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対馬市が実施する「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」とは?NFTによって海岸ごみ問題を解決できるか

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2023年10月20日、長崎県対馬市がNFTを活用して海岸漂着ごみ問題の解決を目指す、「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」を開始しました。地方自治体によるNFTを活用した新しい取り組みとなっており、日本全国で問題となっている海ごみ問題解決の一つの事例となる可能性があります。

この記事では、対馬市が実施する「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」の概要・特徴や、NFTが海岸漂着ごみ問題にもたらす可能性などについて解説していきます。また、他の自治体でも同様の方法でNFTの活用は可能か?といった考察もしていくので、ぜひ最後までご覧ください。

対馬市が実施する「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」とは?

画像引用元:対馬海ごみアート × NFTプロジェクト

早速ですが本記事の本題となる、対馬市が実施する「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」のプロジェクト内容をご紹介していきます。

プロジェクトについて詳しく把握するため、対馬市を取り巻く海岸漂着ごみの問題についても取り上げて解説します。

対馬市を取り巻く海岸漂着ごみの問題

九州と朝鮮半島の中間に位置する長崎県対馬市ですが、その立地的に日本で最も海岸ごみが漂着する場所とされています。対馬市によると、海岸ごみの70%が海外から漂着するものとなっており、その量は年間3万〜4万㎥にものぼるとされています。

国の補助金や市の予算など、年間約2.9億円の費用をかけて海岸ごみを回収しているとのことですが、漂着する3〜4割のごみしか回収できていない状況です。漁協やボランティアなどにも協力を要請していますが、他の地方自治体よりも財政的な負担が大きく、長年全ての海岸ごみを回収できず、多くのごみが取り残されています。

取り残された海岸ごみは、海岸の景観を悪化させるだけでなく、船の海上航行の妨げにもなるため、地元の水産業などにもネガティブな影響が出ていると考えられます。また、放置された海岸ごみがマイクロプラスチック化することで、生態系や人体にも悪影響を及ぼしているといえるでしょう。

画像引用元:【ネクストゴール500万円に挑戦中!!】日本一海洋プラごみが流れ着く島を守りたい!「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」がスタート!

現在、海岸ごみは対馬市だけでは解決できない問題となっています。今後も海岸を守っていくためには、持続的な活動資金の確保が必要不可欠な状況となっています。

海岸ごみ問題の解決に向けた持続可能な仕組みの構築を目指す

これらの問題を解決するために開始されたのが、「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」です。「海岸ごみの回収率を向上する持続可能な仕組み作り」を目的に、2023年10月20日からプロジェクトが始動しました。

具体的には、漂流ごみを活用したアート作品の制作・販売を行い、それらの収益をごみの回収・処理費用に充てるというプロジェクトになっています。

画像引用元:【ネクストゴール500万円に挑戦中!!】日本一海洋プラごみが流れ着く島を守りたい!「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」がスタート!

本プロジェクトでは、実物のアート(リアルアート)だけでなく、NFTアートも制作する計画となっています。また、リアルアートを購入した方には、その作品を購入した証明書として、NFTが配布される予定です。

今後、NFT保有者限定のコミュニティを立ち上げ、日本国内の海岸ごみ問題を解決していくプラットフォームを構築する計画もあります。NFTを単純なアート、証明書としてだけでなく、会員権として活用する意図があると考えられるでしょう。

まだ開始して間もないプロジェクトではありますが、NFTを利用して海岸ごみ問題の解決を目指す、非常に面白いNFT活用事例だといえます。

ふるさとチョイスGCFでクラウドファンディングを実施

画像引用元:【ネクストゴール500万円に挑戦中!!】日本一海洋プラごみが流れ着く島を守りたい!「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」がスタート!

そんな「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」ですが、国内大手のふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」が提供するGCF(ガバメントクラウドファンディング)にて寄付金の募集を実施しました。

ふるさとチョイスGCFは、ふるさと納税の制度を利用してクラウドファンディング(資金調達)を実施できるサービスです。寄付をするユーザーは、通常のふるさと納税と同様に寄附金控除を受けられるため、税制面で優遇される仕組みとなっています。

今回のクラウドファンディングで調達した資金は、プロジェクトの設立・運営や、漂着物アートの制作費用などに活用されるとのことです。資金調達は2023年10月20日〜2024年1月18日まで実施され、目標金額の280万円を突破し、338万3,000円もの寄付金を集めることに成功しています。

NFTの活用が海岸漂着ごみ問題にもたらす可能性

NFTを活用した持続可能な仕組みを構築できれば、国内における海岸ごみ問題を解決できる可能性があります。NFTを利用して海岸ごみ問題を改善・解決できた場合、地域にとって以下のような好影響をもたらすと考えられます。

  • 観光客の増加
  • 水産業への好影響
  • 生態系や健康問題への好影響

観光客の増加

漂流ごみの問題点として、まず海岸の景観が悪化することが挙げられます。景観の悪化は、その地域のイメージダウンに直結します。海岸に漂流ごみが放置されることで、結果的に観光客数の減少などにつながってしまうと考えられるでしょう。

しかし、NFTを活用して海岸ごみ問題を解決できれば、観光客の誘致を促し、地域経済に好影響を与える可能性があります。

水産業への好影響

海岸ごみは、地域の水産業にも悪影響を与えています。例えば、漁業者にとっては、海産物に混入したごみを取り除く手間が発生したり、浮遊している漁網などが船舶航行の妨げになることがあります。販売した海産物にごみが混入していた場合、風評被害が発生する可能性もあるでしょう。

NFTを活用することで、こういった地域の水産業に及ぼしている悪影響を改善できるかもしれません。

生態系や健康問題への好影響

現在、放置された海岸ごみは生態系にも悪影響を及ぼしています。漂流したごみが生物の体に絡まってしまったり、マイクロプラスチック化したごみを餌と間違えて食べて死んでしまうなど、数多くの問題が報告されています。

また、マイクロプラスチックを食べた魚などを人間が食べることで、人体にも悪影響が発生するのでは、との懸念もあります。

このような生態系や人体への悪影響などの課題についても、NFTが問題解決の糸口になる可能性があるでしょう。

他の自治体でも同じ方法でのNFT活用は可能か?

「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」は、まだ始まったばかりのプロジェクトです。しかし、対馬市による取り組みが一定の成果を収めた場合、他の自治体でも横展開できる有効なNFTの活用方法になると考えられます。

2024年現在、NFTを本格的に活用している自治体の数は、まだまだ多くありません。そのため、NFTを使って海岸ごみ問題を解決する取り組みを実施すれば、NFTやブロックチェーンに興味を持つユーザー層から一定の注目を集めることはできるでしょう。

しかし、より多くのユーザーや持続的に資金を集めるためには、海岸ごみを使ったリアルアートやNFTアート自体が魅力的なものである必要があります。また、多くの方がその地域を応援したくなるような情報を発信したり、活発なコミュニティを作ることも有効な手段になると考えられます。

魅力的な作品を作ることに加え、多くのユーザーの関心を引くための方法として、例えば著名なアーティストと連携・提携することが効果的になるかもしれません。すでに多くのファンを抱えているアーティストが海岸ごみアートを作ることになれば、一定数のファンがその地域の海岸ごみ問題に目を向けることになります。

その結果、アーティストのファンから大きな資金が集まったり、より広範に海岸ごみ問題の議論が巻き起こったりするなど、問題解決に向けて前向きな機運が高まる可能性も否定できないでしょう。

上記はあくまで一例にすぎませんが、NFTを利用した海岸ごみ問題解決の取り組みは始まったばかりです。これまでにない新しい取り組みであり、海岸ごみ問題を大きく前進させるきっかけになるかもしれません。

「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」まとめ

今回の記事では、長崎県対馬市が実施する「対馬海ごみアート × NFTプロジェクト」の内容について解説してきました。自治体によるNFTを使った新しい取り組みとなっており、海岸ごみ問題を解決する一つの事例となる可能性があります。

まだ始まったばかりのプロジェクトではあるため、今後の動向には注視していく必要がありそうです。

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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