ワールドのメタバースを通じて、私達がまったく知らないBABYMETAL復元計画「THE OHER ONE」が始まるのです。

そして、デジタルファッションレーベルの1BLOCKとのコラボで、NFTバーチャルスニーカーを10足限定販売などの新たな話題沸騰で、ファンならずともNFTからみの活動に目が離せません。

PLAYBACK9

(画像引用:PLAYBACK9 ツイッター公式

「PLAYBACK9」は、横浜DeNAベイスターズのデジタルムービーコレクションサービスで、2021年11月30日に提供が開始されました。

横浜DeNAベイスターズ主宰試合の名シーンや、お気に入りシーンのデジタル動画を、NFTトレーディングカードの形でコレクションできる、球団公式のサービスです。

「リアルタイムの感動を手元で何度でも再生して味わうことができる」という魅力を全面に出し、LINEアプリとの連携も可能で、購入がスムーズに行えます。

このデジタルアイテムの基盤技術には、後述しますNFT特化型ブロックチェーンである「LINE Blockchain」が採用されており、新しい取り組みとして注目を浴びています。

2022年シーズンも名シーンが販売され、今後は購入者同士の売買機能やコレクション機能が追加される予定となっており、スポーツ分野におけるNFTトレーディングカードの活用も活気を帯びていくでしょう。

CryptoSpells(クリプトスペルズ)

(画像引用:CryptoSpells JP公式

「CryptoSpells」は、2019年6月にリリースされNFTの仕組みを応用した日本初の稼げるカードバトルゲームです。バトルの際の手持ちカードは、すべてNFT化されており、対戦相手とオンライン上で対戦させて、その勝敗によって自分のキャラクターを強くしていくことができるのです。

しかも、前述のSKE48のNFTトレーディングカードとコラボし、バトルで使えるようになりましたので、ファンの歓喜の声が聞こえてきそうですね。

クリプトスペルズの場合は、ゲーム内で使用するNFTトレーディングカードが資産となり、ゲーム外のNFTマーケットプレイスで売買することも可能なのが、これまでのゲームと異なる大きな特徴で、日本最大級のブロックチェーンゲームに成長しています。

NFTトレーディングカードの課題

NFTトレーディングカードは、前述のように世界をはじめ日本でも、ファンやコレクターの間で人気が急上昇していますが、それゆえの課題もいろいろあります。

コレクションが目的でカードを購入する方は、どんなカードがいつ発売されるかといった情報を追いかける楽しみを味わっているかと思いますが、カードを取引することで収益を得ることも考えている方にとっては、メリットだけでなく現状かかえている課題を理解しておく必要があるでしょう。

実物がないことによる所有感の欠如と喪失のリスク

NFTトレーディングカードは、あくまでもデジタルコンテンツのため、購入後は通常、サードパーティーのストレージサービスで保管するケースがほとんどです。

そのため、カードをモノとして所有することに価値を見出してきた人達にとって、物足りなさが残るのは否めないでしょう。

また、保管しているストレージサービスがハッキングされて商品が流出したり、何らかの理由で利用できなくなることも考えられ、最悪の場合、購入したNFTトレーディングカードがその価値を失うリスクに繋がります。

発展途上コンテンツのため低い認知度

NFTトレーディングカードは、残念ながら実際のところはまだマイナーであまり知られていません。

昨年2021年末に、株式会社CoinOtakuが、全国20代~70代の男女500名にNFTの知名度をアンケート調査したところ、NFTという存在を知っている人が158人/500人で3割程度であったとのことです。

そして、NFTを実際に所有している人は14人と全体の2.8%に留まりました。となると、NFTトレーディングカードの認知度や所有者は、さらに低いと推測されますね。

暗号資産を資産運用の目的で行う人や、企画されるNFTトレーディングカードに関係するタレントや著名人の熱心なファンであれば、NFTは当然のごとく知っているでしょうが、一般に流通するものではないため、一部のユーザー間でしか取引がされていないのが実情です。

そのため、リアルのトレーディングカードくらいに認知度が上がるまでは、その資産価値に興味を持たれず、暫く厳しい状況が続くと言えるでしょう。

NFTアートのような資産価値の急上昇は期待薄

前述のように、NBA Top Shotのレアカードのように1,000万円近い値段がつくものや、Sorareの人気選手のユニークカードが高額で取引された例もありますが、殆どのNFTトレーディンカードは、たとえレアカードであってもせいぜい数十万円程度での取引額です。

NFTデジタルアートの場合は億単位の値がつくものもあり、取引金額の桁の違いは一目瞭然で、現状では資産価値が急上昇しにくい側面があります。

NFTトレーディングカードの将来性

前述しましたように、NFTトレーディングカードには多少なりとも課題はありますが、その将来性は明るいと言えます。

市場自体は発展途上で、まさに整備が進められている最中なのは事実です。しかし、現在ある課題がクリアされ、より広く一般的に認知されるようになれば、マーケットの規模も拡大し、流通量が増えていく可能性がありますので、そのポイントを見ていきましょう。

大企業参入によるNFTトレーディングカード市場の活性化

2021年8月25日に電通・オルトプラス・アクセルマークが、アニメなどの動画NFTトレーディングカードサービス提供に向けた共同企画・開発を推進することを発表して話題になりました。コンセプトは、「心を揺さぶったあのシーンを集める喜びをすべてのファンへ」という興味深いものです。

アニメは世界で認められた日本の文化ですので、その需要は計り知れません。上記の企画が順調に進めば、莫大な量のNFTトレーディングカードが流通し、NFT市場が活性化される可能性が大きいでしょう。

また楽天は2022年2月25日より、Rakuten NFTというスポーツ、音楽、アニメなどエンターテイメント分野におけるNFTの取引が可能な販売プラットフォームを立ち上げました。NFTトレーディングカードだけでなく、様々なNFTを提供する場ですので、こちらも今後の進展が楽しみですね。

手数料(ガス代)の低コスト化による流通促進

詳しくは後述しますが、イーサリアムを中心としたNFT市場では、ガス代が高騰しやすいという問題があります。
しかし、NFTに特化したブロックチェーンも国内外で次々と開発され、安定的に低コストで取引可能な環境が整いつつあり、今後、NFTトレーディングカードがもっと流通しやすくなる日がくるのはそう遠くないでしょう。

人気アニメやゲームのNFT化による需要拡大への期待

トレーディングカードゲームと言えば、ポケモンカードや遊戯王カードなど、実物のカードもまだまだ需要が拡大しており、eBayアメリカの物販情報によると2020年では前年度比142%で、400万枚以上のカードが取引されていました。

特にポケモンカードゲームの取引量は、前年度比574%とダントツだったと言いますので、その人気度も衰えを知りません。

今後これらの超人気アニメのNFTトレーディングカード化が進めば、その世界規模のファンの受け皿から考えると、需要が一気に広がることが期待されます。

NFT特化型ブロックチェーンについて

イーサリアムブロックチェーンは、スマートコントラクト機能を利用した様々な機能を持っていることから、NFTを支える技術インフラとして欠かせませんでした。

しかし、詳しくは後述しますが、世界中でイーサリアムブロックチェーンの利用が広がったため、ネットワークが巨大化して課題も多くかかえるようになり、NFT取引を拡大していく上での不都合も明らかになっていきました。

NFT特化型ブロックチェーンは、その諸問題を解決するため、2018年にWAX(ワックス)が独自の技術で登場し、その後Flow(フロー)が続きました。

イーサリアムブロックチェーンの課題

イーサリアムブロックチェーンの課題を認識するきっかけとなったのが、2017年末にリリースされたNFTゲームのCryptoKittiesでした。

かつて日本で大プレイクしたたまごっちの子猫版のようなゲームで、ブロックチェーンで発行された仮想猫を収集したり、育成したり、売買できるところが大人気となったのです。

仮想猫同士を掛け合わせて新しい仮想猫を生み出すことも可能で、そのバリエーションは40億種類以上と言われています。希少性の高い仮想猫は、約1,200万円もの価格で取引されたことで人気がどんどん加熱していったのです。

しかし、それがイーサリアムのネットワークに大きな負荷をかけることになり、処理速度の低下とそれに伴うガス代の大幅な値上がりという問題が発生しました。一時は、仮想猫を買うより、その際に支払うガス代の方が高いという苦情が出たほどでした。

プログラムの処理能力は決まっているので、使う人が増えると取引量も増えて動きが鈍くなります。そうなると取引手数料が高いものから処理されるため、ガス代、つまり手数料の高騰が起こったのです。

そういった課題を解決するために、イーサリアムブロックチェーンでは、これまで大きなバージョンアップを何度も行ってきました。具体的には、バグやネットワーク問題の修正、セキュリティの強化、匿名性の向上などが挙げられます。

そして、今後もアップデートが予定されており、コンセンサスアルゴリズムが、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)という方法に変更され、電力消費の負担が大幅に改善され、将来的にガス代も低く安定する予定です。

NFT特化型ブロックチェーンの台頭

このように、イーサリアムブロックチェーンは課題をかかえながらも、アップデートを繰り返して改善を図ってきました。

しかし、イーサリアムブロックチェーン上では、NFT以外のアプリケーションも数多く存在しており、CryptoKittiesのブームが去った後でも、取引単価が高いDeFiの拡大によってガス代が高騰するなど、一般ユーザーが気軽にNFTを使える環境ではありませんでした。

このようにイーサリアムブロックチェーンで、マス向けアプリケーションが根本的に作りにくいことが誘因となって、手軽にNFTが利用できるNFT特化型ブロックチェーンの開発へと進んでいきました。ここ最近のNFTブームの到来には、こういった背景があったのです。

すでに紹介しましたNFTトレーディングカードの火付け役となった、Dapper Labs社の「NBA Top Shot 」は、まさにそんなNFT特化型ブロックチェーンのFlowによって実現したのです。

それ以外でも、初代NFT特化型ブロックチェーンであるWaxは、MLBのNFTトレーディングカードを発行するためのインフラを提供しています。

その後、FlowやWaxのような独自技術でゼロからインフラを作るのではなく、イーサリアムなどの既存のブロックチェーン技術をベース活用したNFT特化型ブロックチェーンも数多く現れ、既存ブロックチェーン間の連携もある程度とれる特徴を出しています。

この流れは日本にも押し寄せ、国内ではHashpalette社が運営するPalette chain(パレットチェーン)と、Lineが運営するLINE Blockchain(ラインブロックチェーン)が生まれました。

Palette chainの大きな特徴は、NFTをイーサリアムブロックチェーンなどへ移転可能な、クロスチェーン機能があること、NFT移転の際にユーザーのガス代負担がゼロであることなどが挙げられ、ブロックチェーンネットワークを跨ぐ流通を可能にしています。

LINE Blockchainでは、2022年4月よりLINE NFTにて、吉本興業による限定NFT動画や機動警察パトレイバーのNFTなどを含めた約40,000点のNFTの販売を始め、話題を呼んでいます。

NFT特化型ブロックチェーンの将来へ向けて

NFT自体が生まれたのが2017年ですので、NFT特化型ブロックチェーンの歴史は、まだまだ浅く始まったばかりではありますが、これまで見てきましたようにその活躍には目を見張るものがあり、今後のNFT発展に大きな期待が持てます。

しかし、新しいインフラにはやはり課題がつきものですので、そのあたりのポイントも押さえておきましょう。

まずはマネーロンダリングの問題です。NFTアートなどでは、1度の取引金額が億超えになることも多く、国境を超えて瞬時に送金することも可能なため、いわゆるマネロンに利用されやすいという指摘が米財務省からあります。

また、著作権についてですが、NFT作品を購入し保有することと著作権は必ずしも結びついておりません。その時の契約次第というところもあるので、そのあたりのコントロールが各ブロックチェーンでしっかりと行われることも課題です。

そして、ユーザーにとって各NFT特化型ブロックチェーンのおかげで、NFTアイテムを取引するハードルは低くなったものの、特定のブロックチェーン内でしかサービスを利用できないこともあります。資産運用目的で取引する場合、そういった各ブロックチェーンの利用枠を超えた、相互運用の可能性がさらに大きくなることが期待されています。

これらの課題が解決していくことにより、将来的にNFTの裾野が広がり、まだその利用に懐疑的な人や、認知していない人達の間に広がっていくことができるでしょう。

NFTトレーディングカードの現状と課題・まとめ


NFT特化型ブロックチェーンの誕生により、NFTに関するマス向けアプリケーションの開発が容易となり、ユーザーのガス代負担額も大きく削減できることによって、NFTの需要拡大につながっていくでしょう。

NFT特化型ブロックチェーンにも、マネーロンダリングや著作権保護、ブロックチェーン間のクロスチェーン機能の拡大などの課題はありますが、それらへ適切に対応していくことによって、将来の新しいインフラとしての期待は非常に高いです。

Leo

Leo

投資系記事を中心として、特に初心者向けに知識やノウハウに関する記事で、2010年より活動しているライター。ブロックチェーンという新しい技術と、暗号資産やNFTの可能性に魅せられ、時代の変革期に立ち会っているかも知れないという思いから、『新しい世界を誰にでもわかりやすく』をモットーにお伝えしている。
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