設定されたタスクをクリアし、無料で暗号資産を入手できる「エアドロップ」が注目されています。
エアドロップは企業やDAOが進めるプロモーション戦略でも有効です。低コストでWeb3プロジェクトを多くの人に認知してもらうことができます。
本記事ではエアドロップの概要や参加方法、注意点などを分かりやすく解説します。企業やDAO、ユーザー側双方に向けて有益な情報となれば幸いです。
この記事の構成
暗号資産のエアドロップとは?
暗号資産のエアドロップはプロモーションやリワードの一環として、無償でFTやNFTを配布することです。コミュニティを拡大し、新しいプロジェクトやトークンの認知度を高める手段として利用されます。最近では企業やDAO※だけでなく、インフルエンサーや個人ユーザーがエアドロップを行うケースも増えています。
※DAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)は中央管理者を介さないWeb3型の組織です。
エアドロップのメリット/デメリット
エアドロップのメリット | エアドロップのデメリット |
ユーザーは無料でトークンが入手できる | 参加条件が複雑な場合がある |
企業側は低コストでプロモーションが可能 | 入手したトークンの価値は不明 |
トークン値上がりが期待できる | 税金の問題 |
エアドロップのメリットは企業やDAO、ユーザー側双方にあります。企業側はユーザー側の情報拡散を利用して低コストでプロモーションを実現します。ユーザーは無料でトークンを入手し、Web3プロジェクトなどで活用できます。
一方で、参加条件が複雑になる場合もあり、時間をとられることもあります。また、入手したトークンに市場価値がついていない場合、将来的な価値は未知数です。もし、値段がついても売却する際には税金を支払う必要があります。複雑な計算が生じる場合はWeb3に詳しい税理士さんへ相談しましょう。
ギブアウェイ(Give Away)との違い
ギブアウェイは「無償の提供」という意味です。エアドロップと同様の文脈で用いられることが多く、基本的にはどちらも無料で何か(FTやNFT)を配る行為を意味します。発行者ごとに言葉は使い分けられていますが、両者の間に顕著な違いはありません。
エアドロップへの参加方法
- 参加条件の確認
- タスク消化
- エアドロップ受取
エアドロップ情報はX(旧Twitter)などで告知されることが多いです。他にも、Web3プロジェクトの公式サイトなどにも掲載される場合があります。情報収集は小まめに進めていきましょう。
1.参加条件の確認
魅力的なエアドロップ情報が見つかったら、まずは参加条件と期間を確認して下さい。Web3プロジェクトに関わるFTやNFTの保有が条件になっている場合もあります。NFTゲームなどでは、テストプレイ参加者に限定されることもあります。
2.タスク消化
通常はエントリーシートへの登録、SNSアカウントフォロー、#(ハッシュタグ)ポスト、リポストなどがタスクとして設定されます。エントリーシート登録時に暗号資産を受け取るウォレットアドレスの入力が必要な場合があります。メタマスクなどのウォレットは事前に準備しておきましょう。
3.エアドロップ受取
タスクを完了すると、エントリーシートに入力したウォレットに暗号資産がエアドロップされます。ウォレットにFTが表示されていない場合はコントラクトアドレスを入力して下さい。NFTはウォレットの表示機能でみることができますが、NFTマーケットプレイスなどでも確認する方法があります。
エアドロップはWeb3時代の事業プロモーション
企業、DAO側にとってエアドロップは非常に低コストで行うことのできるプロモーションです。様々なプロジェクト情報をSNSで効果的に拡散することが可能です。Web3時代において有力なマーケティング手段であることは間違いありません。
プロモーションの手法
プロモーション手法 | 特徴/具体例 |
広告宣伝 | テレビCMや広告など |
販売促進(セールスプロモーション) | 購買を直接促す |
パブリックリレーションズ(PR) | 顧客との良好な関係構築 |
人的販売 | 営業や対面販売など |
SNS、口コミ | 情報拡散を進める |
プロモーションにはいくつかの種類があります。エアドロップは特にSNS/口コミを用いたプロモーションに該当しますが、人的販売を除く他の手法(広告宣伝、販売促進、PR)もサポートします。
Web2/Web3プロモーションの比較
比較項目 | Web2プロモーション | Web3プロモーション |
対象ユーザー | 一般大衆、特定市場 | 暗号通貨コミュニティ |
使用されるもの | プレゼントグッズ、クーポン | デジタルアセット、トークン |
主な使用チャネル | TV、ラジオ、新聞、雑誌 | SNS |
従来のWeb2プロモーションは一般的な市場や大衆を対象とし、プレゼント企画やクーポン配布などでプロジェクトを支援します。一方で、Web3プロモーションでは暗号資産の知識と技術を持つユーザー層をターゲットにし、主にSNSを用いてプロジェクトへの認知度向上を図ります。
エアドロップはWeb3時代に有効なプロモーション
エアドロップはWeb3時代において非常に効果的なプロモーション手法です。無償でトークンを提供することで、新しいユーザーを引きつけます。さらに、トークンに魅力的なユーザービリティを提供することで長期的な顧客ロイヤルティを構築することができます。
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エアドロップを実施する側の注意点
- 事業計画との調整
- 技術面での対応
- 正当性の確保(犯罪組織などへの対処)
ここでは企業やDAOがエアドロップを行う上での注意点を解説します。
事業計画との調整
エアドロップは製品やサービスの市場導入戦略の一環として機能します。事業計画や企業ビジョンに沿って行うことが大切です。エアドロップの規模、タイミング、対象者を適切に選定していきましょう。
短期的な利益よりも長期的なユーザー基盤の拡大に焦点を当てるため、トークノミクスへの理解も重要です。エアドロップされた暗号資産が将来どのような用途で使うことができるのかも事業計画と調整し、公表していきます。
関連記事:「トークンを企業が発行するメリットは?独自のトークノミクスと成長戦略」
技術面での対応
暗号資産を安全かつ効率的に配布するためには、ブロックチェーン技術とスマートコントラクトへの理解が大切です。配布プロセスの自動化、セキュリティ、およびスケーラビリティの確保では専門技術と知識が必要になります。
エアドロップ前にトークン配布の正確性を検証するため、システムテストも欠かせません。技術的な課題を事前に把握し、適切なリソースと専門スタッフによる解決を図りましょう。
関連記事:「NFTは自作可能?スマートコントラクトの作成からミントまでを解説」
正当性の確保(犯罪組織などへの対処)
エアドロップの暗号資産が犯罪組織に渡らないよう、正当性の確保が重要です。対処方法としては、参加者の身元確認(KYC: Know Your Customer)が有効です。KYCを通じて、エアドロップ参加者の違法性を排除し、マネーロンダリングやテロ資金調達を防止します。
また、スマートコントラクトに特定の条件を設定することで、トークンが不正なアドレスに送られるのを防ぐこともできます。合法性とセキュリティを保つための措置は、エアドロップの信頼性を高め、法的なリスクを低減させる上で不可欠です。
関連記事:「プライバシーか?AML/CFTか?ブロックチェーンの秘匿技術と追跡技術」
エアドロップに応募する側の注意点
- プロジェクト自体が消えるリスク
- FT/NFTの将来的な価値は未知数
- 税制への認識
エアドロップに応募するユーザー側の注意点を解説します。
プロジェクト自体が消えるリスク
エアドロップに参加する際はWeb3プロジェクトが将来的に消滅するリスクを考慮する必要があります。エアドロップに応募する前にプロジェクトの信頼性、チームの実績、ビジネスモデル、実行の可能性などを詳細に調査することが重要です。
プロジェクトの将来性を理解し、リスクを適切に評価することで、無駄なタスク時間の損失を避けることができます。
FT/NFTの将来的な価値は未知数
エアドロップで受け取るFTやNFTの将来的な価値は未知数です。暗号資産の市場価値は需要と供給、市場のトレンド、技術的な進歩や規制の変化など、多くの要因に左右されます。価格のついたエアドロップトークンを保有する場合、市場に注意を払う必要があります。
一方で、多くのエアドロップでは無料でFTやNFTが入手できます。「値上がりすれば幸運」くらいの気持ちで保有していても良いのかも知れません。
税制への認識
エアドロップを利用する際は税制への理解も重要です。日本ではエアドロップで受け取った暗号資産の税金は、市場価値の有無に注目して計算されます。
市場価値がある場合、受け取り時の時価を所得として計上し、税金が課されます。市場価値がない場合、所得とみなされません。エアドロップで受け取った時点で価値がなく、後に価値がついた場合、トークンを売却するまで所得税は発生しません。税金に関しては必要に応じてWeb3に詳しい税理士さんに相談しましょう。
まとめ
エアドロップは実施する企業やDAO側、ユーザー側双方にとって非常に魅力的です。企業やDAOは非常に低コストでプロモーション戦略を展開でき、ユーザーは無料で暗号資産を入手できる可能性があります。
以上、Web3時代の事業プロモーションとしてエアドロップについて解説させて頂きました。本記事がWeb3ビジネスを進める皆様に向けてお役に立てる情報となれば幸いです。