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2024年に話題になったミームコインの概要や特徴を解説

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ミームコインの歴史は古く、暗号資産黎明期の2013年頃から存在します。2013年12月にドージコイン、2014年1月にモナコインが生まれ、その後は暗号資産が普及するにつれて、さまざまな銘柄が誕生しています。

従来ミームコインはキャラクターがモチーフにされる傾向にありました。しかし、最近ではアメリカの大統領候補や、世界のセレブなど実在の人物をモチーフにしたミームコインも増えています。

本記事では、著名なミームコインの概要や特徴を詳しく解説していきます。

ミームコインの概要

ミームコインとは「インターネットのミーム(流行のジョークや概念)」から誕生した暗号資産です。他の暗号資産と同様にブロックチェーン上で発行されますが、多くは実用的な価値を持っていません。店舗での決済手段や価値の保存先として用いられるケースはほとんどなく、コミュニティの一員として保有したり、投機目的の人によって取引されるケースが多いです。

ミームコインは短期間での暴騰や激しい値動きが注目される傾向にありますが、ブロックチェーンの成長に寄与していることも事実です。親しみやすさや話題性が、従来暗号資産に興味がなかった人々の注目を集め、ブロックチェーン技術の認知度の上昇に貢献しています。

最近では専門的な知識がなくても、気軽にミームコインが発行できるようなプラットフォームが登場しています。2024年6月には、アメリカのセレブであるメディアパーソナリティであるケイトリン・ジェンナーや、ラッパーのイギー・アゼリア、トリッピー・レッドが、ソラナのミームコイン作成プラットフォーム「Pump Fun」で、相次いでリリースしたことで話題となりました。

暗号資産特有の文化であるミームコインの種類は、年々増加しています。次からはどのような事例があるかを詳しく解説していきます。

代表的なミームコインを解説

ここでは、代表的なミームコインを5つ挙げていきます。

ドージコイン(DOGE)

ドージコイン(DOGE)の概要

ドージコインは2024年10月15日現在時価総額8位の暗号資産で、もっとも知名度が高いといえるミームコインです。

ドージコインは、2013年12月にAdobe社に勤めていたエンジニアのジャクソン・パルマー氏とビリー・マーカス氏によって開発が行われました。当時SNS上で流行していた柴犬「かぼすちゃん」の画像をモチーフにしていて、名前の「Doge」は犬のスペル「Dog」をわざと崩したインターネットスラングが由来です。

ドージコインは公式のホワイトペーパーがなく、完全なジョークコインとして誕生しました。開発者は「次のビットコインになる、と意気込むアルトコインをからかうために立ち上げた」と述べています。

誕生後すぐにオンラインコミュニティ「Dogecoin.com」が形成され、2021年1月にイーロン・マスク氏がSNSのX(元Twitter)で言及したことで話題となりました。同氏は以降何度もドージコインについて触れ、その都度価格が大きく変動しています。

ドージコインは大きな成功を収めたミームコインであり、現在はシバイヌコイン(SHIBA)やベイビードージコイン(BabyDoge)、ドージエックス(DOGEX)など、犬をモチーフにした類似の銘柄も多く存在します。

ドージコイン(DOGE)の特徴

ドージコインはライトコインの技術をベースにしていて、決済処理速度が早いことが特徴です。決済の承認アルゴリズムは、マイニングを必要とするPoW(プルーフオブワークス)で、将来的にはPoS(プルーフオブステーク)へ移行する予定です。ドージコインの取引手数料は非常に安く、無料で送金できる取引所もあります。

前述の通り、ドージコインは完全なジョークで作られた暗号資産ですが、コミュニティではさまざまな活動を行っています。2014年1月のソチオリンピックの際には、活動資金が不足したジャマイカのボブスレーチームへの寄付活動を実施し、合計2,700万DOGE(約3万ドル)を集めました。現在はコミュニティによる公式ウォレットの提供や、SNSを通じた活動が継続されています。

ドージコインは当初意味を持たない暗号資産でしたが、コミュニティの努力によって実質的な価値を獲得しつつあります。ドージコインを愛するユーザーの支持によって、単なるミームコインを超えた新しい形を形成しています。

ぺぺコイン(PEPE)

ぺぺコインの概要(PEPE)

ぺぺコインは時価総額24位のミームコインで、2023年の後半に短期間で大きな上昇を記録したことで、一躍有名になりました。

ぺぺコインはイーサリアムのブロックチェーン上で開発が行われ、2023年4月にリリースされました。アメリカのコミックアーティストMatt Furie氏が描いたキャラクター「Pepe the frog」をモチーフにしていますが、直接的な関係はないとされています。

ぺぺコインは完全なミームコインであり、運営しているチームや組織は存在しません。公式サイト(https://www.pepe.vip/)には「本質的な価値や金銭的リターンの期待がないミームコインであり、正式なチームやロードマップはありません。このコインはまったく役に立たず、娯楽目的のみに使用されます」といった記載があります。

ぺぺコインは短期間で高騰した暗号資産として知られています。2023年5月にバイナンスで上場した際には、1日で4倍近くの上昇を記録しました。その後いったん価格は落ち着きましたが、2024年2月にソラナベースのミームコインが注目されたことと合わせて再び上昇しています。

ぺぺコインの特徴(PEPE)

ぺぺコインは「タックス(税金)ゼロ」が特徴です。ここでいうタックスとは取引時の手数料のことを指します。ぺぺコインの取引では売買手数料が発生しないため、取引の流動性向上に寄与しています。

しかし、ぺぺコインは「本質的な価値や金銭的リターンの期待がない」と公式サイトに明記されている、完全なミームコインです。特筆すべき機能や用途はなく、その本質は他のミームコインと大差ありません。ぺぺコインは、インターネット文化やミームの一部として存在する暗号資産であり、コミュニティの盛り上がりや投機的な側面が強調されているのが実態です。

ぺぺコインのように、暗号資産市場では実質的な価値がなくても、コミュニティの力や投機的な期待感によって価値が形成されることがあります。これは従来の金融市場とは異なる、暗号資産特有の文化や現象といえるでしょう。

ドッグウィフハット(Dogwifhat)

ドッグウィフハット(Dogwifhat)の概要

ドッグウィフハットは時価総額36位のミームコインです。帽子を被った犬をモチーフにしていて、2023年11月にリリースされました。2024年1月にバイナンスで取り扱いが始まった際にSNSを中心に話題となり、その後はさまざまな海外取引所で扱われるようになりました。

ドッグウィフハットは、BitMEXの共同創業者アーサー・ヘイズ氏に支持されています。同氏は、2023年12月に自身のXのアカウントで帽子をかぶった自身の画像を「Wif hat」という説明付きで紹介しました。その後も頻繁にドッグウィフハットに触れ、認知度の拡大に貢献しています。

ドッグウィフハット(Dogwifhat)の特徴

ソラナのブロックチェーン上で開発が行われており、高速の処理と低手数料を実現しています。

しかし、ドッグウィフハットには実用的な価値はありません。公式サイトには「literally just a dog wif a hat(文字通りただの帽子をかぶった犬)」と記載があり、他の説明は横線で消されています。このことからもドッグウィフハットは、完全にインターネット文化とユーモアから生まれていて、実用的な価値や機能を持たない純粋なミームコインであることがわかります。

ドッグウィフハットは、2024年も盛り上がりを見せました。同年3月にはラスベガスの巨大LEDビジョン「スフィア」にロゴを表示させ、25%の価格上昇を記録しました。今後もコミュニティ主導による取り組みによって、価格に影響を与える可能性があります。

MAGA(TRUMP)

MAGA(TRUMP)の概要

MAGAは時価総額231位のミームコインで、読み方は「トランプ」になります。読み方にもある通り、アメリカの大統領候補のドナルド・トランプ氏をモチーフにしたミームコインです。MAGAの名前の由来は「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(Make America Great Again)」のイニシャルからきています。

ドナルド・トランプ氏のミームコインは、トランプコイン(DJT)やリストアーザリパブリック(RTR)など複数ありますが、MAGAはその中でもっとも有力です。2024年5月に、ブロックチェーン分析企業Arkhamによって、トランプ氏自身のウォレットに651万ドル(約9億7,600万円)相当のMAGAが保管されていることが伝えられています。

こうした政府系のミームコインは総称して「ポリティファイ(PolitiFi)」と呼ばれます。ポリティファイの銘柄は、トランプ氏暗殺未遂事件や選挙戦の動きによって値動きは激しく変動し、海外を中心とした暗号資産投資家の関心を集めています。

MAGA(TRUMP)の特徴

MAGAはアメリカの退役軍人と児童人身売買防止のための寄付を行うことを目的としています。ブロックチェーン上で寄付活動を行っており、2024年6月時点で523.63ETH(約2億6,000万円相当)の寄付が集まりました。寄付先には障害を持つ退役軍人の支援や、女性と児童の人身売買を防止する団体があります。

MAGAの運営はトランプ氏との関連や政治的思想は一切ないと表明していますが、コミュニティには同氏を支持する人々が多くいるようです。2024年11月のアメリカの大統領選や、その後の政権、景気情勢によって、MAGAの価値やコミュニティの影響力が大きく変動する可能性があります。

ポップキャット(POPCAT,SOL)

ポップキャット(POPCAT,SOL)の概要

ポップキャットは時価総額62位で、口を大きくあけた猫をモチーフとしたミームコインです。YouTubeやTikTokなどの動画投稿サイトで「猫ミーム」として登場し、2024年前半に認知度が一気に上昇しました。

ポップキャットは、シンプルなオンラインゲームの「POPCAT」が元ネタです。POPCATの公式サイト(https://popcat.click/)では、クリックすることで猫の口が開閉しカウントが行われるゲームを提供しています。

猫ミームは、現在動画投稿サイトで見られることは少なくなりましたが、ポップキャットの価格は強気の値動きを続けています。2024年10月13日には最高値「1POPCAT=224円」を記録し、今後さらに上昇を続ける可能性があります。

ポップキャット(POPCAT,SOL)の特徴

ポップキャットは、ソラナのブロックチェーンをベースとしているミームコインです。ソラナベースではドッグウィフハットと並ぶ著名なミームコインであり、SNSを通じて強い指示を得ています。

現時点で、ポップキャットは他のミームコインと同様に実用的な価値はありません。ポップキャットの価値は主に投機的な需要とコミュニティの熱意であり、価格は非常に変動しやすい傾向にあります。

ポップキャットを支えるコミュニティの熱意は非常に高く、SNSを中心に活発な交流が続いています。今後、このコミュニティの力を活かして、イベントの開催やNFTの発行など、新たな活動が展開される可能性があるでしょう。

まとめ

ミームコインは、暗号資産市場の一角を担うユニークな存在です。実用性がなくても価値がつくという暗号資産特有の文化が反映されており、今後も市場の広がりが期待されています。

従来ミームコインは投機的な取引が主流でしたが、近年はコミュニティを通じた活動も盛んになっており、新たな可能性が見出されています。今後もこうした動きに注目しながら、さらなる発展を期待していきましょう。

S.G

SG

月間100万PV超えの投資情報サイトや、ニュースサイトなど、暗号資産に関する記事を数多く執筆するフリーランスのライター。自身も2016年から暗号資産投資を行なっており、日進月歩の進化を遂げる暗号資産業界を常に追ってきた。ライター歴は3年で「文章で読者をワクワクさせ、行動に移させる」をモットーに執筆を行う。東南アジア在住、海外留学の経験があり、英語の翻訳記事も得意にしている。
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