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国内外の航空業界におけるNFTの活用事例|活用方法(ユースケース)を3つに分類

解説系記事

近年、NFT(Non-Fungible Token)はデジタルアートのみならず、様々な分野での活用が進んでいます。ビジネスにNFTを導入する取り組みもあり、航空業界でもその動きが見られます。

この記事では、国内外の航空業界におけるNFTの活用事例をピックアップし、詳しくご紹介していきます。これから自社ビジネスにNFTを活用したいと考えている航空業界の方は、ぜひ最後までご覧ください。

航空業界におけるNFTの活用方法(ユースケース)

現在の航空業界におけるNFTの活用方法(ユースケース)は、以下の3つに分類することができます。具体的な活用事例を見ていく前に、航空業界でのNFTの活用方法を確認していきましょう。

  • NFTチケット
  • NFTロイヤリティプログラム
  • NFTコレクション

NFTチケット

航空業界におけるNFTの活用方法として、まずはNFTチケットが挙げられるでしょう。NFTチケットとは、その名前の通り、航空券(搭乗券)をNFTとして発行する取り組みです。

NFTチケットは偽造防止などの面で注目されており、航空業界だけでなく、様々な業界で導入が期待されています。航空券ではあまり問題として取り上げられませんが、音楽コンサートなどのチケットの転売は大きな問題となっています。SBT(ソウルバウンドトークン)という譲渡不可能なNFTも登場しており、SBTでチケットを発行することで、転売を未然に防げる可能性があるでしょう。

関連記事:【譲渡不可能なNFT】SBT(ソウルバウンドトークン)を徹底解説

すでに航空券をNFTとして発行している航空会社も登場しており、今後もこの流れは加速すると考えられます。

NFTロイヤリティプログラム

航空業界では、NFTを活用したロイヤリティプログラムも実施されています。具体的な内容は後述しますが、ユーザーが飛行機に搭乗するたびにNFTを獲得でき、それらを集めると特典を得られるといったプログラムです。

ロイヤリティプログラムを実施することで、顧客が自社サービスを使ってくれる動機付けとなり、ユーザーのエンゲージメントを高められる可能性があるでしょう。

また、NFTを活用することで、ロイヤリティとして獲得したNFTをユーザー同士で取引することもできます。収集したNFTを売却して現金化したり、他のユーザーからNFTを購入して特別な特典を得るといったことも可能になると考えられます。

NFTコレクション

航空会社の中には、独自のNFTコレクションを展開し、ユーザーとの新しい関係構築を目指す動きも見られます。NFT保有者にコミュニティのメンバーシップを付与し、独自のユーティリティ(特典)を提供する航空会社も存在しています。

また、NFTを発行・販売する際にOpenSeaなどの既存のマーケットプレイスは利用せず、独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げている企業も確認できます。

国内外の航空業界におけるNFTの活用事例

ここからは本記事の本題となる、国内外の航空業界におけるNFTの活用事例を5つご紹介していきます。航空業界でどのような形でNFTが活用されているのか気になる方は、詳しくチェックしてみてはいかがでしょうか。

  • フライボンディ:NFTチケット
  • ルフトハンザ:ロイヤリティプログラム
  • トキエア:TOKI AIR NFTプロジェクト
  • JAL:JAL TODOFUKEN NFTコレクション
  • ANA:ANA GranWhale NFT MarketPlace

フライボンディ:NFTチケット

画像引用元:Flybondi

2023年3月30日、アルゼンチンの格安航空会社(LCC)のフライボンディ(Flybondi)は、eチケットをNFTとして発行することを発表しました。このプロジェクトは「Ticket 3.0」と呼ばれており、スタートアップ企業のTravelXと提携した上で実施されています。

フライボンディのNFTチケットは、Algorand(アルゴランド)上で構築された、TravelXが提供するプラットフォームで発行されます。NFTチケットの特徴的なポイントとしては、チケットの発行後、ユーザーが自分でチケットの名義を変更できたり、他のユーザーにチケットを譲渡、売却できることが挙げられます。

これにより、購入側としては旅行者が誰かわからない状態でもチケットを購入することが可能となります。また、状況にあわせてチケットを自由に譲渡・売買することもでき、より柔軟な旅行体験ができるでしょう。企業であれば、事前に航空券だけ押さえておき、後から出張する社員を決めるといった使い方もできます。

NFTチケットは偽造を防ぐ側面も注目されており、今後は航空業界だけでなく、様々な業界での活用が進んでいくと考えられます。

ルフトハンザ:ロイヤリティプログラム

画像引用元:Uptrip – NFT Trading Cards for all your flights with Lufthansa Group

ドイツのナショナル・フラッグであるルフトハンザ(Lufthansa)は、2023年8月31日にNFTを活用したロイヤリティプログラムの実施を発表しました。

ユーザーは、Uptrip(アップトリップ)という専用のアプリをダウンロードし、MetaMask(メタマスク)などのウォレットを接続します。その後、自分の搭乗券をスキャンすると、Polygon(ポリゴン)上で発行されたNFTトレーディングカードを入手できます。ユーザーは、様々なNFTカードを収集することで、ビジネスラウンジの利用券や無料マイル、フライトクラスのアップデートなどの特典を獲得することが可能です。

今後、ルフトハンザ独自のマーケットプレイスの立ち上げも予定されており、ユーザー同士でのNFTカードの自由な取引が可能となります。NFTカードを購入して集めることで、実際に飛行機に搭乗することなく、特典を得ることもできるでしょう。

Polygonの発表によると、試験公開の段階で2万以上のユーザーが登録し、20万枚以上のNFTトレーディングカードが発行されたとのことです。非常に独自性のある、面白いNFTの活用事例だといえるでしょう。

トキエア:TOKI AIR NFTプロジェクト

画像引用元:就航地活性化を目指すトキエアより日本初エアラインコミュニティ向けNFTが5月31日(水)販売開始

新潟市を拠点に置く地域航空会社のトキエアは、日本初となるエアラインコミュニティ向けNFT「TOKI AIR NFT」の販売を発表しました。TOKI AIR NFTを購入したユーザーは、「NFT CREW」メンバーになることができ、飛行機をより楽しむためのユーティリティ(特典)を獲得できます。

具体的なユーティリティとして、以下のような内容が発表されています。

  • トキエア初便搭乗券の優先購入権利(抽選)
  • 就航前に実施される地上訓練への参加権利
  • Discord内でのNFT CREW限定ルームへの参加権利
  • 特別イベントへの優先参加権利
  • 限定のトキエアグッズの優先購入権利
  • 不定期で特別なNFTがプレゼントされる権利

TOKI AIR NFTの保有者は、上記のような特典を利用する権利が得られます。NFTを通して独自のコミュニティを形成し、ユーザーに新たな体験を提供するユニークな活用事例だといえるでしょう。

しかし、今回のNFTのリリースは2023年6月30日に予定していた、新潟 – 札幌(丘珠)線の新規就航に先立ち、実施されたものでした。現在、トキエアは同航路の就航延期を発表しており、今後の見通しは立っていません。今回販売されたNFTについても、先行きが不透明な状況となっています。

JAL:JAL TODOFUKEN NFTコレクション

画像引用元:JAL は「TODOFUKEN NFTコレクション」を通じて、デジタル上での新たなつながりを提供します

2023年7月20日、JAL(日本航空)は独自のNFT「JAL TODOFUKEN NFTコレクション」のリリースを発表しました。JALとしては、2023年2月に発表した「KOKYO NFT」に次ぐ、第2弾目のNFTコレクションとなっています。

NFTの内容としては、過去にJALの国内線で配布された「JAL TODOFUKEN SEAL」をモチーフとしたNFTコレクションです。第1弾として、まずは北海道、東京、大阪、福岡、沖縄の5都市がデザインされたNFTが販売されました。

また、2023年8月31日時点で全てのNFTを保有していた方には、コンプリート特典として「SPECIAL JAL NFT」がプレゼントされています。加えて、全5種類のNFTを保有している方を対象に、抽選で限定100名に搭乗券をデザインした特典も郵送されました。

LINE NFTのプラットフォーム上で発行されており、日本円で購入できるため、NFTに関する知識がない方でも取引しやすいという特徴があります。独自性のあるNFT活用事例ではないかもしれませんが、JALは本プロジェクトを通して、ユーザーとの新たな関係性の構築を目指しています。

ANA:ANA GranWhale NFT MarketPlace

画像引用元:ANAグループがNFT事業を開始!

2023年5月30日、ANA(全日本空輸)は、「ANA GranWhale NFT MarketPlace」という独自のNFTマーケットプレイスの立ち上げを発表しました。ANAのグループ企業であるANA NEOが手がけており、エアライングループとして世界初のNFTマーケットプレイスとなっています。

同マーケットプレイスでは、ANA独自のNFTコレクションも販売されており、第1弾は航空写真家であるルーク・オザワ氏の写真NFTが販売されています。また、第2弾では、ANAが世界で初めて導入したボーイング787初号機の特別塗装機と、幻のデザインとして検討されていた飛行機をNFT化し、3Dモデルの飛行機として販売しました。

画像引用元:ANA Group News公式Twitter

「ANA GranWhale NFT MarketPlace」では、クレジットカード決済が導入されているため、NFTの取引経験がない方でも手軽に購入できる仕組みとなっています。また、イーサリアム(ETH)での決済にも対応しているので、暗号資産(仮想通貨)で決済したい方にも使いやすいでしょう。

ANAとしては、主にアートや音楽などの分野で活用されているNFTを航空業界に応用することで、顧客との新たな繋がりの創出を目指していくとしています。

国内外の航空業界におけるNFTの活用事例まとめ

今回の記事では、国内外の航空業界におけるNFTの活用事例について解説してきました。まだ事例としては少ないものの、徐々に航空業界でもNFTを活用する動きが見られています。これから自社ビジネスにNFTを利用したい航空業界の方は、他社の活用事例を参考に、NFTの活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。

GM

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2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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