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三井住友海上がDAO(自律分散型組織)型の採用プロセスを導入!DAO型採用プロセスのメリットとは?

解説系記事

2023年10月5日、三井住友海上火災保険株式会社は新しい新卒採用の方法として、DAO(自律分散型組織)型採用プロセスの導入を発表しました。様々な大手メディアや、暗号資産(仮想通貨)専門メディアなどでも取り上げられており、大きな注目を集めています。

この記事では、三井住友海上が進めるDAO型採用プロセスの発表内容や、どのような特徴がある採用方法なのかを詳しく解説していきます。また、DAO型採用プロセスのメリットについても考察していくので、企業の採用担当者の方はぜひ最後までご覧ください。

三井住友海上がDAO(自律分散型組織)型採用プロセスの導入を発表

画像引用元:三井住友海上火災保険株式会社と共同で、新卒採用を現場社員と就活生のDAO組織で運用し透明化

三井住友海上火災保険株式会社は、web3.0関連事業を行う株式会社ガイアックスと連携し、DAOの要素を取り入れた新卒採用プロセスの導入を発表しました。2023年11月からプロジェクトがスタートし、約1ヶ月かけてDAOでの採用活動が行われます。

今回のプロジェクトの目的として、採用試験における透明性・公平性を確保することがあります。一般的に企業の採用・選考基準はブラックボックスとなっており、学生も自分のどのような点が評価されたのか、評価されなかったのかが不透明という問題がありました。

実際、HR総研の情報によると、就活生が抱える不満の第3位には「企業による選考が不透明」といった内容が紹介されています。

こういった問題を解決するために導入されたのが、今回のDAO型採用プロセスです。DAOとは、従来の株式会社などとは異なり、中央集権的な管理者がおらず、コミュニティのメンバーによる投票によって意思決定される新しい組織形態を指します。

三井住友海上はDAOを活用した採用活動を行うことで、学生のどういった部分が評価されたのか、といったことを全てオープンにし、選考における透明性の向上に取り組んでいるといえるでしょう。

DAOについて詳しく知りたい方は、【完全版】DAO(自律分散型組織)とは?特徴や今後の課題、有名なDAOまで徹底解説の記事をあわせてチェックしてみてください。

DAO(自律分散型組織)型採用プロセスの特徴

画像引用元:Mitsui Sumitomo Insurance RECRUITING 2025 – GoodStory

三井住友海上が取り組んでいくDAO型採用プロセスには、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。

ここでは、現在発表されている情報をもとに、DAO型採用プロセスの特徴を詳しくご紹介していきます。以下の項目に沿って、確認していきましょう。

  • DAO内での活動をトークン化して貢献度を可視化
  • 性別・住所・顔写真・大学名などは非公表
  • 今後の採用プロセスのスケジュール

DAO内での活動をトークン化して貢献度を可視化

三井住友海上のDAO型採用プロセスでは、DAO内での活動をトークン化して貢献度を可視化する予定です。

具体的には、DiscordやUnyteなどのチャットツールを活用し、「採用DAO」と呼ばれるDAOを設立します。そこには学生だけでなく、三井住友海上の社員も参加し、意見やアイデアを出したり、メンバー間投票を行ってプロジェクトを進めていきます。

DAO内での活動に対して、全ての参加メンバーはお互いに「いいね!」を送り合います。つまり、DAOでの発言や出したアイデアが評価された学生には、「いいね!」がたくさん貯まるという仕組みになっています。

画像引用元:三井住友海上火災保険株式会社と共同で、新卒採用を現場社員と就活生のDAO組織で運用し透明化

また、「いいね!」はトークンとなり可視化されるので、学生は自分への評価を明確に認識することができるでしょう。プロジェクトの終了後、それぞれの学生が持つトークンの数量が、そのまま評価を意味するという採用方式となっています。

性別・住所・顔写真・大学名などは非公表

今回のDAO型採用プロセスでは、学生は性別・住所・顔写真・大学名などの情報を公表せずに参加することが可能です。また、Discordなどのツール上では、ニックネームで活動できます。

画像引用元:三井住友海上火災保険株式会社と共同で、新卒採用を現場社員と就活生のDAO組織で運用し透明化

採用プロセスに参加する際にも、履歴書やエントリーシートを提出する必要はありません。あくまで学生の想像力や趣味・嗜好などを推測するアンケートに答えるだけで、DAOに参加できます。

一般的な採用試験には存在するとされる、いわゆる「学歴フィルター」がないため、全ての学生に門戸が開かれているといえるでしょう。

今後の採用スケジュール

画像引用元:Mitsui Sumitomo Insurance RECRUITING 2025 – GoodStory

DAO型採用プロセスの今後のスケジュールは、以下のように発表されています。

・2023年10月5日:採用DAOへ参加したい学生の募集が開始
・2023年10月20日:採用DAOへの参加募集の締め切り
・2023年11月1日:採用プロジェクトがスタート
・2023年11月29日:採用プロジェクトが終了
・2023年12月上旬:プレゼンテーションと懇談会の実施

2023年10月5日から学生の募集が開始され、10月20日には参加が締め切られました。集められたアンケートの回答結果をもとに、参加できる学生には10月24日ごろに連絡が届く見込みです。

実際のDAOでの採用活動は11月1日から開始され、11月29日までの約1ヶ月間、全てのメンバーによってプロジェクトが共同運用されます。プロジェクト終了後、高評価を集めた学生には2024年6月以降に改めて面接が行われ、入社の意思が確認される形となっています。

DAO(自律分散型組織)型採用プロセスのメリットを考察

ここまでご紹介してきたように、DAO型採用プロセスは従来の新卒採用試験とは大きく仕組みが異なっています。これから本格的に採用活動が実施され、様々な検証が行われていくと考えられます。

ここでは、現在の情報から推測できる、DAO型採用プロセスの5つのメリットを考察していきます。

  • 採用活動における透明性が向上する
  • 主体性のある学生を採用できる
  • 先進性のある学生を採用できる
  • 企業と学生間でのミスマッチが起こりにくい
  • 大きな注目を集めることができる

採用活動における透明性が向上する

DAO型採用プロセスの最も大きなメリットは、採用活動における透明性の向上が挙げられるでしょう。前述の通り、「採用DAO」での活動を通して獲得した「いいね!」がトークン化され、トークン数量がそのまま評価に直結します。

また、どういった発言・アイデアが高評価されたのか、その過程を学生自身が把握することも可能です。従来の採用・選考の課題となっていた透明性を確保し、学生の価値観とマッチした採用活動を行える可能性があるでしょう。

主体性のある学生を採用できる

DAO型採用プロセスでは、学生自身が積極的に発言したり、アイデアを出したりして、プロジェクトを進めていく必要があります。むしろ、DAOでの活動内容が評価されるという採用方式であることから、積極的に活動しない限り、学生は採用を勝ち取ることができません。

そのため、自分で物事を考えて行動できる、主体性がある学生を採用できる可能性があります。

先進性のある学生を採用できる

近年、暗号資産の注目度の高まりにより、NFTやDAOといった新しいテクノロジーやweb3.0の概念が普及しつつあります。しかし、諸外国と比較すると、日本国内では暗号資産やNFT、DAOなどに関する理解はあまり進んでいません。

こういった状況の中、DAO型採用プロセスに興味を持って応募してくる学生は、先進的な考えを持っている可能性があります。先進性のある人材を採用したい企業の場合、DAOを活用した採用活動が有効になるかもしれません。

企業と学生間でのミスマッチが起こりにくい

採用試験をクリアして入社したものの、「この会社で活躍できるイメージが沸かない」「企業文化・社風が自分には合わない」といったミスマッチが起こることはめずらしくありません。

こういったミスマッチを防ぐためには、学生自身が「この企業で自分は活躍していける」「自分の◯◯という良さを仕事に生かせられる」といった、明確なイメージを持てることが重要だと考えられます。

採用担当者も、学生に対して「なぜあなたを採用したのか」といったポイントはしっかりと伝えていると考えられますが、就活生の立場としては、それが本当に入社後の活躍に繋がるだろうかという不安は残ります。

しかし、DAO型採用プロセスであれば、「自分のどういう部分が評価されたのか」ということが全てトークンという形で可視化されます。こういった仕組みにより、学生としては自信を持って入社することが可能となり、ミスマッチを防げる可能性が高まると考えられます。

大きな注目を集めることができる

DAO型採用プロセスの最後のメリットとして、多くの学生や企業、ビジネスマンなどの注目を集められることが挙げられるでしょう。事実、三井住友海上のDAO型採用プロセスは各方面で注目を集めており、日本経済新聞をはじめとした大手メディアや、暗号資産専門メディアにてニュースとして取り上げられています。

毎年、新卒の採用は業界を超えた熾烈な争いとなっており、多くの企業が有望な人材を採用しようと競争しています。DAOを活用した採用プログラムを導入することで注目を集め、多くの学生が採用試験を受けてくれる可能性があるでしょう。

三井住友海上のDAO(自律分散型組織)型採用プロセスまとめ

今回の記事では、三井住友海上が新しく発表したDAO型採用プロセスについて解説してきました。ご紹介したように、DAOを活用した採用プロセスを導入することで、選考における透明性が向上するなどのメリットがあります。

本プロジェクトに参加するガイアックスは、今後はDAOでの活動履歴・貢献度を示すトークンを学生個人が持ち運び、自身の就職活動やキャリア開発に生かせる未来も構想しています。今年中には、三井住友海上によるDAO型採用プロセスが終了する予定なので、これからの動向にも注目です。

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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