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AI生成コンテンツをNFTとして販売する際の課題と注意事項

解説系記事

NFTマーケットプレイスに、同じようなデジタル作品が多くラインナップされているのを見たことはありませんか?

それらのNFT制作には、AIが活用されているかもしれません。AIは日常生活やビジネスを効率的にしてくれる可能性があります。一方で、生成AIコンテンツの著作権や所有権については議論の最中で、クリエイティブ業界を中心に大きな関心ごととなっています。

本記事では、AI生成コンテンツをNFTとして販売する際の課題と注意事項をわかりやすく解説します。

AI生成コンテンツ

AI生成コンテンツは、AI(Artificial Intelligence)が生成したテキスト、画像、音声、動画などのコンテンツを指します。

誰でも簡単に使用できる生成AIプラットフォーム(ChatGPTやMidjourneyなど)が多くの人に認知され、使用されるようになったことから、AI生成コンテンツは身近な存在となりました。

AI生成コンテンツのメリット/デメリット

メリット デメリット
  • 効率性・生産性向上
  • 創造性の発揮
  • データ駆動
  • 24時間利用可能
  • 品質が不安定
  • 倫理的問題
  • 法的問題
  • スキル低下・継承の危惧

AI生成コンテンツには、効率性やコスト削減などのメリットがある一方で、品質の不安定さや倫理的問題、著作権の課題などのデメリットも存在します。さらに、AIはとてもクリエイティブなコンテンツを生成してくれますが、生成過程はコントロールすることができません。生成コンテンツの細部編集や確認は人間が行う必要があります。

AI生成コンテンツは誰でも作れる?

AI生成コンテンツは、ChatGPTやClaude、MidjourneyなどGUI※1が整備された生成AIツールを用いれば、誰でも作れます。ただし、高品質なコンテンツを生成するには、プロンプトへの理解やパラメーター調整といった専門知識と技術が必要です。

また、StableDiffusionなどのAPIはiOS/Androidアプリに広く利用されるようになってきています。アプリ経由で知らずにAIを利用している方も少なくありません。

※1 GUI(Graphical User Interface)視覚的に操作できるWebやアプリ環境

AI生成コンテンツNFTを作成する方法

  1. デジタルアセット作成
  2. ETHとウォレットの準備
  3. OpenSeaアクセス/アカウント作成
  4. NFT作成/販売方法の決定
  5. NFT発行/販売

実際に世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea」でのNFTローンチのプロセスを解説します。AIが特に関与するステップは「1.デジタルアセット作成」の部分です。

関連記事:「NFTは自作可能?スマートコントラクトの作成からミントまでを解説」

1.デジタルアセット作成

デジタルアセット 生成AIサービス
画像 Midjourney、StableDiffusion、DALL-E 3
音声 Suno、SOUNDRAW、MusicFX
動画 Gen1、Kaiber、Runway

まずはNFTの基となるデジタルアセット(画像、音声、動画など)を作成します。ここで、AIが活用されるようになってきています。

NFTとして発行できるデジタルアセットは、画像や音声、動画など、デジタルで表現できるものです。AIはこれらを全て生成できます。

上記例はプロンプト※2「犬のピクセルアート」「花のピクセルアート」で生成したものになります。ChatGPTのDELL-Eを使えば、数十秒程度で生成が可能です。

※2 プロンプトはAIに対する指示文です。

2.ETHとウォレットの準備

NFTを発行するチェーンのネットワークトークンが必要になります。代表的なのはイーサリアムネットワークで、ETH(イーサリアム)が必要になります。ETHは日本の暗号資産取引所でも簡単に入手できます。

ウォレットはETHなどの暗号資産をオンラインで管理するツールです。代表的なウォレットは「メタマスク」です。

参照:メタマスク

3.OpenSeaアクセス/アカウント作成

OpenSeaはメタマスクを接続して使用します。アカウント作成の際にウォレット接続が必要です。接続だけの場合、料金(ガス代)は発生しません。

公式サイト:OpenSea

4.NFT作成/販売方法の決定

メニューからStudioを選択し、NFTを作成していきます。「1.デジタルアセット作成」で作ったデジタルアセットをOpenSeaにアップデートし、NFTの名前や属性、使用チェーン、販売方法や販売期間などを設定します。

5.NFT発行/販売

最後にETHでガス代を支払い、NFTを発行します。販売はせずに、ホールドしていても問題ありません。
AI生成コンテンツNFTは稼げる?
生成AIを用いたデジタルアセットは多く見られるようになりました。生成画像タイプは、油絵風から水彩画、ピクセルアート、ボクセルアートまでさまざまです。

Botto

Bottoはドイツのクリエイター「マリオ・クリングマン」が主導するAI芸術活動であり、コミュニティです。これまでに総額300万ドル以上のAI生成NFTを販売しています。コミュニティが投票を実施し、多くの票を得た作品がNFT化され、販売されます。

参照:SuperRare

Loudly

音楽生成AI「Loudly」のAI Studioを用いれば、楽曲生成AIによりコストをかけずに大量の音楽NFTを生成できます。さらに、音楽とCGアートを組み合わせたNFTアート作品の制作も可能です。

参照:Loudly

ChainGPT

ChainGPTはAI技術を活用した総合的なWeb3プラットフォームです。NFTだけでなく、FTのローンチも可能です。NFTの作成プロセスではAI技術を活用します。さらにシームレスに各チェーンにミントできるなど、とても使いやすいGUIとなっています。

参照:ChainGPT

AI生成コンテンツをNFTとして作成/販売する際の課題

  • 技術的課題
  • ビジネス上の課題

AI生成コンテンツには、一貫性や使用されるデータセット(学習データ)に含まれる著作権など、ビジネスで使用する際の課題があります。

技術的課題

AIが生成するコンテンツの品質と一貫性を保つことは大きな課題です。毎回異なる顔や画風が生成されるとあっては、シリーズ作品が上手く作れません。

また、AIモデルは学習データによって出力が大きく左右されます。望ましくないバイアスが生じる可能性もあります。これらの課題を克服するには、高品質な学習データの確保と、AIモデルの適切なファインチューニング※3が不可欠です。

※3 ファインチューニングはAIが別のデータセットを利用し、学習結果を洗練させていくことです。

ビジネス上の課題

AIコンテンツのNFT販売では、収益化モデルと権利関係の明確化が大きな課題となります。AIが生成した作品の権利は、AI開発者・運用者とNFT購入者のどちらに帰属するのか、収益をどのように分配するのかなど、法的な論点が残されています。

例えば、有名なアニメキャラクターのデータを学習して生成された画像NFTは、誰が著作権を有するのでしょうか。

また、NFTの価値評価基準がまだ確立されていないため、適正な価格設定が難しいという課題もあります。さらにNFTに対する理解促進や需要の掘り起こしといったマーケティング面での課題も存在します。

AI生成コンテンツをNFTとして販売する際の注意点

  • ディープラーニングへの理解
  • 生成AIプラットフォームの利用規約
  • 販売プラットフォーム(マーケットプレイス)の利用規約

AI生成コンテンツをNFTとして販売する際の注意点をそれぞれ詳しく解説します。

ディープラーニングへの理解

ディープラーニングは人工知能の中核技術です。AIが大量のデータを自動的に学習し、与えられた入力(プロンプト)から新しいコンテンツを作り出します。しかしながら、AIの出力は完全にオリジナルのものとは限らず、一部コンテンツは、著作権に抵触するリスクがあります。

生成AIプラットフォームの利用規約

生成AIプラットフォームの利用規約もしっかりと確認する必要があります。利用規約には、プラットフォームが提供するAIモデルの機能、商用利用の可否、著作権を侵害しないことなどが定められています。利用規約に違反した場合、アカウント停止などのペナルティが課されるため、必ず熟読し厳格に順守する必要があります。

販売プラットフォーム(NFTマーケットプレイス)の利用規約

NFTマーケットプレイスの利用規約も同様に重要です。マーケットプレイスごとに、NFTとして許可されるコンテンツの条件(ポルノ、暴力、政治などの制限)が異なります。違反すれば出品停止やアカウント凍結の可能性がありますので、利用規約を確認の上、違反しないよう十分注意を払う必要があります。

まとめ

AIはビジネスや日常生活、教育面での導入が進んでいます。一方で、法的な問題や生成コンテンツの一貫性といった課題もあります。生成AIのコンテンツを鵜呑みにせず、生成コンテンツへのチェック体制強化や倫理面での認識深化を進めていく必要があります。

以上、AI生成コンテンツをNFTとして販売する際の課題と注意事項を解説させていただきました。NFT HACKは、NFTの作成から発行(ミント)までを丁寧にサポートいたします。一貫性を持ったNFTシリーズ作品なども承っております。ぜひ、お気軽にご連絡ください。

AMEHARE

AMEHARE

ITの最新トレンドを発信しはじめて十余年。Web2から3の時代の変革もいち早く察知し、2012年ごろから仮想通貨に注目をし始める。次世代の文化やテクノロジーを情報を掴みつつ、NFT・メタバース・DAOなどの領域であらゆる情報を発信中。
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