DIVER Tagは、NFCタグを通じて簡単なタッチ操作でNFTを受け取れる技術です。
NFC(近距離無線通信)の技術は、すでに私たちの生活に深く浸透しています。
このNFC技術を活用し、NFTを私たちの実生活の中で利用できる可能性を広げられるのがDIVER Tagです。
この記事では、NFCの技術的な解説を行った上で、DIVER Tagの概要および想定される活用事例について説明します。
この記事の構成
NFC(Near field communication)について
NFC(Near field communication)は、日本語で「近距離無線通信」と呼ばれている技術です。
DIVER TagやNFTとは関連がない領域でも、広く一般に利用されています。また、同様にNFCタグと呼ばれる製品も普及し始めています。
いずれもDIVER Tagの要となる技術であるため、まずはNFCとNFCタグの概要について簡単に解説します。
NFCとは
NFCは、交信距離の短い無線通信のことを指します。
NFCの具体的な利用例には、以下のようなものがあります。
- おサイフケータイやApple Payなど、非接触でのキャッシュレス決済
- モバイルSuicaなどの交通系ICサービス
つまり、カードやスマートフォンなどを媒介とする「非接触型ICカード技術」などが、私たちが普段見かける代表的なNFC導入事例だと言えます。
NFCタグとは
NFCが「非接触で何らかの電子処理を行える技術の総称」であるのに対し、NFCタグは物理的な形状を持つ製品のことを指しています。
NFCタグは市販されており、以下のイメージ画像のように一般家庭における各種家電などのスマート化に利用することができます。
引用元:サンワサプライ
実際のNFCタグは、以下のイメージ画像のように薄いシールのような形状をしているものが多く見られます。その他に、カードタイプやストラップタイプのNFCタグもあります。
引用元:サンワサプライ
日常生活におけるNFCタグの使用例
NFCタグを活用することで具体的に何が出来るのか、私たちの日常生活における使用例をいくつか紹介します。
- 照明やエアコンのON/OFF
- スマホのテザリング機能の起動
- スマホアプリの起動
- 緊急連絡先への電話
なぜ、NFCタグ1つで上記のような多様な使い方ができるのか、その理由を解説します。
例えば「スマホのテザリング機能の起動」という使い方は、概ね以下のようなメカニズムで機能しています。
- 事前にNFCタグに「スマホのテザリング機能を自動的に起動する」という設定をしておく
- スマホをNFCタグにかざす
- 1の「スマホのテザリング機能を自動的に起動する」という設定が有効になる
- スマホのテザリング機能が起動し、自動的にパソコン等がインターネットに接続する
つまり「このNFTタグにスマホをかざすと、自動的に◯◯を起動する・◯◯の電源をON/OFFにする」という命令をあらかじめNFCタグに設定し、スマホをかざしてその設定を有効にすることで家電等が自動的に起動するという仕組みになっています。
DIVER Tagとは
引用元:App Store
DIVER TagはNFCタグの一種です。
一般的なNFCタグでは「照明をONにする」「テザリングを有効にする」などの設定がなされているのに対し、DIVER Tagには「スマホをかざすことで、スマホにインストールされている暗号資産(仮想通貨)ウォレットでNFTを受け取ることができる」という設定がなされています。
つまり、DIVER Tagの機能を一言で表現すると「スマホをタッチすることで、あらかじめ設定されたNFTが受け取れるタグ」ということができ、NFTの活用の幅を広げるツールとして注目を集めています。
DIVER Tagに関連する各種技術について
ここで、DIVER Tagについて詳細を解説する前に、DIVER Tagと関連が深い各種プロダクトについて解説します。
DIVER
DIVERは、ブロックチェーンの力で「個人を尊重する社会」を実現することを目指して誕生したweb3プロジェクトです。
本記事のテーマであるDIVER Tagも、DIVERが形成するエコシステムの一部に位置付けられます。
DIVER Chainという独自のブロックチェーンは、1秒あたり24万件の取引ができる高速処理能力や、取引手数料が完全に無料といった特徴があります。
また、独自のウォレット機能であるDIVER Walletは、DIVER Tagを受け取るために必要なツールになっています。
DIVER Chain
DIVER Chainは、DIVERのネットワークの根幹となる独自ブロックチェーンです。
思想や設計面においてビットコインとイーサリアムの双方から影響を受けているDIVER Chainは、主に以下のような特徴を持っています。
- Impartiality(独占の排除と平等なアクセス)
- Agility(高速な取引)
- Freely(手数料が完全無料)
- Flexibility(開発の柔軟性)
Impartiality(公平性)は、中央集権的な存在による独占の排除と、誰もが平等にネットワークにアクセスできることを意味しています。
Agility(敏捷性)は、1秒間に24万件の取引を可能にするDIVER Chainの高速処理を表現しています。
Freely(取引手数料無料)は文字通り、DIVER Chain上の取引にかかる手数料が完全に無料であることを指しています。
Flexibility(柔軟性)は開発の柔軟性のことを指しており、ここではイーサリアムと同じ規格で開発が可能であることを表しています。
DIVER Wallet
DIVER WalletはDIVER独自の暗号資産ウォレットで、暗号資産やNFTなどを一元的に管理することができます。
2023年10月25日現在、DIVERのネイティブトークンであるDIVERコイン(DIV)、ビットコイン、イーサリアムの3種類の暗号資産に対応しています。
ビットコインとイーサリアムは、それぞれBTCとETHの送受信および保管のみが可能です。
NFTについては、DIVER Chain上のものはDIVと同様のウォレットアドレスで送受信が可能ですが、イーサリアムブロックチェーン上のNFTの送受信および保管は未対応です。
DIVER TagでのNFT受け取りに際しては、DIVER Wallet側でNFTの受け取りアドレスを保有していることが必要です。
本記事では後ほど、DIVER Walletの作成方法についても解説します。
DIVER Tagが活用されうる事例
ここからは、DIVER Tagが活用されうる事例について解説します。
DIVER自体が2022年1月に開発がスタートした比較的新しいプロジェクトであることから、DIVER Tagが実際に使われているケースはまだ多くありません。
したがって、ここではDIVER Tagが有している機能から推測する形で、実現できそうなユースケースについて説明します。
NFTによる会議・イベント等への参加証明
1つ目は、会議やセミナー、その他リアルな場面で行われるイベントに参加したことを、参加者自らがNFTによって証明できることが挙げられます。
私たちの実生活においては、「◯◯のイベントに参加した」という事実をデジタル上で参加者自らが証明することが実は困難です。
なお、「デジタルデータで証明する」または「参加者自身が証明する」という2要素のどちらか一方だけを満たす形であれば、証明は可能です。
前者の場合、会議出席時に自身のIDカードを専用端末にタッチするなどして、自分がその場にいたことをログとして残すことができます。
しかしこのケースは、会議への参加をデジタル上の履歴として証明することにはなりますが、「参加者自身が証明する」ことにはなりません。
参加者のログは会社側が管理しており、参加者側が能動的に証明することは困難だからです。
そもそも、企業の勤怠管理システムなどは外部のサービスなどを利用していることも多く、そのシステムが使えなくなった場合は自身の会議参加履歴は消えてしまいます。
一方、後者の場合は物理的な形がある紙の証明書などを利用することで、参加者自らが自身の参加を証明することはできます。
例えば、使用済みのライブチケットや美術館の入場券を所有していれば、自分がそのライブや美術館を訪れたことの証明になるでしょう。
しかし、この場合は物理的な形状を持つ証拠によってのみ参加を証明できることになり、デジタルデータとしては証拠を残すことができません。
したがって、証拠となるチケットや入場券の現物を紛失してしまうと、証明ができなくなってしまう恐れもあります。
これらの課題を解決し、「参加者自ら」が「デジタルデータで」リアルなイベントへの参加を証明しうる手段として活用が期待されるのがDIVER Tagです。
具体的には、以下のような流れでの利用が想定されます。
- 会議室やコンサート会場に「参加証明NFT」が受け取れるDIVER Tagを設置する
- 参加者はDIVER Tagにスマホをかざして「参加証明NFT」を受け取る
- 「参加証明NFT」をスマホの暗号資産ウォレットに保管する
これらの簡単な工程で、特定のイベントに参加したことを参加者自らがデジタルデータによって証明できるようになります。
まず、NFTは他者の管理を受けない個人ウォレットに保管されるため、イベント参加者は自分がイベントに参加した事実を能動的に証明することができます
さらに、NFTはデジタルデータとしてウォレットに残り続けるため、チケットのような物理的形状を持つ証拠に比べて紛失リスクも格段に減ります。
このように、DIVER Tagを通じてNFTを受け取ることで、リアルなイベントに参加したという事実を、参加者自身がデジタルデータで簡単に証明できるようになることが予想されます。
リアルな物品の所有に関する証明
2つ目は、リアルな物品の所有を証明する手段として利用できる点です。
こちらも具体例を挙げて解説します。
希少価値が高く、現存数が少ない物品にあたるヴィンテージのワインを例に考えます。
ワインは物理的なアイテムであるため、自分がそのワインを所有していた(実際に飲んだ)ことは、そのワインのボトルなどを所有していない限り証明することはできません。
しかし、DIVER TagおよびNFTを活用することで、より簡単にそのワインを過去に所有していたことが証明できます。
具体的には、以下のような流れでの利用が想定されます。
- ワイン製造業者が、ワインのコルクに銘柄やシリアルナンバー付きのDIVER Tagを埋め込む
- ワイン所有者はコルクを開けてタグをスキャンし、NFTを受け取る
- NFTをスマホの暗号資産ウォレットに保管する
この工程においては、ワインを開封して飲むときしかNFTを受け取れないため、NFTをウォレットに所有していることは、すなわち過去にそのワインを開封した(=所有していた)ことの証明になります。
このように、DIVER Tagによってリアルな物品とNFTを紐づけることで、その物品の所有に関してデジタル上でも証明可能になることが想定されます。
NFT所有者をターゲットにしたマーケティング
3つ目は、DIVER Tagを通じたNFTの配布が、これまでにないマーケティング手段になり得る点です。
これは、すでに述べた2つの事例とは異なり、事業者目線でのユースケースになります。
1点目で述べたライブや美術館の入場証明NFT、2点目のワインの所有証明NFTを保有していることは、それぞれのNFT保有者が、「ライブを行ったアーティスト」や「美術館に作品を展示している画家」、「ヴィンテージのワイン」などに関心を持っていることを意味しています。
つまり、DIVER Tagを通じてNFTを配布したことがある事業者から見ると、上記のようなNFT保有者は「自社の商品やサービス、イベント、広告等に一度は触れたことがある潜在顧客、または既存顧客」であることがわかります。
そして、このNFT保有者に絞ってマーケティング施策を打つことで、さらに濃いファンになってもらい、さらなる商品やサービスの購買につなげることができます。
このように、DIVER TagによるNFTの配布は、顧客の興味関心をデジタルデータの形で視覚化し、それをウォレットに蓄積していくことを可能にします。
その結果、各ユーザーがウォレットに保有しているNFTは、企業にとって重要なマーケティングの材料になる可能性があります。
DIVER Tagを使用する事前準備
ここからは、DIVER TagでNFTを受け取るために必要な事前準備について解説します。
すでに述べた通り、DIVER TagでNFTを受け取るにはDIVER Walletが必要です。
なお、DIVER Walletを作成済みの方は、以下のリンクから次の手順に進んでください。
【DIVER Walletを作成済みの方】DIVER Tagの使い方
DIVER Walletの作成
ここでは、iOS版のDIVER Walletを作成する手順を解説します。
Android版の場合も大まかな流れは変わりません。
<手順1−1>AppStoreの検索欄に「ダイバーウォレット」と入力して検索します。
「入手」ボタンをタップし、DIVER Walletをインストールします。
※初回インストールの場合、上記の再ダウンロードのアイコンが表示されている位置に「入手」ボタンが表示されます。
インストールが完了したら「開く」をタップしてDIVER Walletを開きます。
<手順1−2>「新しいウォレットを作成する」をタップします。
<手順1−3>セキュリティパスワードを設定します。
セキュリティパスワードは「文字と数字を含む8文字以上、64文字以内」の任意のパスワードを設定して構いません。
以下の画面の通り、同じパスワードを2回入力したら「次へ」をタップします。
<手順1−4>ウォレット名を入力します。
ウォレット名は、自分が把握・管理しやすい任意の名前を入力して構いません。
入力ができたら、以下の画面の通り「作成する」をタップします。
<手順1−5>リカバリーフレーズに関する注意事項が表示されます。
リカバリーフレーズとは、自身のDIVER Walletを他のデバイスで復元するために必要な12個の英単語です。
リカバリーフレーズを第三者に知られた場合、自身のDIVER Walletが勝手に復元され、ウォレット内のすべての資産を盗み取られる危険性があります。
第三者がリカバリーフレーズの入力を促そうとする指示は、100%詐欺だと考えて差し支えありません。
ご自身の資産を守るために、リカバリーフレーズは絶対に他人に教えないようにしましょう。
リカバリーフレーズに関する注意事項を確認したら、画面を下にスクロールします。
3つのチェックボックスすべてにチェックを入れると「次へ」のボタンが表示されるので、これをタップします。
<手順1−6>12個の英単語で構成されるリカバリーフレーズが表示されます。
以下の画面では、最初の3つの単語以外は隠しています。
表示されている12個の単語を、表示されている順番通りに紙に書き留めるなどして保管しましょう。
なお、スマートフォンやパソコンでスクリーンショットを撮って保管するのは避けるようにしてください。
スクリーンショットの画像はクラウドシステムなどによってインターネット上に保管されるため、データが流出する可能性が無いとは言い切れないためです。
リカバリーフレーズをすべて書き留めることができたら、「次へ」をタップします。
<手順1−7>次の画面では、12個のリカバリーフレーズを正しい順番で並べるように指示があります。
手順1−6で書き留めた順番の通りにリカバリーフレーズをタップし、問題がなければ「Verify」のボタンが表示されるので、これをタップします。
以下の画面が表示されたら、DIVER Walletの作成は完了です。
DIVER Tagの使い方
ここからは、iOS版のDIVER Tagを利用する手順を解説します。
Android版の場合も大まかな流れは変わりません。
<手順2−1>AppStoreの検索欄に「DIVER Tag」と入力して検索します。
「入手」ボタンをタップし、DIVER Tagのアプリをインストールします。
インストールが完了したら「開く」をタップしてDIVER Tagを開きます。
<手順2−2>DIVER Tagを開いたら、画面下部の「TAGをスキャンしてください」をタップします。
<手順2−3>「スキャンの準備ができました」と表示されたら、DIVER Tag(NFCタグ)の読み込み準備は完了です。
事前にDIVER Walletもスマートフォンにインストールしておけば、この状態でスマートフォンをDIVER Tag(NFCタグ)に近づけることでNFTを受け取ることができます。
NFT×NFCが生み出す「リアルとデジタルの融合」
本記事では、NFCタグを活用してスマホで簡単にNFTを受け取れるDIVER Tagの概要と使い方について解説しました。
NFTとNFCによって生み出されるのは、真の意味での「リアルとデジタルの融合」です。
これまでは物品の所有や存在を証明するにあたり、リアルの手法・デジタルの手法の双方において、何らかの欠陥が残る証明手段しかありませんでした。
しかし、DIVER Tagがリアルとデジタルの橋渡しをすることにより、より利便性が高くて確実な所有・存在の証明方法が生まれる可能性があります。
今後、様々なユースケースが想定されるのがDIVER Tagです。ぜひ今のうちにDIVER Walletと合わせてインストールし、手軽にNFTを受け取る体験をしてみてください。