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ReFi(再生金融)とは?GXでブロックチェーン技術が果たす役割

解説系記事

環境問題への関心が高まる中、金融の世界でも新しい動きが見られます。それが「ReFi」です。まだまだ、ReFiの概念やその背後にある技術などは多くの人々にとって馴染みが薄いかもしれません。

本記事ではReFiとは何か、そしてブロックチェーン技術がどのようにしてReFiをサポートしているのかを解説します。また、ビジネスに関わる方々はGXの新たなWeb3型ソリューションとして、ReFiへの理解を深めて頂ければ幸いです。

ReFiの概要

ReFi(Regenerative Finance)はブロックチェーン技術を用いて地球環境の再生を目指す取り組みです。トークン経済※1を通じて環境活動へのインセンティブを提供します。

異常気象や環境破壊が人類の大きなテーマとなる中、ReFiは経済と連携させて持続可能な未来を実現するWeb3型ソリューションとして注目されています。

※1 関連記事:トークンを企業が発行するメリットは?独自のトークノミクスと成長戦略

従来の環境対策と違いは?

  • 経済的インセンティブ
  • 透明性と信頼性
  • DAOによる意思決定

従来のWeb2型ビジネスでも環境対策は行われていました。ReFiを採用するWeb3型ビジネスでは何が変化するのでしょうか。ReFiのもたらす主要な変化を解説します。

経済的インセンティブ

ReFiは環境保全や地球環境の再生を経済的インセンティブと結びつけることで、企業や個人が環境問題へ積極的に取り組む動機付けを与えます。

透明性と信頼性

環境保護プロジェクトにブロックチェーン技術を活用することで、取引やプロジェクトの進行状況が公開され、透明性や信頼性が確保されます。

DAOによる意思決定

ReFiの開発運営は主にDAO※2によって進められます。コミュニティ主導でのリソース分配や意思決定が可能となり、多様なステークホルダーの声をしっかりと反映した組織運営が可能になります。

※2 DAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自立組織)は中央管理者を省いたWeb3時代の民主的な組織形態です。

ReFiが注目される背景

ReFiの歴史は2015年に経済学者John Fullertonが「再生資本主義」という概念を提唱したことに始まります。Fullertonは従来の資本主義が及ぼす環境や社会に対する悪影響を指摘し、新しい形の資本主義を模索しました。

2023年現在、気候変動や生態系破壊などの問題が急速に深刻化する中、社会や環境に対してポジティブな影響をもたらす新しい形の資本主義が求められています。

ReFiはESG※3の観点から投資を進化させ、サステナビリティ(持続可能性)を追求します。

※3 E(Environment:環境)、S(Social:社会)、G(Governance:統治)

GXでもReFiは有効

GX(Green Transformation)は化石燃料からクリーンエネルギーへの転換を目指す経済、ビジネス上の取り組みです。気候変動対策として、多くの国が温室効果ガスの削減を進めており、日本も2050年の「カーボンニュートラル」を目指しています。

GXの目標達成の手段としてReFiは非常に有効です。環境保護と次世代金融のシナジーは新たなビジネスチャンスももたらします。

参照:経済産業省「GXリーグ基本構想」

GXへの理解

  • DXとの連携
  • 目標は持続可能な社会
  • 企業の責任

DXとの連携

GXとDX※4は密接な関係にあります。DXも政府がバックアップする企業革新プロセスです。DXで採用されるデジタル技術を駆使して環境データの収集や解析を行うことで、GXの効率化につながります。

※4 DX(Digital Transformation:デジタル変革)はデジタル技術を活用し、ビジネスプロセスや組織文化を革新する取り組みです。

目標は持続可能な社会

GXでは再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率向上など、環境に優しい経済活動を推進し、持続可能な社会の実現を目指します。新規事業では積極的なグリーンエネルギー活用が求められます。
企業の責任
多くの企業がGXの取り組みを主導的に行い、具体的な目標や方針を設定しています。企業の社会的責任を果たす上でもGXへの取り組みは大切です。また、GXは環境対策のみならず、企業のブランディングにも大きな影響を与えます。

参照:内閣府「GX実行会議」

GXが注目される背景

2020年10月、菅義偉首相は「2050年カーボンニュートラル」宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると明言しました。これを受けて「GX」というコンセプトが国内で急速に注目を集めるようになりました。

GXは環境問題への対応と経済成長を両立させる取り組みを指し、日本の未来の方向性を示すキーワードとして位置づけられています。

参照:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定」

ReFiがGXで果たす役割

  • スマートコントラクトの活用
  • マイクロファイナンス
  • グローバルな資金調達
  • ファントークンの活用
  • データの透明性と信頼性を確保

ReFiはGXの取り組みの中で、単なる資金調達の手段としてだけでなく、マーケティングやガバナンスにも活用されます。GXを進める企業担当者の方々に向けて、ReFi導入のインサイトとなれば幸いです。

詳しく見ていきましょう。

スマートコントラクトの活用

スマートコントラクトはブロックチェーン上で自動実行される契約です。GXの取り組みにおいて、ReFi導入でエネルギー取引や再生可能エネルギーの証明書の取引などを自動化・効率化できます。環境への取り組みを加速させることは間違いありません。

マイクロファイナンス

ReFiを用いれば少額の資産を極めて低い手数料で送金できます。送金は24時間可能です。GXを進める上で、タイムリーかつ適切なリソース分配を可能にします。使用するチェーンによって送金コストが異なるので事前に見積をしましょう。

グローバルな資金調達

ReFiのプラットフォームを通じて、世界中から資金を環境プロジェクトに集めることが可能となります。地域や国の枠を超えて、GXの取り組みをグローバルに拡大することができます。

ファントークンの活用

ReFiを活用したファントークン発行などで、消費者自身が企業のGXに直接参加・投資することを促すキャンペーンを展開することができます。消費者と企業とのつながりが深まり、長期的な顧客ロイヤルティの構築が期待できます。

データの透明性と信頼性を確保

ブロックチェーン技術を活用することで、環境データの改ざんが困難となり、その信頼性が向上します。企業や団体のGXが透明になり、ステークホルダーからの信頼を得ることができます。

NFT HACKではReFiなどのWeb3型ソリューション導入をサポートいたします。どうぞ、お気軽にご相談ください。

ReFiの事例

すでにReFiプロジェクトは世界中で進んでおり、日本国内でも有望な事例が見られるようになりました。ここでは世界、日本それぞれのReFiプロジェクトを具体的に解説します。

世界のReFi事例

  • SolarFarmAccess (SFA)
  • Regen Network
  • Toucan

SolarFarmAccess (SFA)

SolarFarmAccess (SFA)は太陽エネルギーとブロックチェーンを組み合わせたReFiプロジェクトです。販売されるNFTの収益は実際の太陽光発電所の建設資金として寄付されます。

発電された電力は暗号資産のマイニングや地域社会への供給に使われます。また、マイニング収益はDAOによって保管され、NFTホルダーの投票で使い道が決定されます。

公式サイト:SolarFarmAccess

Regen Network

Regen Networkは農業にフォーカスしたReFiプロジェクトです。農家などの参加者は農耕地に応じたカーボンクレジットの申請を行い、NFTとして販売できます。

NFT取引は「Regen Network」という独自のブロックチェーン上で行われます。クレジットの発行や移転、モニタリングの結果は全て記録されます。チェーンのガス代に使用されるのは「REGENトークン」です。

公式サイト:Regen Network

Toucan

Toucanはカーボンクレジットのユーザビリティを追求するReFiプロジェクトです。カーボンクレジットをトークン化して取引を効率化します。主要トークン「TCO2」は「BCTトークン」や「NCTトークン」に変換され、DEXなどでトレードが可能です。

BCTやNCTはポリゴンチェーン上で発行されるのでガス代を極めて低く抑えることができます。さらに、ToucanはオープンAPIの提供やマーケットプレイスの実装を通じて、カーボンクレジット市場の透明性とアクセス性を向上させています。

公式サイト:Toucan

日本のReFi事例

  • 株式会社テックシンカー
  • e-dash
  • MORI NFT

株式会社テックシンカー

株式会社テックシンカーはCO2排出量の可視化事業、カーボンオフセットの支援などを行う企業です。カーボンクレジットをNFT化し、ブロックチェーン上で取引可能にすることで、環境保全活動へのインセンティブを提供するReFiを実現しています。

独自のマーケットプレイスではカーボンクレジット商品を日本円で購入することができます。NFTカーボンクレジットはOpenSeaでの購入となります。

公式サイト:株式会社テックシンカー

e-dash

e-dash株式会社はCO2排出量可視化のクラウドサービス「e-dash」を提供しています。e-dashをWeb3型ビジネス、ReFiへと移行させる取り組みにも積極的です。e-dashが目指すのはカーボンクレジットをオンラインで購入できるマーケットプレイス「e-dash Carbon Offset」の本格運用です。

2023年9月には「1st-Off」というNFT化したボランタリークレジット※5の販売実証を開始しました。エシカル商品※6の製造や提供過程でのCO2排出をオフセットするためのNFT化したボランタリークレジットも提供しています。

※5 ボランタリークレジットは民間(非政府組織、企業、団体、個人など)が主導するプロジェクトから発行されるクレジットです。

※6 エシカル商品は環境や社会に配慮した商品です。

公式サイト:e-dash

MORI NFT

MORI NFTは実際の森林面積に基づくNFTを発行・販売し、CO2吸収量向上を目指すReFiプロジェクトです。運営はJE FOREST株式会社が担当し、イーサリアム上で2種類のNFT「MORI NFT」と「i Green NFT」を発行しています。

MORI NFTの販売益の一部は実際の森林保護事業者へ割り当てられ、CO2削減量に応じて「i Green NFT」がホルダーへとエアドロップされます。2023年3月には広島の森林と連携したMORI NFTが完売したということで注目を集めました。今後はメタバースでのマーケティング展開、DAO化などが期待されています。

公式サイト:MORI NFT

まとめ

ReFiは持続可能な環境活動をサポートするための新しい分散型金融融システムです。ReFiで使用されるブロックチェーン技術は取引の透明性と信頼性を高めます。また、ReFiはGXの有力な手段であり、より多くの人々を環境保護活動に参加できるようにします。

本記事を通じて、ReFiの重要性とGXにおける有効性、相互作用についての理解を深めて頂ければ幸いです。

AMEHARE

AMEHARE

ITの最新トレンドを発信しはじめて十余年。Web2から3の時代の変革もいち早く察知し、2012年ごろから仮想通貨に注目をし始める。次世代の文化やテクノロジーを情報を掴みつつ、NFT・メタバース・DAOなどの領域であらゆる情報を発信中。
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