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ライトニングネットワークとは?特徴や仕組みなどを初心者にもわかりやすく解説

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数あるブロックチェーンの中でも最も有名なビットコインですが、その処理速度の遅さからスケーラビリティ問題を抱えていることで知られています。

そんなビットコインのスケーラビリティ問題を解決するために開発されたのが、ライトニングネットワーク(Lightning Network)と呼ばれるテクノロジーです。

この記事では、そもそもライトニングネットワークとはどのような技術なのか?という基礎知識や利用するメリット、仕組みなどを初心者にもわかりやすくご紹介していきます。

また、実際にライトニングネットワークを使用する方法や、抱えている問題点についても解説していくので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の構成

ライトニングネットワークとは?

ライトニングネットワークに関する理解を深めていくためにも、まずは概要・基本情報を解説していきます。

また、ライトニングネットワークが開発された背景などもご紹介していくので、詳しく確認していきましょう。

ビットコインのトランザクションをオフチェーンで処理するテクノロジー

ライトニングネットワークとは、ビットコインのブロックチェーン上で処理されるトランザクションをサポートするレイヤー2ソリューションです。

2015年にThaddeus Dryja(タデウス・ドリジャ)氏と、Joseph Poon(ジョセフ・プーン)氏という開発者によって提案された技術であり、ブロックに格納できるサイズを変更せずともトランザクションを高速かつ安価に処理できる特徴を持っています。

具体的には、トランザクションをビットコイン・ブロックチェーンの外部(オフチェーン)で処理することで、メインのレイヤー1ブロックチェーンの負担を軽減しています。

ここ最近では、Solana(ソラナ)をはじめとした処理性能の高いブロックチェーンが登場していますが、ビットコインは1秒間に2〜7件という少ないトランザクション(TPS)しか処理できないため、利用者が増加すると送金詰まりや手数料の高騰といった問題を引き起こしてしまいます。

しかし、ライトニングネットワークでは取引をオフチェーンで処理していることから、送金を高速で行えるだけでなく、取引手数料もほぼ無料の水準に抑えることが可能です。

また、ブロックチェーンには後述する「ペイメントチャネルの開閉」しか記録されないため、詳細な取引内容はエクスプローラーで確認できないことから、プライベートな取引がしやすいという特徴も挙げられるでしょう。

ライトニングネットワークが開発された背景

そんなライトニングネットワークですが、開発が行われた背景にはビットコインのスケーラビリティ問題があります。

先ほどもご紹介したように、ビットコインのTPS(1秒間に処理できるトランザクションの数)は2〜7件と少ないため、利用者が増加することで取引の処理が追いつかず、送金処理が滞ってしまう可能性があります。

また、ビットコインのマイナーは手数料の高いトランザクションから処理を行っていくため、取引が混雑することでガス代が高騰してしまうという問題も考えられます。

スケーラビリティ問題を解決する方法として、各ブロックに格納できるサイズを大きくするという方法もありますが、マイニングにより高性能なマシンが必要となること、またマイナーの中央集権化を促進してしまうというデメリットがあります。

こういった背景から、トランザクションをオフチェーンで処理し、メインのブロックチェーンの負担を分散するライトニングネットワークが誕生しました。

ライトニングネットワークの4つの特徴・メリット

ここまでライトニングネットワークの概要をご紹介してきましたが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

ここでは、ライトニングネットワークの特徴や利用するメリットについて詳しくご紹介していきます。

  • ビットコインの即時決済ができる
  • スケーラビリティの向上によるコスト削減が可能
  • マイクロペイメントの実現
  • 異なるブロックチェーンでも活用できる

ビットコインの即時決済ができる

ライトニングネットワークの最大の特徴としては、やはりビットコインの即時決済ができる点です。

ライトニングネットワークでは取引をオフチェーンで処理することから、ビットコイン・ブロックチェーンで行われるブロック生成の時間を待つ必要がありません。

そのため、取引を行ってから即時の決済が可能であり、感覚的には1秒もかからずに取引を完了することができます。

なかなか取引のイメージができないという方は、以下のライトニングネットワークを使用している様子の動画を参考にしてみてください。

スケーラビリティの向上によるコスト削減が可能

公式サイトによると、ライトニングネットワークでは理論上1秒間に数百万〜数十億ものトランザクションを処理できるとされています。

これはビットコイン・ブロックチェーンとは比較にならないほどのスケーラビリティであり、大量の取引を瞬時に行うことができると言えるでしょう。

また、手数料も非常に安く抑えることができるため、取引にかかるコストを大きく削減することが可能です。

マイクロペイメントの実現

ライトニングネットワークのメリットとして、マイクロペイメント(少額決済)を実現できることも挙げられるでしょう。

ここまでご紹介したように、ビットコイン・ブロックチェーンは処理能力が低いため取引手数料が高騰しやすく、少額を送金する際には送金金額よりも手数料の方が高くなってしまうという状況もめずらしくありません。

しかし、ライトニングネットワークでは取引手数料をほぼゼロに抑えることができるため、例えば「コーヒーショップで数百円のコーヒーを購入する」といった少額決済にも導入することができます。

マイクロペイメントが実現することで、様々な場面でビットコインの活用が促進されると考えられるでしょう。

異なるブロックチェーンでも活用できる

ライトニングネットワークには、ビットコインと同じハッシュ関数を利用するブロックチェーンも活用できるという特徴があります。

ハッシュ関数とは、別名「一方向ハッシュ関数」とも呼ばれており、入力したデータに対して、必ず同じ固定長の値を返す関数のことです。

ビットコイン以外にも、ライトニングネットワークを利用できるブロックチェーンとしては、以下が挙げられるでしょう。

  • ライトコイン(LTC)
  • モナコイン(MONA)
  • Decred Network(DCR)

このようにビットコイン以外のブロックチェーンにもその技術を活用できる点は、ライトニングネットワークのメリットの一つとなっています。

ライトニングネットワークの仕組み

次に、ライトニングネットワークが稼働する仕組みに焦点を当てて解説していきます。

ライトニングネットワークを理解するためには必須の項目なので、詳しくご紹介していきます。

ペイメントチャネルの開設から閉鎖まで

ここまでライトニングネットワークは、トランザクションをオフチェーンで処理することで、レイヤー1ブロックチェーンの負担を軽減する技術とご紹介してきました。

こういった仕組みにより、まずは資金のやりとりを行いたい2人のユーザーがオフチェーンで取引を行うための「ペイメントチャネル」という経路を開設する必要があります。

仮に、AさんとBさんがお互いに送金をしたい場合は、まずAさんとBさんを繋ぐペイメントチャネルを開設します。なお、チャネルを開設する際には両者の署名(マルチシグ)が必要です。

また、チャネルを開設するタイミングで、あらかじめいくらかのビットコインを入金する必要があります。これはPayPayのようなプリペイド型の決済サービスと同じような仕組みとなっており、入金したビットコインの範囲内で資金のやりとりができると考えれば問題ないでしょう。

ペイメントチャネルが開設されれば、AさんとBさんは自由に何度でも資金のやりとりを行うことが可能となります。また、取引が行われた際、両者はそれぞれのウォレットに入っているビットコインの数量が記録された貸借対照表(バランスシート)に署名しなければいけません。

AさんとBさんの取引が完了し、ペイメントチャネルを閉鎖すると、ライトニングネットワーク上で行われた取引を反映した残高がブロックチェーンに記録されます。つまり、ブロックチェーンには「チャネルの開設・閉鎖」という最初と最後の結果のみが記録される形となります。

このように、チャネル間での送金を省略した「結果だけ」をブロックチェーンに記録することで、トランザクション処理の負担を軽減する仕組みとなっています。

画像引用元:The Bitcoin Lightning Network

また、ライトニングネットワークにはAさんとBさんが開設したようなペイメントチャネルが無数に存在しています。そのため、必ずしも資金のやりとりを行いたいユーザー同士でチャネルを開設する必要はありません。

例えば、AさんはCさんにビットコインを送金したいと思っていますが、直接的にお互いを繋ぐチャネルは開設していないとしましょう。しかし、BさんがCさんとチャネルを開設しているため、Bさんを経由することで、AさんはCさんにビットコインを送ることが可能となります。

このように、ライトニングネットワークは自動で送金する経路を探してくれるという特徴があることも知っておいてください。

ライトニングネットワークのノードについて

ビットコインにはマイナーと呼ばれるノードが活動していますが、ライトニングネットワークにも独自のノードが存在します。

ご紹介したように、ライトニングネットワークにはマイニングなどの工程は存在しないため、ノードは主にチャネルの開設や送金の中継を役割としています。

画像引用元:Bitcoin Lightning Nodes | LookIntoBitcoin

ビットコインのマイナーと同じく誰でもノードとして参加することが可能であり、ライトニングネットワークの誕生以降、上記のようなノード数の推移となっています。

ただし、ライトニングネットワークのノードは常にオンライン状態であるため、ハッキングなどの攻撃を受けるリスクが高いというデメリットは把握しておきましょう。

ライトニングネットワークのユースケース

ビットコインの送金を高速で行えるライトニングネットワークですが、今後どのような用途で利用されていくのか気になる方も多いでしょう。

ここでは、今後考えられるライトニングネットワークのユースケースをいくつかご紹介していきます。

  • 店舗でのビットコイン決済への導入
  • Twitterのチップ(投げ銭)機能
  • 暗号資産取引所の入出金手続き
  • ステーブルコインの発行

店舗でのビットコイン決済への導入

ライトニングネットワークのユースケースとして、コーヒーショップのような実店舗での決済手段としての利用が挙げられます。

普段からクレジットカードや電子マネーを使って商品を購入する方も多いと思いますが、ライトニングネットワークが導入されればビットコインを利用して商品の決済ができるようになります。

実際、ビットコインを法定通貨としているエルサルバドルのスターバックスでは、ライトニングネットワークを使った決済がすでに導入されています。

上記の動画の通り、ライトニングネットワークを使えば一瞬で料金の決済を行うことが可能です。

なお、エルサルバドルのビットコイン法定通貨化については、ビットコインを法定通貨にするメリット・デメリットとは?法定通貨化を進める国・地域なども紹介で解説しているので、気になる方はあわせてチェックしてみてください。

Twitterのチップ(投げ銭)機能

2021年9月、Twitterは他のユーザーにチップ(投げ銭)を送ることができる「Tips」という機能を実装しました。

この決済手段の一つとしてビットコインが採用されており、ユーザーはライトニングネットワークのアドレスを設定することができます。

なお、ライトニングネットワークで投げ銭を受け取る場合、Strike(ストライク)というアプリを利用する必要があるので、その点は注意してください。

ライトニングネットワークのアドレスは、プロフィールの「編集」→「Tips」から設定できるので、気になる方は登録してみてはいかがでしょうか?

暗号資産取引所の入出金手続き

CEXと呼ばれる中央集権的な暗号資産取引所でも、ライトニングネットワークを利用した入出金に対応してきています。

2020年12月、アメリカを拠点とする海外取引所Kraken(クラーケン)がライトニングネットワークを使った入金対応を発表しました。

日本国内では、bitbank(ビットバンク)がライトニングネットワークでの入出金の実装を検討しており、今後の導入が期待されている状況です。

また、bitbankは2022年2月に「NLoop(エヌループ)」というライトニングネットワークを安定的に利用できる独自のアプリケーションを開発するなど、他の国内取引所に比べても積極的な導入を進めていると言えるでしょう。

ステーブルコインの発行

2022年4月、Lightning Labsはライトニングネットワーク上でステーブルコインなどの資産を発行できるTaro Protocolを発表しました。

ビットコイン関連技術を開発するライトニングラボ(Lightning Labs)が、新プロダクト「Taro(タロー)」を4月5日に発表した。

〜中略〜

「Taro」は、ビットコインネットワークのセキュリティと安定性、そしてライトニングネットワークのスピード、スケーラビリティ、安価な手数料という性質を活用したプロダクトだ。

具体的に「Taro」は、ライトニングネットワークを採用するアプリ上で、ステーブルコインの使用を可能し「ドルのビットコイン化」の実現を目指すプロダクトだという。

引用元:ステーブルコインをビットコインライトニングで、Lightning Labsが「Taro」発表

上記のように、Taro Protocolは「ドルのビットコイン化」を目指すプロトコルであり、安全性の高いビットコイン・ブロックチェーンで発行されたステーブルコインを高速かつ安価な手数料のライトニングネットワークで利用できる、良いとこどりをしたプロジェクトとなっています。

すでに多くの企業がTaro Protocolにてステーブルコインの発行を検討していると言われており、大きく期待されているプロトコルと言えるでしょう。

本格的な実装はまだですが、Taro Protocolが導入されれば、ライトニングネットワークの需要がより高まり、現在のステーブルコインの構図を大きく変える可能性があるかもしれません。

ライトニングネットワークの使い方

ここまで読んだ方の中には、実際にライトニングネットワークを利用してみたいと思った方も一定数いるのではないでしょうか?

今回は、ライトニングネットワークに対応したビットコインウォレットの「BlueWallet」を使った方法を例にしてご紹介していきます。

下記の手順に沿って、詳しく確認していきましょう。

  • BlueWalletをスマートフォンにインストールする
  • ライトニングネットワーク専用のアドレスを生成する
  • ビットコインをBlueWalletに送金する
  • ビットコインをライトニングネットワークで送金する
  • ビットコインをライトニングネットワークで受け取る

BlueWalletをスマートフォンにインストールする

ライトニングネットワークを使うためにも、まずはBlueWalletのアプリをスマートフォンにインストールしていきます。

AppStoreで「BlueWallet」と検索し、自分のスマートフォンにダウンロードしていきましょう。

ライトニングネットワーク専用のアドレスを生成する

インストールが完了したら、次にライトニングネットワーク専用のアドレスを生成していきます。

まずはアプリを立ち上げ、赤枠で示した「Add now」をタップしてください。

画面が切り替わるので、まずは任意のウォレット名を入力していきましょう。入力できたら「Lightning」を選択し、「Create」をタップしてください。

次に、ウォレット復元の際に使用するQRコード、およびバックアップフレーズが表示されるので、しっかりと保管しておきましょう。

特にバックアップフレーズの「lndhub://~」以下の文字列に関しては、紙などに書き写し、他人に見られない場所で管理するようにしてください。

バックアップフレーズを失うとウォレットの復元ができなくなり、2度と資産を引き出すことができなくなります。

ここまでの手順ができたら、ライトニングネットワーク専用のアドレスの生成は完了です。

専用アドレスを生成できたら、アプリ内言語を日本語に変更しておくと使いやすくなるでしょう。言語設定を変更する場合は、赤枠で示している右上の「•••」をタップします。

画面が切り替わったら、「Language」をタップします。

複数の言語が表示されるので、「日本語(JP)」に設定しておきましょう。

ビットコインをBlueWalletに送金する

ライトニングネットワークのアドレスの準備ができたので、BlueWalletにビットコインを送金していきます。

まずは、上記画像の赤枠で示している箇所をタップしてください。

次に「資金の管理」をタップし、「外部ウォレットで補充」を選択します。

先ほど保管したバックアップフレーズの注意事項が表示されるので、「書きとめました」をタップしてください。

ライトニングネットワークのアドレスが表示されるので、こちらにビットコインを送金していきましょう。

表示されたアドレスにビットコインを送金すれば、BlueWalletに残高が反映されるようになります。

なお、ライトニングネットワークへの入金処理が完了するまでには1時間程度かかるので、その点はあらかじめ把握しておいてください。

ビットコインをライトニングネットワークで送金する

ビットコインの送金が完了してからしばらくすると、BlueWalletに残高が反映されます。

ここでは、ライトニングネットワークでビットコインを送金する手順を見ていきましょう。まずは、赤枠で示した「送金」をタップしてください。

次に、赤枠で囲んだ「読取り」をタップし、送金する相手に表示してもらったQRコード(インボイス)をカメラでスキャンします。

読み取れたら自動的に「送金金額」が表示されるので、「支払う」をタップして送金を完了させましょう。

ライトニングネットワークで決済できるサービスは国内ではまだ少ないですが、有名なサービスとして様々なデジタルコンテンツを配信できる「Spotlight」が挙げられます。

イメージとしては、有料noteに近いサービスとなっており、ライトニングネットワークを使用してビットコインでコンテンツを購入することができます。

とりあえずライトニングネットワークをお試しで使ってみたいという方は、ぜひ「Spotlight」をチェックしてみてはいかがでしょうか?

ビットコインをライトニングネットワークで受け取る

最後に、ライトニングネットワークを使ってビットコインを受け取る方法をご紹介していきます。

先ほどの送金手続きとは反対に、「入金」をタップしてください。

ここでは、相手にビットコインを送金してもらうためのQRコード(インボイス)を作成していきます。

上記画像のように、相手に送金してもらいたい「金額」を入力したら「作成」を選択します。

画面が切り替わりQRコードが表示されるので、相手に読み取ってもらい送金を行ってもらいます。

以上がライトニングネットワークの基本的な使い方となります。初めは少し使いにくさを感じるかもしれませんが、慣れれば問題なく利用することができるでしょう。

ライトニングネットワークが抱える課題・問題点

ここまでライトニングネットワークの特徴やメリットを中心に解説してきましたが、もちろんネガティブなデメリットもいくつか抱えています。

ライトニングネットワークへの理解を深めるためにも、最後に以下の課題・問題点を確認していきましょう。

  • プログラミングコードの欠陥
  • 流動性(キャパシティ)の問題から大きな額の決済には適していない
  • 中央集権化の問題

プログラミングコードの欠陥

ライトニングネットワークは現在も開発中のテクノロジーであるため、プログラミングコードに欠陥が生じる可能性があります。

実際、2019年9月には攻撃者がペイメントチャネルを開設し、ユーザーの資金を引き出せるというバグがあったことが判明しました。

ビットコイン・ブロックチェーン上で動く人気の決済ネットワークは長年、脆弱性を抱えていた──攻撃者がユーザーのお金を引き出す可能性があった。

開発者のラスティー・ラッセル(Rusty Russel)氏が8月30日(現地時間)に最初に公に警告したが、脆弱性がどのように悪用される可能性があったかという詳細は9月27日に明らかにされた。

引用元:ビットコイン・ライトニングネットワークの危険なバグの詳細、明らかに

このように、ライトニングネットワークはまだ完全に確立された技術ではないため、使用する際にはある程度のリスクがあることは把握しておいてください。

流動性(キャパシティ)の問題から大きな額の決済には適していない

ライトニングネットワークの課題として、流動性の問題から大きな額の決済には適していないということも挙げられます。

前述の「ライトニングネットワークの仕組み」でもご紹介したように、ライトニングネットワークを利用するためには事前にビットコインをネットワーク上に入金しなければいけません。

このライトニングネットワークに存在するビットコインの流動性は「Network Capacity(ネットワーク・キャパシティ)」とも呼ばれており、2022年12月26日時点では約5,140BTCが入金されています。

画像引用元:Bitcoin Lightning Capacity | LookIntoBitcoin

上記の画像の通り、ライトニングネットワークが誕生して以降、ネットワーク・キャパシティは右肩上がりで増加していますが、ビットコイン全体の発行枚数から考えるとその割合はまだ少ない状況です。

また、ライトニングネットワークの仕組み上、様々なチャネルを経由して送金が行われますが、経由するチャネルを開設したユーザーが十分な量のビットコインを入金していないという可能性も考えられます。

こういったことから、現状ライトニングネットワークでは大規模な金額の送金は適していないと言えるでしょう。

中央集権化の問題

ライトニングネットワークの最後の問題点として、中央集権化が進みやすいというデメリットも指摘されています。

事実、2020年2月には「ライトニングネットワーク:ビットコイン経済の中央集権化への第2の道」という論文が発表され、10%のノードが80%のネットワークを支配しているとの指摘がされています。

ビットコインのライトニングネットワークは「ますます中央集権化」が進み、攻撃の影響を受けやすくなっている。セキュリティ研究者が新しい論文で主張した。

〜中略〜

2月はじめに発表された論文「ライトニングネットワーク:ビットコイン経済の中央集権化への第2の道(Lightning Network: a second path towards centralisation of the Bitcoin economy)」は、ライトニングには少数のノードがますます相当な量のビットコインを蓄積する「不平等な富の分配」があると結論づけた。

〜中略〜

具体的には研究者らは10%のノードがネットワークの80%の資金をコントロールしていることを明らかにした。この状況は崩壊の余地を生み出していると研究者らは警告した。

引用元:ビットコインのライトニングネットワーク「ますます中央集権化」──研究者が警告

先ほどもご紹介したように、ライトニングネットワークのキャパシティはビットコイン全体の発行枚数で考えるとその割合は小さいため、大量のビットコインがネットワークに入金された際には大きな影響を受けてしまいます。

また、ライトニングネットワークの中央集権化が進むと、送金のハブ的な役割を持つルーティングノードが攻撃を受けた場合、ネットワーク全体に多大な影響が及んでしまうことは避けられないでしょう。

このように、ライトニングネットワークには中央集権化によるリスクを内包していることは必ず知っておいてください。

ライトニングネットワークの特徴や仕組みまとめ

今回の記事では、ビットコインのトランザクションをオフチェーンで処理するライトニングネットワークについて解説してきました。

ご紹介したように、ライトニングネットワークはビットコインを高速かつ安価な手数料で送金できるテクノロジーであり、今後様々な場面での利用が進むと言われています。

また、ライトニングネットワーク上でステーブルコインを発行できるプロトコルも開発されており、本格的に実装されればさらなる注目が集まっていくでしょう。

ただし、ネットワーク・キャパシティをはじめとしたいくつかの問題点を抱えていることも事実なので、マスアダプションしていくためにはこういったデメリットも解決していく必要があると考えられます。

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2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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