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POAP(Proof of Attendance Protocol)とは?仕組みや実際の活用事例を徹底解説

解説系記事

NFTのユースケースは年々拡大しています。従来はブロックチェーンゲームのアイテムや、人気シリーズのコレクションなど、インターネットの世界にのみ存在するコンテンツとして注目されてきました。しかし、最近ではオンライン、オフライン問わずさまざまな分野で利用されています。

本記事では、出席証明NFTと呼ばれる「POAP(Proof of Attendance Protocol)」について詳しくまとめました。POAPはプラットフォームを通じて手軽に受け取り・配布し、コレクションとしても収集することができます。

POAPは今後もさまざまなケースでの利用が予想されるので、ぜひこの機会に理解を深めておきましょう。

POAPとは

引用:https://poap.xyz/

POAPとは「Proof of Attendance Protocol」の略で直訳すると「出席証明プロトコル」になります。プロトコルとは、一般的にデータをやりとりする際の手順や決まりのことをいいます。POAPについては「NFT化された出席証明バッジ」と理解しておけばいいでしょう。

POAPには、作成や配布を行うためのプラットフォーム「POAP(https://poap.xyz/)」があります。このプラットフォームは、2019年に複数のベンチャーキャピタルや投資会社が出資を行い合計1,000万ドルを集めて作られました。現在は、個人使用に限り無料でNFT化したPOAPを発行できます。

POAPは、イベントの参加証明書として利用されることが多いです。すでにスポーツブランドのadidasや有名ファッションブランドのVogue、音楽ストリーミングのSpotifyなど数多くの事例があります。

日本でも2022年頃から事例が増え始め、9月には地方活性化の取り組みを競う「夏のDigi田甲子園」でも採用されました。POAPはその扱いやすさと手軽さから、民間企業から自治体まで広がりを見せています。POAPが用いられた事例は記事の後半で詳しく解説します。

POAPの特徴

引用:https://poap.xyz/about-the-protocol

POAPの特徴は以下の通りです。

イーサリアムのブロックチェーン上で発行される
民間企業や自治体など実績が豊富
マーケティングで活用
転売が可能

それぞれ詳しく解説していきます。

イーサリアムのブロックチェーン上で発行される

POAPはイーサリアムのサイドチェーンであるGnosis Chainを基盤としたプラットフォームPOAP(https://poap.xyz/)で発行されます。POAPはスマートコントラクトに基づいて発行されたERC-721規格のトークンであり、登録と画像をアップロードするだけで発行されます。

POAPの入手方法は、QRコードをスキャンしたり秘密の言葉やコードを入力する方法があります。QRコードを使用すればスマートフォンで読み取ってもらうだけで、簡単に入手可能です。

Gnosis Chainは安価で高速な取引処理が行えるサイドチェーンであり、今までユーザーはプラットフォームを完全無料で利用することができました。しかし、2023年4月にルールが改訂され、現在では個人での利用は無料、法人の場合は100POAPあたり25ドルが請求されます。最終的には、1POAPあたり1ドルほどにまで値上がりを予定しているようです。

民間企業や自治体など実績が豊富

POAPは2019年にリリースされてから、民間企業や自治体など多くの団体で利用されてきました。2023年10月時点では、すでに3万8,000人近いユーザーによって680万以上のPOAPが発行された実績があります。

過去にはイベントの出席証明やコミュニティの参加権、ブロックチェーンゲームの記念品などに利用されてきました。しかし、多くの実績は個人、法人が完全無料で使えた2023年4月以前であることは気になる点です。

マーケティングで活用

年々NFTのユースケースは拡大していますが、まだ知名度は高くありません。そのため、イベント開催時のマーケティングの一環としてPOAPを利用することで、顧客に対して注目を引くことができます。

POAPをマーケティングに使った事例には、ゴルフの全米オープンがあります。2023年6月15日から18日まで開催されたトーナメントの参加者は5種類のPOAPが入手できました。入手したPOAPには、Metalwood Studioの限定商品の優先購入権も付与されます。

転売が可能

POAPは他のNFTと同様に転売することができます。しかし、転売するためには、イーサリアムメインネットに移行する必要があり、ガス代を支払わなければなりません。

NFTマーケットプレイスのOpenSeaでは、さまざまな種類のPOAPが出品されている様子が確認できますが、高いものでも「0.01ETH(約2,300円)」程度です。多くは無料で入手できるものであり、プレミアがついて高値で取引されている例は少ないようです。

POAPの用途

引用:https://poap.xyz/about-the-protocol

ここでは、POAPの事例を紹介していきます。

会議の出席証明書
ブロックチェーンゲームの記念品
コミュニティへの参加証明書
プログラムの卒業生
結婚式のギフト

世界に唯一のトークンであることを証明できるNFTの特徴を活かして、さまざまな事例が生まれています。それぞれ詳しく見ていきましょう。

会議の出席証明書

正式名称の中に「Attendance」とあるように、POAPのメインとなる用途はオンライン会議やカンファレンスでの出席証明書です。出席を表明した人に対してコードやQRコードを配布して入手したPOAPを受付で提示し、参加の権利があることを証明します。

現時点では暗号資産のカンファレンスや、オンラインコミュニティの会議など、新しい技術に関心の高い人たちが集まる会合で利用されるケースが多いです。今後普及すれば、暗号資産と関係ないコンサートやイベントでも、チケットの代替品として使われることがあるかもしれません。

ブロックチェーンゲームの記念品

POAPはブロックチェーンゲームの記念品として配布されたことがあります。2022年8月24日〜28日の間に、米国の化粧品ブランドのエスティ・ローダーは、メタバースのディセントラランドで開催された期間限定イベントでPOAPを配布しました。

エスティ・ローダーのPOAPは1種類のみで、イベント期間内に指定の場所にいくことで入手できました。入手したユーザーはエスティ・ローダーが展開するWeb3.0関連のサービスへの限定アクセス権を獲得します。

POAPは安価で発行、配布できるため、企業はコストを抑えてマーケティング施策を打つことができます。

プログラムの卒業生

NFTはブロックチェーン上の情報を改ざんができないことに加え、半永続的に存在し続けます。POAPをプログラムの卒業や資格に合格した人に対して発行することで、経験や能力を証明するための材料になる可能性があります。

すでに仕事の実績を証明するためのプラットフォーム「Job POAP」というサービスも存在します。履歴を記録できることは、NFTの有効な使い方の一つとして注目されています。

結婚式のギフト

POAPはバッジのような見た目で、おしゃれなデザインも多いです。結婚式やイベントのギフトとして参加者に送るような使い方もおすすめできます。

POAPの規格は「PNGもしくはGIF」「500×500ピクセル」「ファイルサイズ:4MB以下」です。一目見るだけで誰の結婚式であったか、どんなイベントだったかがわかるようなPOAPを作ってみてはいかがでしょうか。

POAPの主な事例

引用:https://poap.xyz/

海外発祥のプラットフォームであるPOAPですが、最近は国内の事例も増えてきています。ここでは、国内と海外の事例をいくつかピックアップしました。

adidas Originals
ワーナーミュージックグループ
令和4年度夏のDigi田甲子園の表彰式
Hibiki Run

POAPがどのように利用されたか、詳しくみていきましょう。

adidas Originals

2021年12月、スポーツブランドのアディダスジャパンのストリートウエアブランド「adidas Originals」は、一部のアプリ会員限定でPOAPを提供しました。これは「The Sandbox」などのメタバース向けバーチャルウェアラブルのリリース記念に行われています。

当時はNFTを利用した取り組みは少ない中で、アディダスが先陣を切って行ったことで大きな話題を集めました。現在は発行されたPOAPを無料で入手することができませんが、OpenSeaなど一部のマーケットプレイスで出品され購入できるようです。

ワーナーミュージックグループ

2022年4月、大手レコード会社のワーナーミュージックは、ラッパーのケビン・ゲイツ氏のイベントでファンに対してPOAPの発行を発表しました。配布されたPOAPには記念品としてだけでなく、所持者で構成されるコミュニティへの参加権、限定コンテンツの配布などの特典があります。

ワーナーミュージックはPOAPだけでなく、OpenSeaとも提携しNFTを通じてファンコミュニティを構築するなど、新しい試みを積極的に行っています。今後、音楽業界にどのようにNFTを取り入れていくか注目していきましょう。

令和4年度夏のDigi田甲子園の表彰式

POAPの事例は民間企業だけではありません。内閣官房が主催する「夏のDigi田甲子園」の表彰式で副賞としてPOAPが採用されました。

夏のDigi田甲子園とは、全国の自治体がデジタル技術を活用した地方活性化の取り組みを競う大会です。NFTの採用は、政府・自民党関連としては2例目、内閣官房としては初となりました。デジタル技術を活用した取り組みを競う大会でPOAPが採用されたことで、ブロックチェーンやスマートコントラクトなど、関連する技術への展開、普及も期待されています。

Hibiki Run

Hibiki Runとは100万曲以上の中から音楽を選び、聞きながら運動してポイントを獲得するとガチャが引けるアプリです。2023年8月、Hibiki Runの運営元であるCitiverse社は、ユーザー数10万人突破を記念し、期間限定でガチャの景品としてハムスターキャラクターのPOAPを採用したことを発表しました。

獲得できるPOAPはHam-bikiと呼ばれ「ELECTRO」「FIRE」「WATER」「STORM」「GOLD」の5種類があり、集めた数に応じてゲーム内トークンを獲得できます。さらに、5種類すべてを入手した人には、隠しアイテムを入手できるミステリーボックスも用意されました。

Hibiki Runの事例では、イベントの記念品としてPOAPが使われました。ガチャとPOAPは相性が良く、今後も多くの事例が出てくることでしょう。

まとめ

POAPは、オンライン、オフライン問わずさまざまな場面で利用されている、出席証明NFTです。2022年以降は民間・自治体問わず問わず多くの事例が生まれており、今後もさらなる普及が期待できるでしょう。

一方で、2023年4月から法人での利用が有料化したことは気になる点です。過去は無料であったため発行側も気軽に利用できましたが、今後は状況が変わってきます。有料化した後も、企業側がどれだけこのサービスを利用し続けるかが注目されます。

S.G

SG

月間100万PV超えの投資情報サイトや、ニュースサイトなど、暗号資産に関する記事を数多く執筆するフリーランスのライター。自身も2016年から暗号資産投資を行なっており、日進月歩の進化を遂げる暗号資産業界を常に追ってきた。ライター歴は3年で「文章で読者をワクワクさせ、行動に移させる」をモットーに執筆を行う。東南アジア在住、海外留学の経験があり、英語の翻訳記事も得意にしている。
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