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デジタルウォレット不要のNFTの受け取り・配布サービスまとめ

解説系記事

NFTに興味があっても「ウォレットとの接続が複雑」「アプリをインストールしなければならない」といったことを理由に敬遠し、結果的に離れてしまうケースが少なくありません。NFTの送受信にはウォレットと暗号資産(仮想通貨)が必要であることが、普及を阻害する大きな要因になっていると考えられます。

そうした中で、近年NFTウォレットをインストールしなくてもNFTを閲覧できたり、保有できるサービスがリリースされています。そうしたサービスではスマートフォンに付帯している基本的な機能を利用して、NFTに気軽に触れることができます。

本記事では、デジタルウォレット不要のNFTの受け取り・配布サービスをまとめました。これからNFTを収集したり、ビジネスでの活用を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

NFTの普及を阻害する要因とは

デジタルウォレット不要のNFTの受け取り・配布サービスを紹介する前に、まずNFTの普及を阻害する要因を確認しておきましょう。具体的には、以下の2点が考えられます。

送受信にはウォレットが必要
ガス代が必要

それぞれ詳しく解説していきます。

送受信にはウォレットが必要

NFTを購入して、送受信するためには専用のウォレットが必要になります。ウォレットはMetamaskがもっとも有名で、他にはソラナ系のブロックチェーン専用のPhantomや海外取引所のバイナンスが提供するTrust Walletなどがあります。特にこだわりがなければ、さまざまなマーケットプレイスに対応しているMetamaskを選ぶといいでしょう。

送受信するためのウォレットは、通常スマートフォンではアプリ、PCではブラウザの拡張機能で利用します。アプリと拡張機能、いずれの方法でも設定の手間やデータ通信費がかかるため、ウォレットを準備するまでに熱が冷めてしまう人も多いことでしょう。

また、ウォレットは難しい知識がなくても利用できますが、最低限「ミント」「スワップ」「ネットワーク」「シードフレーズ」などの用語は理解しておく必要があります。こうした見慣れない言葉を見て、ウォレットの設定を諦めてしまう人も一定数いると考えられます。

ガス代が必要

NFTを送信するためには、ガス代と呼ばれるコストを支払う必要があります。ガス代とは、ブロックチェーン利用の手数料のようなものであり、取引の混み具合やウォレット上の設定によって変動します。Metamaskの場合はガス代をイーサリアムで支払う必要があり、1回につき200円〜300円程度かかることが多いです。

NFTを始めたばかりの初心者にとって、ガス代は大きな負担となります。

また、ガス代を支払うためには、一度は暗号資産取引所などからウォレットに送金する必要があります。国内の主要な取引所では、イーサリアムの送金手数料は以下のように設定されています。

コインチェック:0.005ETH(約1,500円)
ビットフライヤー:0.005ETH(約1,500円)
ビットバンク:0.005ETH(約1,500円)
GMOコイン:無料
SBI VCトレード:無料

コインチェックやビットフライヤーを使っている人は、200円〜300円のガス代を支払うために、0.005ETH(約1,500円)をかけて送金することになります。一度だけの取引を考えていて熱量の高くない人が、途中でNFTの送信を諦めてしまうのも無理がないといえるでしょう。

デジタルウォレット不要のNFTの受け取り・配布サービス

ここでは、デジタルウォレット不要のNFTの受け取り・配布サービスを紹介していきます。

ProofX
NFT Shot
ONEPLATE
NFT配布くん
Enta NFT

上記のサービスはMetamaskのようにNFTを自由に何度も送信できたり、暗号資産をスワップする機能はありません。閲覧や受信といった、基本的な機能のみ搭載しています。

それぞれのサービスについて、詳しく解説していきます。

ProofX

ProofXは、店舗や地域、施設などを訪れた人に対して、記念品としてNFTを発行できるサービスです。NFTに関連する事業を展開する株式会社ProofXが提供していて、2022年6月17日にProofXのβ版がリリースされました。

ProofXの特徴

ProofXでは、スマートフォンでリンクやQRコードを読み込むことで、参加・来店記念NFTを入手できます。受け取るユーザー側はウォレット不要で、メールアドレスを登録したりゲストユーザーとしてログインすることでNFTを閲覧します。また、Metamaskなどのウォレットを連携すればNFTを簡単に移行することが可能です。

NFTを発行する側は「QRコード+位置情報」「ワンタイムQRコード」「ワンタイムURL」の3つの方法が選べます。中でもQRコード+位置情報を用いた方法は、位置情報も細かく確認できるため、店舗や観光施設での利用に向いています。

ProofXではNFT発行以外にも、スタンプラリーのように収集できる「NFTラリー」や、NFTをすべて集めると称号が獲得できる「NFT実績解除」の機能も実装しています。

ProofXの実績

ProofXは、日本全国でさまざまな実績があります。直近では2023年10月13日に、北海道にある世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」で、デジタルスタンプラリーに導入されました。ユーザーは遺跡群に設置されたQRコードを読み取ることで、限定のNFTを入手できます。

他にも、札幌市の商業施設「モユクサッポロ」での限定NFT配布や、福岡市の「The Creators 2022」でスタンプラリーに利用されるなど、年々実績が増えています。

NFT Shot

NFT Shotとは、インターネットを見る時に利用するブラウザのキャッシュ機能を用いたNFT配布サービスのことです。NFTに特化したサービスを提供するSUSHI TOP MARKETING社が提供しており、娯楽・エンタメ、テレビ、新聞、出版などさまざまな業界で実績があります。

NFT Shotの特徴

NFT Shotでは、受け取るユーザー側はQRコードを読み取ったり、リンクをクリックするだけでNFTを体験できます。NFTはブラウザウォレットと呼ばれる仮のウォレットに保管され、Metamaskなどを接続すると移行できます。

NFTを発行する側も、画像をアップロードする以外の作業は不要です。NFT発行数や受け取ったウォレットアドレスの情報を収集して、ダッシュボード上で確認することも可能です。

NFT ShotはSUSHI TOP MARKETING社が推奨するトークングラフマーケティングに活用されています。トークングラフマーケティングとはブロックチェーン技術を活用し、ユーザーの匿名性を維持した上で展開するマーケティング手法です。プライバシーの侵害や情報の転売が懸念されるCookieを用いたマーケティングの問題点を解決できるとして、注目されています。

NFT Shotの実績

SUSHI TOP MARKETING社では、ICカードのサービスであるNFT名刺や、自販機からNFTを配布するNFT自販機など、NFT Shotを用いたサービスを複数展開しています。

また、日経新聞でQRコードを用いた配布を行い、ダッシュボード上では合計1万8,000個以上のNFTがブロックチェーン上にあることが確認されています。

ONEPLATE

ONEPLATEとは「だれでもいますぐNFTを始められる」をテーマとしたNFT配布ツールです。ブロックチェーンを用いた事業を行う株式会社NFTDriveが展開しており、2023年5月30日に「フード業界のデジタル革命〜パネラーによる事例を交えたトークセッション〜」で初めて公開されました。

ONEPLATEの特徴

ONEPLATEでは、NFTを受け取る側はウォレットを事前に準備する必要なく、URLにアクセスするだけで閲覧できます。また、URLをNFCタグやNFCカードに設定して、スマートフォンをかざすだけでアクセスすることもできます。

ONEPLATEは、フードNFTに特化したツールです。フードNFTとは味の情報を数値化してブロックチェーン上に保存し、多くの人に伝えることを目的としたNFTです。フードNFTの情報はパブリックブロックチェーンであるSymbol上に保存され、ONEPLATEを通じて閲覧可能となり、効率的な運用を実現します。

ONEPLATEの実績

ONEPLATEは想い出の味、おふくろの味、未来に残すべき伝統の味などを数値化してNFT化した「フードNFT市場」の創出を目的とする「フードNFTコンソーシアム」で用いられました。

ONEPLATEはただ単にNFTを配布するだけでなく、イベントやマーケティング、営業などにも応用して、フード界の定番ツールとなることを目指しています。

NFT配布くん

NFT配布くんとは「はじめてのNFT保有」を叶えることをミッションにしたサービスで、暗号資産やウォレット不要で、NFTの受け取りができます。株式会社リードエッジコンサルティングが提供しており、イベントを中心に多くの実績があります。もともとは法人向けにサービスが提供されていましたが、2023年10月には個人向けのプランも公開されました。

NFT配布くんの特徴

NFT配布くんでは、Facebook、X(Twitter)、 DiscordのSNSアカウント、またはGoogleやメールアドレスからログインしてNFTを受け取ります。通常、NFT発行時にガス代がかかる問題がありますが、NFT配布くんでは「リレートランザクション」という仕組みによって解決しています。

また、法人向けのエンタープライズプランではガス代配布機能を搭載しており、入手したNFTを暗号資産なしで別のウォレットやプラットフォームへの送信が可能です。

NFT配布くんの実績

NFT配布くんはイベント関連の事例が多いです。2023年7月1日に実施された「NFT COLLECTION IN OSAKA」で来場記念として配布されたNFTには、NFT配布くんのプラットフォームが利用されました。また新規VTuberタレントを生み出すプロジェクト「TransmitStreamers × ME TOKYO」とのコラボキャンペーンでも、NFT配布くんを用いて配布が行われています。

Enta NFT

Enta NFTとはSNSのアカウントを利用して簡易的なウォレットを作成し、NFTの受け取りを可能とします。株式会社ゆめみのWeb3・NFT事業を推進するアートチームが企画・開発したプロダクトであり、2023年にはグッドデザイン賞を受賞しました。

Enta NFTの特徴

Enta NFTを利用するためにはNFT配布くん同様に、Facebook、X(Twitter)、 DiscordのSNSやGoogleのアカウントが必要です。SNSやGoogleを通じてEnta NFTのプラットフォームにアカウントを作成し、NFTを受け取ります。

EntaNFT独自のダッシュボードでは受け取り状況が可視化され、費用に対してどれほどの効果があったのかを検証することができます。

Enta NFTの実績

Enta NFTは主にイベントでの実績が豊富です。直近では2023年10月7日〜29日まで開催された屋外型国際写真祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」で導入されています。6つ以上の会場を巡りアンケートに回答すると、オリジナルグッズのプレゼントを受け取ることができました。

2023年にはセキュリティを維持した使いやすさが評価されてグッドデザイン賞を受賞し、今後さらなる用途拡大が期待されています。

まとめ

2021年NFTが普及し始め興味を持つ人が増えた一方で、送受信にウォレットが必要なことやガス代が普及を阻害する要因にもなっています。ウォレット不要のNFT受け取り・配布サービスも複数出てきていますが、機能は一時的な保存や閲覧に限定されています。

そのため、ウォレット不要のNFT受け取り・配布サービスはあくまで認知を取るための一時的なツールといえるでしょう。本格的な普及のためには、送受信可能なウォレットの設定手順を簡素化しガス代を削減することが重要と考えられます。

S.G

SG

月間100万PV超えの投資情報サイトや、ニュースサイトなど、暗号資産に関する記事を数多く執筆するフリーランスのライター。自身も2016年から暗号資産投資を行なっており、日進月歩の進化を遂げる暗号資産業界を常に追ってきた。ライター歴は3年で「文章で読者をワクワクさせ、行動に移させる」をモットーに執筆を行う。東南アジア在住、海外留学の経験があり、英語の翻訳記事も得意にしている。
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