Menu

DIMO(ディーモ)とは?自動車データの提供で収益を得られるDePIN

解説系記事

自動車メーカーが独占してきた車両データをユーザーも利用できるようにするWeb3システム、それが「DIMO」です。

DIMOはアプリや車両に装着させたデバイスを使って様々な運転データを収集します。DIMOを通じて、車両のメンテナンス時期や売買の相場といった情報も得ることができます。

本記事ではDIMOの概要や特徴、始め方について分かりやすく解説します。

DIMOとは?

出典:https://dimo.org/app
DIMOは車両データを収益化できるWeb3ソリューションサービスです。イーサリアムネットワーク※1を使用し、個人情報を安全に管理します。収集された車両データは、次世代のモビリティ製品の開発やカーメンテナンスに活用されます。

また、同サービスはブロックチェーン技術で現実世界のモビリティインフラを制御・改善・効率化するDePIN※2プロジェクトとしても注目を集めています。

※1 DIMOトークンはイーサリアムネットワークの他にポリゴンチェーンも利用可能です。
※2 DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network:分散型物理インフラネットワーク)

DIMOの特長

https://www.youtube.com/watch?v=iK8LVu7SJoQ

  • 車両データの収集と共有
  • 報酬システム
  • プライバシーへの配慮

DIMOは車両データの収集と共有を効率化し、それによって報酬($DIMO)を得られるシステムを提供しています。個人情報や車両情報は暗号化され、分散管理されます。

$DIMOについて

出典:DIMO「Token Details & Distribution」
$DIMOは、DIMOプロトコルのネイティブトークンで、ERC-20規格※3を採用しています。特徴として車両データの提供に対する報酬として$DIMOを得ることができます。報酬受取のプロセスは「ベースライン発行」と「マーケット発行」があります。

ベースライン発行は、ユーザーがデータを提供している期間や接続方式に基づいて報酬を受け取る仕組みです。マーケット発行では、DIMO対応アプリを利用して取引を行う際に報酬が与えられます。また、その際に1%のトークンが焼却されます。

CEX(Gate.ioやBitgetなど)でも$DIMOはトレードできます。一方で、日本の取引所では$DIMOの取り扱いはありません。

※3 ポリゴンチェーンをスケーラビリティ対策として併用しています。

DIMOは誰でも利用できる?

出典:https://dimo.org/(白くマーキングしているところが利用可能地域)
DIMOはアメリカ、カナダ、ヨーロッパなどの地域でサービスを展開しています。サービス展開国・地域では、スマホへのアプリインストールとハードウェアデバイス(Macaron、AutoPi)の購入でDIMOは利用できます。コネクテッドカーであれば、アプリ連携のみでDIMOを使うことができます。

日本国内でも、2024年9月にGoogle PlayにDIMO Mobileがラインナップされたことで話題となりました。一方で、iOSユーザーはまだDIMOを国内でダウンロードすることはできません。

参照:Google Play「DIMO Mobile」

DIMOの始め方

DIMOを始めるにはスマートフォンとアプリ、場合によっては専用デバイスが必要になります。また、$DIMO報酬を受け取るためのウォレットも使います。ウォレットは専用アプリダウンロード時に作成することもできますが、メタマスクを接続して使用することも可能です。

1.アプリのダウンロード

まず、DIMOモバイルアプリをスマートフォンにダウンロードします。このアプリがDIMOを利用するための基本的なインターフェースになります。

アプリインストール時にウォレットも作成します。メタマスクなどの既存プライベートウォレットを接続することも可能です。

iOS「DIMO Mobile」
Google Play「DIMO Mobile」

2.アカウントの作成・接続方法の選択

https://www.youtube.com/watch?v=UsKetXshijk
基本的な個人情報を入力し、アカウントを作成します。
つぎに、自分の車両情報をアプリに登録します。車種やモデル年などの基本情報を入力します。

3.接続方法の選択

DIMOには2つの接続方法があります。スマートフォンアプリのみを使用する方法と、DIMO認定のハードウェアデバイスを使用する方法です。

スマートフォンアプリのみを利用する場合、別途機器は不要です。しかし、アプリと同期できるOSが車に内蔵されている必要があります。いわゆるコネクテッドカーで利用できることになります。

ハードウェアデバイスは購入しなければなりません。しかし、デバイスを使用するとより詳細なデータを収集でき、収益も上がります。

デバイス販売サイトの購入フォームは日本円で表示がされていますが、ソケット様式などが日本のものとことなるため、国内車に対応しているかは不明です。また、日本人によるレビューもまだありません。

4.データ共有の設定

どのようなデータを共有するかといったプライバシー設定を行います。アプリやAutoPiの場合は4G以上の通信環境が必要です。MacaronはBluetooth接続になります。

5.運転開始

実際に運転を開始します。運転中にデータが収集され、DIMOネットワークと共有されます。 収集されたデータは完全に暗号化されます。ユーザーの名前、場所、運転経路に関する詳細は、別々に保存されます。

DIMOのこれから

DIMOはとても魅力的なDePINプロジェクトですが、利用地域が限定されていることやデバイスの初期設定が難しいといった課題もあります。

日本国内での利用開始は?

2024年9月、日本でもGoogle PlayからDIMOアプリをダウンロードできるようになりました。しかし、まだ日本人のレビューがありません。実際に国産のコネクテッドカーでマイニングができるのか不明です。

ユーザーの声

DIMOを試した海外ユーザーはレビューをSNSにアップロードしています。デバイスを用いることで稼げたことを報告していますが、セットアップに少し手間がかかったという声も聞かれます。
https://x.com/PaulRankinYT/status/1763611119350935572
このレビュワーは、DIMO Macaronについて評価コンテンツをアップロードしています。2か月間で$693DIMOを獲得したことを公表しています。$693DIMOは、この時点のドル換算で約350ドルです。

https://www.youtube.com/watch?v=LebrkajtWqA
このレビュワーは、DIMO Auto Piを使用して車を収益化する方法について紹介しています。$364DIMO(当時のドル換算で800ドル程度)を1カ月で稼いでいます。一方で、デバイスと車両との接続で戸惑ったことが語られています。車との相性があるようです。

DIMOとDaylight Energyが提携

2024年9月、DIMOとDaylight Energyの提携が発表されました。Daylight Energyは、分散型で持続可能な発電所ネットワークを目指すWeb3ビジネスを展開しています。DIMOを用いて、電気自動車を電力網と連携させ、エネルギー管理の効率化やサステナビリティの向上を目指しています。

参照:Daylight Energy

$DIMOはどうなる?

2023年10月、$DIMOはローンチ直後に12円程度で推移していました。その後、2024年1月に最高値87円を突破しています。2024年9月時点で24円前後です。DIMOは北米や欧州などで展開されていますが、これからさらに利用国や地域が増えていくことで、$DIMOへのニーズは高まりを見せる可能性があります。

DIMOの競合は?

ドライビングとDePINを掛け合わせたWeb3プロジェクトはDIMO以外にもあります。しかし、それらは必ずしも競合になるわけではありません。なぜならば、ユーザーはそれらを併用しても不利益にならないためです。例えば、ここで紹介するHivemapperとNATIX Networkを同時に使用すれば、インセンティブを得られるチャンスは拡大します。

Hivemapper

https://www.youtube.com/watch?v=Xomb_3FRqWs
Hivemapperは、専用カメラを使用して道路の映像データを収集し、リアルタイムで地図を更新していくDePINプロジェクトです。ドライバーは「HONEY」トークンを報酬として獲得できます。既存の地図サービスよりも情報の更新が早いため、リアルタイムナビゲーションや自動運転に活用されます。

DIMOが車両データの収集に重点を置くのに対し、Hivemapperはロードマップ情報の収集に重点を置いています。

NATIX Network

https://www.youtube.com/watch?v=aRz4qraFC1Y
NATIXは、スマートカメラネットワークを構築し、リアルタイムでダイナミックな地図を生成するDePINプロジェクトです。スマホカメラや専用カメラを使い、車両運転中の映像データを収集します。

収集したデータはプライバシーが保護された状態で管理され、スマートシティやモビリティアプリケーションなどで活用されます。ドライバーは貢献度に合わせてNATIXトークンを報酬として獲得します。

まとめ

2021年からM2E(Move to Earn)ブームが巻き起こり、その派生としてD2E(Drive to Earn)プロジェクトがいくつも誕生しました。しかし、その多くはトケノミクスの失敗から長く続かなかったことは周知の事実。DIMOもD2Eの側面はありますが、どちらかというと社会貢献度の強いDePINプロジェクトとして捉えられています。まだまだDIMOが利用できる国や地域は限定的ですが、Web3プロジェクトとしての魅力は明らかで、これからの日本でのサービス展開に期待が集まります。

AMEHARE

AMEHARE

ITの最新トレンドを発信しはじめて十余年。Web2から3の時代の変革もいち早く察知し、2012年ごろから仮想通貨に注目をし始める。次世代の文化やテクノロジーを情報を掴みつつ、NFT・メタバース・DAOなどの領域であらゆる情報を発信中。
Author