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山形県西川町が進めるNFTを活用した取り組み事例を解説

解説系記事

ここ最近、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)はデジタルアートなどでの活用にとどまらず、ビジネスや行政サービスでの活用も進んでいます。中には、NFTを積極的に活用する山形県西川町のような地方自治体も登場してきました。

この記事では、そんな山形県西川町が進めるNFTを活用した取り組みについて詳しくご紹介していきます。これから「NFTの活用に取り組んでいきたい」「地域の関係人口を創出したい」と考えている自治体職員の方は、ぜひ最後までご覧ください。

山形県西川町の概要

画像引用元:山形県西川町公式ホームページ

西川町は、山形県の中央部に位置している市町村です。昭和29年10月に西山村、川土居村、本道寺村、大井沢村の4つの村が合併したことで誕生しました。町の総面積の約95%が山林となっており、スキー場として有名な月山(がっさん)をシンボルとしています。

人口は5,000人以下という小さな市町村ではありますが、毎年4月上旬〜7月下旬には約15万人のスキーヤー、スノーボーダーが訪れることでも有名です。

メディアエクイティ株式会社との提携を発表

そんな山形県西川町ですが、2023年4月11日にメディアエクイティ株式会社との包括連携協定の締結を発表しました。メディアエクイティ株式会社は、国産のNFTマーケットプレイスとして有名なHEXA(ヘキサ)を運営している国内企業です。

なお、HEXAについては、国産NFTマーケットプレイスHEXA(ヘキサ)の特徴や使い方をわかりやすく解説の記事で詳しく解説しています。

画像引用元:山形県西川町、デジタル住民票NFTの販売とNFTマーケット「HEXA(ヘキサ)」との連携を発表!WEB3.0型の関係住民創出に挑戦

包括連携協定締結の発表によると、NFTの企画・開発を進めることで、地域の活性化や住民サービスの向上などを行っていくとしています。

詳しい取り組み事例は後にご紹介しますが、全国の市町村では初めてとなる「デジタル住民票NFT」や、地域の特産品と掛け合わせたNFTなどを発行しています。

NFTの活用によって関係人口の創出を目指している

山形県西川町がNFTを積極的に活用する目的として、関係人口の創出が挙げられるでしょう。

現在、日本全国の地方自治体では、住民の人口減少・高齢化が大きな課題となっています。地域を担う人材が年々不足していっていることから、移住制度を充実させて「定住人口」を増加させる取り組みが全国的に行われています。

また、様々な形で地域に関わりを持ち、多角的に地域づくりを担う「関係人口」の創出に力を入れている自治体も存在します。

山形県西川町は、NFTを活用した取り組みを行うことで、NFTの価値上昇を目的としたユーザーの自律分散(DAO)的な活動を促し、継続的な関係人口の増加を目指しています。

山形県西川町が進めるNFTを活用した取り組み事例

ここからは本記事の本題となる、山形県西川町が進めるNFTを活用した取り組み事例をご紹介していきます。以下の5つの活用事例に沿って、詳しく確認していきましょう。

  • デジタル住民票NFT
  • 公園の命名権NFT
  • 西川町長が作ったAIアートNFT
  • 月山ビールNFT
  • 月山自然水NFT

デジタル住民票NFT

画像引用元:日本初!自治体が発行するデジタル住民票NFT(山形県西川町)は販売数の13.4倍の13, 440個の購入需要を集めました。

2023年4月11日、山形県西川町は日本全国の自治体では初めての取り組みとなる「デジタル住民票NFT」の発行を発表しました。

デジタル住民票NFTの販売は、NFTマーケットプレイスのHEXAにて行われています。1個あたり1,000円、合計1,000個が抽選販売されましたが、それに対して13,440件もの注文が殺到し、大きな話題となりました。

NFTの機能面としては、西川町にある温泉に無料で入浴できたり、「道の駅にしかわ」で1,000円以上の買い物をすると天然水が1本プレゼントされるといったユーティリティが付与されています。また、町長が参加するオンラインコミュニティに参加できるなどのメリットもあります。さらに、デジタル住民票の保有者は、西川町のデジタル住民として認められるため、その点に価値を感じている方も多いと考えられるでしょう。

結果的に、西川町のデジタル住民票NFTは大きな注目を集め、関係人口の創出に貢献した取り組み事例だといえます。

西川町長が作ったAIアートNFT

画像引用元:西川町長が作ったAIアートNFT | HEXA NFTマーケット

西川町は、HEXAにて町長がAIで作成したNFTアートを出品しています。同町の観光資源である「月山湖」をイメージして作られており、地方の首長が作成した日本初のAIアートNFTだと説明されています。

HEXA公式サイトによると、すでに5万円の価格で購入済みとなっており、購入者は限定の袋とじメーセージを確認することが可能です。特別なユーティリティがあるNFTではないと考えられますが、自治体による面白いNFTの活用事例だといえるでしょう。

公園の命名権NFT

画像引用元:日本初!自治体(山形県西川町)が実在する公園の「命名権NFT」を1,000円からオークション販売!NFTマーケットのHEXA(ヘキサ)

山形県西川町では、同町に実在する公園に名前をつけられる「命名権NFT」の販売も行いました。

名前をつけられる公園は、町内外の人が集まる「道の駅にしかわ」に隣接しており、様々なイベントが行われる同町を代表する公園です。また、公園には命名された公園名を表示する看板が設置されます。そのため、NFTの購入者は自社や自社サービスなどの宣伝にも活用できるメリットがあるとされています。

命名権NFTは、HEXAにてオークション販売が行われ、最終的に130万円もの金額で落札されました。今回のNFTによる販売収益は、西川町の発展に活用されるとのことです。

西川町の資源である公園とNFTを掛け合わせた、非常にユニークなNFTの活用方法だといえるのではないでしょうか。

月山ビールNFT

画像引用元:【転売して広めるビールNFT】山形県西川町、特産品の月山ビールが飲めるNFTを1,000円からオークション販売!NFTマーケットのHEXA(ヘキサ)

2023年9月1日、西川町は「月山ビールNFT」のオークション販売を発表しました。

NFT購入者は、「道の駅にしかわ」にて特産品である「月山ビール」を1杯無料で飲める権利を得られます。購入者はNFTの転売が可能であり、二次流通で購入したユーザーも月山ビールを1杯無料で飲むことができます。

また、HEXAが提供する「袋とじ」機能を利用しており、西川町職員による月山ビールPR動画の舞台裏映像を見られるというユニークな特徴も持っています。

西川町としては、月山ビールNFTを足掛かりとして、関係人口の創出に繋げる狙いがあると考えられます。実際、NFTを購入できるのは町外の方だけに制限されており、町外からの人の呼び込みを目的としていることがわかるでしょう。

地域の特産品とNFTを掛け合わせ、実際に西川町に訪れてもらえるきっかけを作る、面白い活用事例だといえそうです。

月山自然水NFT

画像引用元:【転売して広める特産品】山形県西川町、月山自然水が飲めて未公開の工場見学ができるNFTを限定10個の先着販売!NFTマーケットのHEXA(ヘキサ)

西川町は、2023年9月12日から月山自然水が飲めるNFT、「月山自然水NFT」の販売を発表しました。9月13日からHEXAで販売が開始され、1個5,000円、先着10個までの限定販売となっています。

基本的な機能としては、前述の「月山ビールNFT」と非常によく似ているといえるでしょう。NFT購入者は、「道の駅にしかわ」で日本の名水100選に選ばれた「月山自然水」を1本無料で飲むことができます。

また、普段は公開されていない月山自然水の工場見学ができる機能も付与されています。その他、月山朝日観光協会の職員の方による、PR動画の舞台裏を確認することも可能です。二次流通でNFTを入手した方も、同様のユーティリティにアクセスできます。

「月山ビールNFT」と同様、町外の方しか購入できない仕様となっており、関係人口の創出を目的としたNFT活用事例となっています。

山形県西川町のNFTを活用した取り組み事例まとめ

今回の記事では、山形県西川町が進めているNFTを活用した取り組み事例を5つピックアップし、ご紹介してきました。山形県西川町は、メディアエクイティ株式会社と提携し、NFTを使った活動を積極的に展開しています。

こういった活動は全国的にはまだめずらしく、様々な大手メディアなどでもニュースとして取り上げられています。NFTを活用した取り組みを行うことで、市町村としての知名度は確実に向上しているといえるでしょう。

しかし、これらNFTを使った取り組みが地方創生にどれだけの効果を与えているのか、まだ未知数な部分もあります。今後の西川町の動向や、さらなる新たな取り組みには注目していく必要があります。

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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