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【時価総額TOP20】スイ(SUI)について徹底解説

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スイ(SUI)は2023年5月にメインネットが稼働し始めた比較的新しいプロジェクトです。まだ稼働から1年半ほどしか経過していないにも関わらず、2024年12月9日現在で時価総額18位にランクインしており急成長を遂げています。

スイにはかつてMeta社(Facebook社)でDiem(旧Libra)というブロックチェーンの開発に携わっていた人物が関わっています。メインネット稼働後には各国の大手企業との提携も決まっており、その将来性を大いに期待されています。

本記事では、スイの概要や誕生から現在までの歴史、特徴や将来性、購入方法をまとめました。

スイ(SUI)とは

暗号資産(仮想通貨)のスイは、レイヤー1ブロックチェーン「Sui Network(スイネットワーク)」で使用されるネイティブトークンです。このネットワークは、Metaの元メンバーによって創設されたMysten Labs社が開発を主導しており、スイは取引時のガス代に利用されます。

「スイ(Sui)」という名称は日本語の「水」に由来しており、水が持つ流動性や柔軟性を象徴しています。Sui NetworkはWeb3の世界において、高い柔軟性と適応力を備えたネットワークを提供することを目指しているブロックチェーンです。

Sui Networkは従来のレイヤー1ブロックチェーンにおける課題の多くを解決しています。Sui Networkではトランザクションを2種類に分けて並列処理を行うことで、処理能力を大幅に向上させています。

世界的な大企業からも注目されており、イーサリアムやソラナに続く次世代のレイヤー1ブロックチェーンとして期待を集めています。

スイ(SUI)の誕生〜現在までの歴史

ここでは、スイがいつ誕生して、現在までどのような歴史を歩んできたかを詳しく解説していきます。

創設者

Sui Networkは、Meta社やアップル社で務めたEvan Cheng氏を始め、Adeniyi Abiodun氏、Sam Blackshear氏など計5人のエンジニアによって立ち上げられました。

Sui Networkを立ち上げたエンジニアは、かつてMeta社でDiemというステーブルコインのプロジェクトに携わっていました。現在Diemの開発は終了していますが、Sui Networkにはその際に用いられていた技術が活用されています。

運営チーム

現在はSui Networkの運営、開発はMysten Labs社によって行われています。Mysten Labs社は日本の大手IT企業のグリーと提携してゲーム分野を強化、オラクル・レッドブル・レーシングとパートナーシップを締結するなど、さまざまな企業との取り組みが発表されています。

出資者

Mysten Labs社への出資者は、以下が確認できました。

時期 名称 出資企業 出資金額
2021年12月 シリーズAラウンド ・a16z

・FTX Venturesなど

70億円(6,000万ドル)
2022年9月 シリーズBラウンド ・a16z

・FTX Ventures

・Binance Labs

・Coinbase Ventures

・電通ベンチャーズ

・Jump Cryptoなど

430億円(3億ドル)
2023年2月 Web3ファンド組成に向けた資金調達 不明 130億円(1億ドル)

なお、出資者には暗号資産ではなくMysten Labsの株式が提供されています。

スイ(SUI)の目的

暗号資産スイをネイティブトークンとするSui Networkでは「次に来る10億人規模のユーザーのweb3に対応すること」を目的としています。

現在イーサリアムやソラナ、トン、アバランチなど、ブロックチェーンの基盤層となる独自ネットワークを持つレイヤー1ネットワークは複数存在しています。しかし、一方でこれらのブロックチェーンでは、取引処理の遅れや大規模なシステム障害が発生するなどの問題点があることも事実です。

Sui Networkでは、並列化という処理方法を用いてこれらの問題点を解決し、ユーザーに利便性の高いweb3サービスを提供することを目指していきます。

スイ(SUI)の技術的特徴


ここでは、スイの技術的特徴を解説していきます。

Meta社出身のメンバーが創設

Sui Networkは、Meta社出身のメンバーが中心となって創設されました。

  • Evan Cheng(CEO)
  • Adeniyi Abiodun(CPO)
  • Sam Blackshear(CTO)
  • Kostas Chalkias(Chief Cryptographer)
  • George Danezis(Chief Researcher)

Sui Networkでのプログラミング言語は、Moveを改良した「Sui Move」を使用しています。Moveは、Meta社が開発を進めていたステーブルコインプロジェクトのDiemで利用していた言語です。

Sui MoveはSui用に最適化されたスマートコントラクトの記述を実現し、プログラムを構成するコードの簡潔性や可読性が向上するなど、開発者が扱いやすい環境を提供しています。

10億人にWeb3体験を提供できるよう設計

Sui Networkの目的「次に来る10億人規模のユーザーのweb3に対応すること」にもあるように、高い取引処理能力を実現しています。2024年7月末時点では「1秒間:12万件」のトランザクション処理が可能であるとされています。これはクレジットカード会社Visaの処理件数「1秒間:6万5,000件」を大きく上回る数字です。

Sui Network上ではさまざまな種類のDAppsの開発が行われています。特にDeFi分野に強みがあり、2024年1月末にはTVL(顧客預かり資産)が約645億円(4億3000万ドル)を超え、リリースから1年余りでDeFiブロックチェーンのトップ10入りを果たしました。

Sui Networkは定期的にアップデートが行われており、10億人がweb3体験ができるプラットフォームとしての環境が整備されていきます。

独自のデータ管理モデル

Sui NetworkではSui Moveと呼ばれる独自のプログラミング言語を基盤に、並列処理によるデータ管理モデルを採用しています。この設計により、取引処理が個別のオブジェクト単位で行われるようになりました。

従来、取引処理はブロックチェーンの台帳全体に影響を与えるため、順序付けが欠かせませんでした。この直線的な構造は一つの処理の詰まりによってすべてのDAppsに影響を及ぼし、時にネットワーク混雑、ガス代の高騰といった課題を引き起こしています。

一方でSui Networkのモデルでは、各オブジェクトが独立して管理されるため、相互が干渉せず取引処理が効率的に処理されるよう設計されています。その結果、複数の処理を同時に高速で実行する仕組みが実現し、安定的で効率的なネットワーク運用が可能です。

DPoS(デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク)の採用

Sui Networkでは、イーサリアムやカルダノなどの承認アルゴリズム「PoS(Proof of Stake)」をベースとした「DPoS(Delegated Proof of Stake)」を採用しています。

DPoSは、トークン保有者が投票を通じてブロック生成者を選出する仕組みです。ネットワークの検証作業時は、PoSではトークン保有者が保有量や期間に応じて報酬を受け取りますが、DPoSでは代表者がその役割を担います。

DPosはPoSと比較してブロック生成の手続きが簡略化されて負荷が軽減できるメリットがある一方で、一部の代表者に権限が集中しやすい点はデメリットになります。

スイ(SUI)の将来性

次に、スイの将来性について解説していきます。

高い処理能力でさまざまな分野に応用可能

Sui Networkの高い処理能力は、ゲームや決済におけるさまざまな分野に応用が可能です。

2024年4月には、スイと提携したグリーが「クリプトキャッチ!釣り☆スタ」をリリースしました。このゲームは同社初となるブロックチェーンゲームであり、ガス代はグリーが負担で完全無料でプレイが可能です。

また、2024年12月にはソラナのウォレット「Phantom」で、暗号資産スイが対応予定であることが発表されました。Phantomはソラナの代表的なウォレットであり、さまざまなNFTマーケットプレイスやDeFiプラットフォームで利用されています。この発表を受けて、スイの価格は約15%ほど上昇しています。

今後もゲームやメタバース、DeFi、NFTなど、web3に関連する分野での応用が期待できます。

大手企業との提携

Sui Networkは、2023年4月のメインネットのリリース後にさまざまな企業と提携しています。具体的には以下の通りです。

2023年6月:日本の大手IT企業グリーと戦略的パートナーシップを締結

2023年6月:F1チームのオラクル・レッドブル・レーシングとパートナーシップを締結

2023年7月:日本の大手広告業の電通がSui Network上でクリエイターエコノミーの開発を開始

2024年4月:TikTokの法人サービスを提供するバイトダンスと提携

2024年8月:アリババ傘下アントグループのZANと提携

スイは日本の企業とも関連が深いプロジェクトです。今後、Sui Networkを基盤としたサービスに触れる機会が増えていくかもしれません。

競合のDiem系プロジェクトによる影響

かつてMeta社のステーブルコインプロジェクトDiemに携わっていた人が立ち上げたレイヤー1ネットワークは、Sui Network以外にも存在します。これらはDiem系プロジェクトとも呼ばれ、具体的な事例は以下が挙げられます。

  • Aptos
  • Linera

Aptosは2022年10月にメインネットがリリースされ、現在は時価総額25位の暗号資産です。プログラミング言語はMoveでスイと同様に並列処理を採用していて、取引処理能力は1秒間に16万件です。高いスペックを誇り、かつてはスイより開発が進んでいましたが、直近では差が開いています。

Lineraは2022年6月に開発が発表され、a16zなどから資金調達が行われました。しかし、それ以降の目立った動きは確認できていません。

現在Sui NetworkのライバルはAptosのみといえる状況です。両者同じような特徴を持つブロックチェーンであり、今後の動きによっては立場が逆転する可能性もあるでしょう。

スイ(SUI)の時価総額推移

ここでは、Coinmarketcapのチャートを用いて、暗号資産スイの流通量や時価総額の推移を解説していきます。

流通量と発行上限数

暗号資産スイの発行上限は100億枚で、そのすべてが発行済みです。今後も発行される予定はありません。

リアルタイムチャート

現在のスイの価格は「1SUI=578.51円」です。2024年はスイが大きく飛躍した年であり、1年前の2023年12月10日時点の価格「1SUI=91.88円」と比較して7倍以上となりました。

直近でも暗号資産市場全体の盛り上がりに乗じて大きな上昇を記録しており、2025年以降も期待が持てる値動きを続けています。

単体時価総額推移グラフ


スイの時価総額は値動きとほぼ同じです。すべての枚数が発行済みであり、今後も価格と同様の動きをすることになるでしょう。

他の上位銘柄との時価総額比較

スイは2023年5月にリリースされた暗号資産であり、過去10年の間に時価総額10位に入ったことはありません。

スイ(SUI)を取り扱っている暗号資産取引所

最後にスイの取り扱いのある暗号資産取引所や、購入と保管方法を紹介していきます。

スイ(SUI)の取り扱いがある国内取引所の例

スイの取り扱いがある国内取引所は以下の通りです。

  • SBI VCトレード
  • ビットポイント
  • OKコインジャパン
  • ビットトレード
  • バイナンスジャパン

時価総額が上がるにつれて、少しずつ取り扱う国内取引所が増えてきています。

スイ(SUI)の取り扱いがある海外取引所の例

スイの取り扱いのある海外取引所は以下の通りです。

  • バイナンス
  • バイビット
  • コインベース
  • OKX
  • クーコイン
  • MEXC

スイは将来性と知名度の高いアルトコインであり、多くの海外取引所で取り扱いがあります。

スイ(SUI)の取得・購入および保管方法

スイの取得・購入方法は以下の通りです。

  • 国内取引所で購入する
  • DeFiで他の暗号資産と交換する

スイの保管には以下の方法があります。

  • 取引所で保管する
  • ウォレットのPhantomやSui Walletで保管する

暗号資産を保管する際は、セキュリティを最優先に考えましょう。特に、パスワードや秘密鍵は厳重に管理し、第三者に漏れることのないよう十分注意してください。

スイ(SUI)の今後の展望とまとめ

Sui Networkは、ブロックチェーン業界の新たなリーダーとなる可能性を秘めたプラットフォームです。並列処理を採用することで、従来のブロックチェーンに見られる直線的な処理構造やシステム障害を回避し、ユーザー体験と開発者の取り扱い環境を大幅に向上させています。

さらに、スイは数々の企業とのパートナーシップを構築し、ゲームやDeFiなど幅広い分野での活用が進んでいます。今後もエコシステムの拡大が期待でき、業界内での存在感をさらに高めていくことでしょう。

S.G

SG

月間100万PV超えの投資情報サイトや、ニュースサイトなど、暗号資産に関する記事を数多く執筆するフリーランスのライター。自身も2016年から暗号資産投資を行なっており、日進月歩の進化を遂げる暗号資産業界を常に追ってきた。ライター歴は3年で「文章で読者をワクワクさせ、行動に移させる」をモットーに執筆を行う。東南アジア在住、海外留学の経験があり、英語の翻訳記事も得意にしている。
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