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2024年、BTC半減期到来。大量保有者(クジラ)情報と金融業界の動向まとめ

解説系記事

2024年の春には4回目となるBTC半減期を迎えます。過去の半減期後には大幅な市場価格上昇があったことから、今回も多くの投資家から期待が集まっています。

BTCの価格動向に大きな影響力を及ぼすのが少数の大量保有者です。半減期前にBTC大量保有者情報を探り、戦略構築に役立てましょう。

本記事ではBTC大量保有者情報を個人、企業、国ごとにまとめています。皆様のBTCトレード戦略を練る上で、お役に立てる情報となれば幸いです。

2024年のBTC半減期

BTCの半減期は、マイニング報酬が半分になる周期です。約4年ごとに設定されています。このシステムにより、BTCの新規供給量が減少し、その希少性が高まることが期待されています。

過去の半減期は?

回数 マイニング報酬(BTC)
1回目 2012 11月 50
2回目 2016 7月 25
3回目 2020 5月 12.5
4回目 2024 4月※推定 6.25

BTCは約4年ごとに半減期を迎えています。BTCの半減期の発生月が異なる理由は、ブロック※1生成時間の微妙な変動が挙げられます。理論上の平均生成時間は10分ですが、実際にはマイニングの計算能力(ハッシュレート)の変化によって、時間は短くなったり長くなったりします。

そのため、210,000ブロック(半減期)到達の具体的な時期が予測と異なり、結果として半減期の発生月が各サイクルで変化します。

※1 ブロックチェーンで取引を記録するためのデータ構造です。

半減期の後は?

半減期に到達したからといって、すぐにBTC価格が上昇するとは限りません。市場ではすでにBTC半減期を織り込み済みのトレードが行われているためです。

一方で、半減期後の数カ月から1年以降に大きな価格上昇が記録されています。2012年11月に初めての半減期が発生した際は、1年3ヶ月後に価格は約100倍以上(約$12から約1,240ドル程度)に上昇しました。2016年7月の半減期後、1年8ヶ月後に約30倍の価格上昇(約650ドルから19,800ドル程度)を見せました。2020年5月の半減期後は、8ヶ月で価格は約8倍(約8,600ドルから約67,700ドル程度)になりました。

BTC大量保有者(クジラ)情報

BTCを大量に保有するホルダーをクジラと呼びます。ここでは個人としてのクジラ、組織としてのクジラ情報をまとめて解説します。

個人の大量保有者

BTCの全供給量の40%程度は1,000人ほどのホルダーで保有しているとされています。また、ウォレットの匿名性を考えると、さらに少人数のホルダーでBTC供給量の多くを保有している可能性があります。詳しく見ていきましょう。

サトシ・ナカモト

サトシ・ナカモトはビットコインの創設者と推定される人物です。100万BTC以上を保有しているといわれています。

サトシ・ナカモトは2008年にBTCのDLT※2理論を発表し、翌年(2009年)に最初のBTCトレードをしています。最初に生成されたブロックに記録されるウォレット(ジェネシスウォレット:1A1zP1eP5QGefi2DMPTfTL5SLmv7DivfNa)に約100万BTCが2009年以降、移動されずに保管されています。「動かない資産」として評価する見方もありますが、もし動いた場合の影響は図り知れません。

参照:Blockchain.com「Satoshi」

※2 DLT(Distributed Ledger Technology:分散型台帳技術)は暗号資産の取引データを記録する技術です。中央管理者を介せずにデータ管理が可能になります。

バリー・シルバート

ベンチャーキャピタリストでDCG(Digital Currency Group)創業者であるバリー・シルバート氏は19万BTCを保有しているといわれています。2014年に米政府が押収したBTCをオークションで数百ドルという価格で入手しました。

投資家としてBTCのポートフォリオ変更はありえます。19万BTC以上のBTC保管ウォレットアドレスは数個しかないため、いくつかのウォレットに分散保管されている可能性があります。

参照:BitInfoCharts「Bitcoin Rich List」

大量保有する企業

リスクヘッジなどでBTCを保有する企業は多くあります。有名なBTC保有企業としてイーロン・マスク氏率いるTeslaが挙げられますが、長期保有戦略ではなく、状況に応じて利確を行っています。

MicroStrategy

MicroStrategyは米国のBtoBソフトウェアベンダー企業です。2020年よりBTCを買い増し続け、2024年時点で約19万BTCを保有しています。世界最大のBTC保有企業となります。主な保有目的は資産のリスクヘッジでしたが、BTCの値上がりと共に、企業価値や株価向上といった役割も果たしています。

参照:MicroStrategy公式サイト

Tesla

Teslaはイーロン・マスク氏率いる、米国の電気自動車メーカーです。9,720BTCを保有しています。一時期は4万BTC以上を保有していたとされ、2022年にBTCを一部売却して利益確定しています。CEOであるイーロン・マスク氏は暗号資産に理解のある人物とされ、BTC以外にもドージコインなどについてもSNSで言及することがあります。

大量保有する政府

BTCを保有する国も多くあります。特にブルガリアは多くのBTCを保有しており、BTC市場に大きな影響力を持ちます。

ブルガリア

ブルガリアは20万BTC以上を保有しており、政府の保有量としては世界最大です。しかし、BTCを投資目的や支払い用途で購入したわけではありません。犯罪捜査のプロセスで「押収」した結果、世界最大のBTC保有政府となりました。

米国

米国は暗号資産規制に厳しく、CBDCなどにも否定的な国とされています。しかし、実際には多くのBTCを保有しています。米国の主なBTC取得方法は「押収」です。不正資金もしくは、マネーロンダリングに使用されたBTCをFBIが差し押さえています。保有BTC残高は20万BTC以上です。

ウクライナ

ウクライナ政府は4万6千以上のBTC量を保有しています。公表されている政府の保有量としてはブルガリアと米国に次ぐ世界第3位です。ITリテラシーの高い国民性、またインフレや戦争リスクに対するヘッジとしてBTCは大きな役割を果たしています。

BTC大量保有者(クジラ)の影響力

BTC大量保有者(クジラ)は全てがBuy&Hold戦略※3をとっているわけではありません。暗号資産業界、もしくは世界的な影響力のある人物や国の発言を受けて、短期的にポートフォリオのリバランスをします。ここでは、クジラによる大量購入と大量売却の影響について解説します。

※3 購入した後、長期保有する投資戦略です。

大量購入による影響

大量保有は大量購入から始まります。そして、その大量購入は市場を盛り上げ、小口ユーザーのロング(買い)も誘います。結果的に上昇トレンドが発生し、BTC価格が急激に上がります。

2020年のMicroStrategyによるBTC大量購入

2020年に米国企業MicroStrategyが約2万9千BTCを購入し、市場価格は約20%程度押し上げられました。MicroStrategyの強気な姿勢が上昇トレンドを作り上げた例といえます。

2021年のTeslaによるBTC購入

2021年にTeslaは約15億ドル相当のBTCを購入し、市場価格を約10数%上昇させました。Teslaの投資戦略はイーロン・マスク氏が主導しており、個人のSNSなどで暗号資産に対する発信も多くしています。

大量売却による影響

クジラは最大利益を狙いますが、リスクヘッジにも速やかに対応します。2013年のMt.Gox流出事件、2021年の中国政府によるマイニング規制発表など、暗号資産市場の先行きが不透明になるとクジラは思い切った売却戦略を取ります。

2014年のMt.Gox流出事件

日本の暗号資産取引所であるMt.Goxから85万BTCが盗まれる事件が発生します。クジラによるBTC売りはすぐに始まり、9万円/BTCから18,000円/BTC程度まで下落しました。

2021年のTesla保有BTC売却公表

Teslaは有数の企業クジラです。また、Teslaの購入決済にBTCを使用することを許可していました。しかし、2021年5月、イーロン・マスク氏がTesla車の購入手段からBTCを除外すると発表し、さらに保有BTCの売却も決定しています。BTCの市場価格は5万ドル半ばから4万ドル半ばまで一気に下落しています。

BTCをめぐる金融業界の動向

2024年、BTC半減期が到来することで金融業界はどのような動きを見せるのでしょう。実はすでに金融業界はBTCの値上がりを見越して、2023年から取り組みを進めています。その最も注目すべき具体例が「BTC ETF※」への対応です。

※4 ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)

BTC ETF

2024年1月11日、米国で初のBTC現物ETFがSEC※5に承認されました。この決定により、機関投資家や個人投資家は、BTCを直接保有せずに暗号資産投資をするという新たな戦略をとることができるようになりました。

証券会社でBTC商品が購入できるようになったことで、BTCへの資金流入は続いています。2024年年初めには4万ドル/BTC台だった市場価格は2月時点で、5万ドル/BTC台へと上昇しています。

BTC半減期という魅力的な呼び水もあり、金融業界はBTC ETFに対しては大きな期待を抱いています。

※5 SEC(Securities and Exchange Commission:米国証券取引委員会)

米国政策金利とBTC

2023年後半、米国の政策金利上昇にも関わらず、BTC価格は上昇傾向にありました。これは、従来の金利上昇がリスク資産価格を抑えるというセオリーとは異なります。

金利上昇期においてもBTCが投資家にとって魅力的な選択肢でありつづければ、BTCの動向は一般的な金融や投資戦略にますます重要な影響を与えていくことでしょう。

世界の金融とBTC

既存金融商品へのBTC組み込みにより、暗号資産市場へのアクセスが容易になります。この流れは、BTCの市場流動性を高め、さらなる価格上昇を生じさせる可能性があります。

世界的には米国と欧州で暗号資産と既成金融市場の統合が進むとされています。また、BTCを法定通貨とする国や特区などの存在もBTCの正当性を向上させ、世界金融市場におけるBTCのプレゼンスを高めることにつながります。

世界各国の政府は新たな金融の潮流に乗り遅れないよう、金融制度や税制度の整備を急ぐ必要があります。

まとめ

BTC価格動向は大量保有者の戦略に大きく影響します。休眠ウォレットなどもありますが、BTC保有企業などは会社の業績に合わせて利確を決定することもあります。大きな価格変動が期待される半減期を前に、大量保有者情報も加味し、暗号資産に対するシステムへの理解を深めていくことが大切です。

以上、BTC大量保有者情報を個人、企業、国でまとめさせていただきました。皆様のBTCトレード戦略を練る上で、お役に立てる情報となれば幸いです。

AMEHARE

AMEHARE

ITの最新トレンドを発信しはじめて十余年。Web2から3の時代の変革もいち早く察知し、2012年ごろから仮想通貨に注目をし始める。次世代の文化やテクノロジーを情報を掴みつつ、NFT・メタバース・DAOなどの領域であらゆる情報を発信中。
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