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2024年に予定されている暗号資産の大型イベントまとめ

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2023年は多くの暗号資産(仮想通貨)が時価総額を伸ばし、躍進を遂げた年となりました。取引高速化の実現やNFTマーケットプレイスの取引手数料見直しなど、暗号資産はユーザーにとってより使いやすい存在となってきています。

一方で、米国証券取引委員会が暗号資産取引所を相手取った訴訟、リップルを有価証券とする裁判が進行するなど、2024年以降が不安視されるような出来事も発生しています。

本記事では、2024年に予定されている暗号資産の大型イベントをまとめました。今後の暗号資産市場全体の予測や、ご自身の取引に役立ててみてください。

2024年1〜3月:イーサリアム大型アップグレード「Dencun(デンクン)」

イーサリアムは、2024年の1月〜3月に大型アップグレード「Dencun(デンクン)」の実施を予定しています。2023年6月の段階では2023年中の実施を予定していましたが、十分なテストの時間を必要とすることや、イーサリアムネットワークの手数料が減少傾向で緊急性が低いことなどを理由に延期されました。

 

前回のアップグレードの「The Merge(ザ・マージ)」は2022年9月に行われ、ブロックを追加する際のルールであるコンセンサスを「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」へ移行しました。今回のアップグレードDencunは、取引手数料の削減やネットワーク全体の効率化を目的として行われます。

「Dencun」の主な変更点

イーサリアムのアップグレード時に、変更・改善点について「EIP(Ethereum Improvement Proposals)-〇〇〇」という表記が用いられます。EIPは直訳すると「イーサリアム改善提案」になります。Dencunアップグレードによる変更点は主に以下の通りです。

EIP-4844:レイヤー2ネットワークの手数料削減EIP-1153:ストレージコストを削減し、ネットワーク全体の効率性を向上

EIP-4788:実行レイヤーに「ビーコンチェーンブロックルート」というデータを追加し、ステーキングに関する情報の証明が可能に

EIP-6780:「SELFDESTRUCTオペコード」というスマートコントラクトを終了させる機能を削除し、セキュリティ性の向上

この中でも中心となる変更は、EIP-4844のレイヤー2ネットワークの手数料削減です。レイヤー2とは、レイヤー1のイーサリアムのネットワークとは異なる2層目のネットワークのことです。レイヤー2ネットワークに取引履歴を書き込むことで、レイヤー1の負荷を軽減し、処理速度を向上させることができます。

レイヤー2ネットワークは、さまざまな暗号資産チェーンにも利用されていますが、イーサリアムは他と比較して手数料が高いという特徴がありました。今回のアップグレードでは、一定期間だけアクセス可能なブロブトランザクションを導入することで容量が削減され、効率性が向上します。効率性の向上により取引処理にかかる時間が減り、手数料も削減できる仕組みです。

他にもEIP-1153によるストレージ削減や、EIP-4788とEIP-6780による新機能を削除・追加することで、ネットワークの効率化が期待されています。

「Dencun」後に何が起こるか

Dencunが行われることにより、レイヤー2ネットワークのポリゴンやライデンネットワークなどの手数料が削減される予定です。ここ数ヶ月はイーサリアムの手数料は低下傾向ですが、今後さらに利用しやすくなるでしょう。

また、Dencunはネットワークの分岐を伴うハードフォークであり、アップグレード時は新たな暗号資産が誕生する予定です。前回のハードフォークのThe Mergeでは、イーサリアムPoW(ETHW)とイーサリアムフェア(ETHF)が生まれました。

ハードフォーク時に国内取引所でイーサリアムを保有している人は、新暗号資産の付与や相当額の日本円入金などの対応が行われることになると考えられます。

2024年4月:ビットコイン半減期

ビットコイン半減期とは、ビットコインのマイナーが獲得できる報酬が半分になるイベントのことです。現在は1ブロックあたり6.25BTCを獲得できますが、2024年4月には3.125BTCとなる予定です。

半減期はビットコインの価値を維持・向上させるために行います。ビットコインは発行総数が2,100万枚と上限が決まっています。獲得できる報酬が半分になるとマイニングにかかる法定通貨のコストが高くなり、相対的にビットコインの価値が上がる仕組みです。

過去のビットコイン半減期

ビットコインの半減期は、およそ4年に一度のスパンで訪れます。半減期は21万ブロックごとに訪れるルールになっており、ブロックは約10分に1個生成される仕組みです。

そのため、半減期にかかる時間となる「21万×10分=210万分」は、4年間の合計となる「365日×24時間×60分×4年間=210万2,400分」とほぼ一致します。4年に一度といわれるのは、こうした理由があります。

一つ前の半減期は2020年5月12日であり、2024年4月には4回目を迎えることが予想されています。半減期は2140年にビットコインが合計2,100万枚の発行が完了するまで、およそ4年スパンで行われる予定です。

ビットコイン半減期の特徴

ビットコインの半減期はマイナーが獲得できる報酬が半分になるイベントであり、暗号資産取引所で主に取引しているユーザーには直接的な影響はありません。

ただし、過去の値動きでは「半減期の2ヶ月前からビットコインの価格が上昇しやすい」といった傾向があります。2回目の半減期である2016年7月、3回目の半減期である2020年5月には、それぞれ2ヶ月間で約40%、100%の上昇を記録しました。

次の半減期が近づいた際にも、特徴的な値動きがみられるかもしれません。

2024年中:リップル裁判の判決

リップル裁判とは、2020年12月に米国の証券取引を監視するSEC(米国証券取引委員会)が「2013年から7年間、有価証券登録を行っていない暗号資産(リップル)を販売した」として、リップル社とCEOのブラッド・ガーリングハウス氏、共同創設者で会長のクリス・ラーセン氏を提訴したことを発端とする裁判です。

提訴から3年が経つ今も裁判は継続中です。2023年7月には一部リップル側が勝訴した発表がありましたが、最終的な判決はまだ出ていません。

今までのリップル裁判

2020年12月に提訴があってから現在まで、SECとリップル社に対して幾度にもわたる書類や動画と音声の開示、申し立てが行われてきました。大きな動きとしては、以下が挙げられます。

2020年12月23日: 米証券取引委員会(SEC)がリップル社を証券法違反で提訴

2021年1月28日: XRP投資家による集団訴訟

2021年1月29日: リップル社がSECの提訴に反論を提出

2021年2月29日: SEC側が修正訴状を提出

2022年3月11日:裁判所はSECの主張を一部却下

2023年7月13日: 裁判所が一部判決を下し、リップル側が一部勝訴

2023年10月19日:CEOと共同創設者に対する提訴を取り下げ

 

2021年後半から2022年末にかけては、両者に対して書類や動画と音声の開示、申し立てなどは行われていたもののこう着状態が続き、大きな動きはありませんでした。

その後、2023年前半から裁判は動き始め、7月には裁判所側が「個人向けに販売されたリップルは、有価証券である投資契約には該当しない」と、一部リップル社の主張を認める判決が出されました。しかし、これはあくまで個人向けであり「機関投資家向けに販売されたリップルは有価証券である」という結論も出しています。

また、2023年10月にはSECがリップル社のCEOと共同創設者に対する提訴を取り下げを行いました。個人向けの販売は問題ないと判断された点と今回の提訴取り下げされたことにより、現在はリップル社が優勢と見られています。

一方で、SECは判決を受けて上告(判決に対する不服申し立て)を行い、リップル社に対する損害賠償の訴えは続ける姿勢も示しています。最終的な判決は2024年以降になると予想されています。

2024年以降のリップル裁判

リップル裁判について、次回は2024年4月中を予定しています。

CEOと共同創設者に対する提訴が取り下げされたことに加え、市場全体の上昇ムードも相まってリップル社有利の見方が強いです。しかし、今後の判決によっては状況が一変する可能性があります。

リップル社はビジネスの90%は米国外で行われており、裁判による影響は小さいと主張しています。しかし、今現在もちょっとした裁判の動向によっても値動きがあるように、判決結果は今後の去就に一定の影響を与えると予想できます。

2024年内:暗号資産取引所と暗号資産に対する裁判

SECが提訴しているのは、リップル社だけではありません。暗号資産取引所と個別の暗号資産に対しても提訴を行っています。具体的には以下の通りです。

 

2023年6月5日、6日:暗号資産取引所バイナンスとコインベースを提訴

2023年6月5日:バイナンスのCEOチャンポン・ジャオ氏を提訴

2023年6月6日:ソラナ(SOL)、バイナンスコイン(BNB)、カルダノ(ADA)、ポリゴン(MATIC)など含む61銘柄を無登録で販売された証券と指摘し提訴

2023年11月20日:SECが暗号資産取引所クラーケンを提訴

 

2023年6月にSECから提訴があったことが発表された際には、ビットコインで8%ほどの下落がありました。しかし、提訴の前から関係者の間では「いずれは裁判になる」という見方が強かったこともあり、すぐに下落前の元値近くまで回復しています。

ここでは、暗号資産取引所と個別の暗号資産銘柄に関する裁判、2つにわけて解説していきます。

暗号資産取引所に関する裁判

暗号資産取引所に関する裁判にはバイナンスとコインベース、クラーケンが挙げられます。いずれの取引所に対しても、SECは「SECへの登録なしで、有価証券である暗号資産を顧客へ販売した」「不十分な管理体制で顧客の資産を危険に晒した」という、2つの点を指摘しています。

SECの一つ目の指摘事項には「有価証券である暗号資産」という文言が含まれています。SECとしては有価証券となる暗号資産を許可なしで販売した、という言い分です。そのため、暗号資産取引所と個別の暗号資産銘柄に関する裁判はセットで考えることができます。

また、暗号資産取引所と同時に、バイナンスのCEOであるチャンポン・ジャオ氏を相手にした提訴も行われました。この提訴について、同氏はマネーロンダリング違反を認め、CEOを辞退して罰金43億ドル(約6,450億円)を支払う司法取引に応じています。この司法取引によって、バイナンスの事業継続は認められました。

現在も暗号資産取引所に対する裁判は継続しています。

個別の暗号資産銘柄に関する裁判

SECは過去の訴訟を通じて、全61種類の暗号資産を証券と指摘しています。米国では、証券を販売する際はSECに認可され登録する必要がありますが、指摘された暗号資産はそうした手順を踏んでいません。

61種類の中にはソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、ポリゴン(MATIC)、コスモス(ATOM)、ザ・サンドボックス(SAND)など、著名なアルトコインも含まれます。

この裁判についても、まだ具体的な進捗は確認できていません。2024年以降に大きな動きがあると考えられます。

2024年内:ビットコイン現物ETFの申請

ビットコインETFとは、現物のビットコインと価格が連動するように作られた上場投資信託のことです。2023年12月時点では、ビットコインの先物ETFだけが承認されており、現物ETFは対象外となっています。

先物価格と連動する先物ETFは、期限や精算コストなどが発生するため、現物価格との乖離が発生しやすい特徴があります。現物とは異なる動きをする懸念があり、信頼性を疑って投資を躊躇する人も少なくありません。

もし、ビットコイン現物ETFが承認されれば、暗号資産取引所を経由せずに、証券会社から購入できるようになるので、多くの投資家からの資金流入が期待できます。

ビットコイン現物ETFの取り扱いにはSECの認可を必要としますが、現時点で承認されたことはありません。2024年以降の承認が期待されています。

まとめ

2024年にはビットコインの半減期やイーサリアムの大型アップデートなど、現時点で見えているだけでもさまざまなイベントが予定されています。

本記事で紹介したイベントは、暗号資産の価格や市場に大きな影響を与えると考えられます。ぜひ参考にして、2024年以降の戦略を立ててみてください。

S.G

SG

月間100万PV超えの投資情報サイトや、ニュースサイトなど、暗号資産に関する記事を数多く執筆するフリーランスのライター。自身も2016年から暗号資産投資を行なっており、日進月歩の進化を遂げる暗号資産業界を常に追ってきた。ライター歴は3年で「文章で読者をワクワクさせ、行動に移させる」をモットーに執筆を行う。東南アジア在住、海外留学の経験があり、英語の翻訳記事も得意にしている。
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