数ある暗号資産(仮想通貨)の中でも、最も注目を集めているビットコインですが、「半減期」という言葉を一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
半減期とは、新規発行枚数が半分になるというイベント(ビットコインでは約4年ごとのサイクル)であり、過去のアノマリー※では半減期の翌年にビットコイン価格が大きな上昇を見せています。
この記事では、ビットコインの半減期を理解するために、その概要・特徴について詳しく解説していきます。
また、過去に発生した半減期後のビットコインの価格推移などもご紹介していくので、ぜひ最後までご覧ください。
※理論的な根拠はないものの、過去の経験的に観測できるマーケットの規則性のこと。
この記事の構成
事前に知っておきたいビットコインの基礎知識
ビットコインの半減期をご紹介する前に、まずはビットコインに関する基礎知識について解説していきます。
「いまいちビットコインの仕組みについて理解できていない」という方は、まずここからチェックしてみてください。
- ビットコインとは特定の管理者がいない分散型のデジタル暗号資産
- ビットコインの発行はマイニング(採掘)によって行われる
- ビットコインの発行枚数は2,100万枚が上限と決まっている
ビットコインとは特定の管理者がいない分散型のデジタル暗号資産
ビットコインとは、2009年にSatoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)と呼ばれる人物(あるいはグループ)によって開発された、世界で初めて誕生した暗号資産です。
特定の管理者がいない分散型のデジタル通貨という特徴を持っていることから、中央集権的な金融システムを介さずとも、ユーザーがP2P(ピアツーピア)ネットワークを通じて直接暗号資産のやりとりを行うことができます。
通常、他の人にお金を送金する際には、銀行口座を作成してから窓口やATMなどで振込手続きを行うのが常識です。しかし、世界中には銀行口座を作れない人々が多数存在しており、こういった人々は金融サービスにアクセスすることができないという問題点を抱えています。
ただし、ビットコインにはそもそも中央の管理者がいないため、利用する際に審査があったり、何かのアカウントを登録したりする必要はありません。誰でもウォレットさえあれば、国籍や人種、年齢などに関係なく、ビットコインの金融インフラを利用することが可能です。
このように中央の管理者を介さずとも、ユーザー間で自由に資金のやりとりを行える点がビットコインにおける重要な思想の一つと言えるでしょう。
ビットコインの発行はマイニング(採掘)によって行われる
ビットコインの仕組みを理解するためには、マイニング(採掘)についても知っておく必要があります。
先ほどご紹介したように、ビットコインを使うことでユーザー間で自由に資金のやりとりをすることが可能です。
このユーザー間の送金などの取引履歴は、複数の取引を一つのブロックに格納して繋げる「ブロックチェーン」と呼ばれる分散型台帳に記録されています。
ブロックチェーンに新しいブロックを生成することをマイニングと呼んでおり、このブロック生成に成功したマイナー(採掘者)には報酬としてビットコインを支払うという仕組みが採用されています。
後に詳しく解説しますが、ビットコインの半減期とは「このマイニングによって新しく発行するビットコインの数量が半分に減少する」という仕組みです。
ビットコインの発行枚数は2,100万枚が上限と決まっている
ビットコインの特徴として、マイニングによって発行される通貨の供給上限が2,100万枚になっていることも挙げられるでしょう。
この2,100万枚という発行上限は、ビットコインが誕生した当時に設定されたものであり、これ以上の枚数が発行されることはありません。
ビットコインの2,100万枚という発行枚数は、他の暗号資産と比較しても非常に少なく、通貨の価値が高まりやすい(インフレしない)仕組みとなっています。
なお、ビットコインについてさらに詳しく知りたい方は、ビットコイン(BTC)とは?世界で初めて作られた暗号資産の特徴や仕組みを解説の記事もあわせて参考にしてみてください。
ビットコインの半減期とは?4つの特徴を徹底解説
ここからは、本記事の本題となるビットコインの半減期を詳しく解説していきます。
以下の4つの特徴について、順番に見ていきましょう。
- ビットコインの発行枚数を半減させる仕組みのこと
- 21万ブロックが作成されるごとに半減期が到来する
- これまで半減期の翌年にビットコインの価格が大きく上昇している
- 小規模なマイナーが市場から撤退すると言われている
ビットコインの発行枚数を半減させる仕組みのこと
半減期とは、マイニングによって新しく発行されるビットコインの枚数が半分になるという仕組みです。
英語では「Halving」と呼ばれており、特にビットコインの値上がりを期待する投資家に大きく注目されているイベントと言えるでしょう。
2009年にビットコインが誕生して以降、過去に3回の半減期が発生しており、その度に新しく発行されるビットコインの枚数が半分になってきました。
なお、過去に発生した半減期のタイミングと、新規発行枚数の推移は以下の通りです。
半減期の回数 | 半減期のタイミング | 発行枚数の推移 |
1回目 | 2012年11月 | 50 BTC → 25 BTC |
2回目 | 2016年7月 | 25 BTC → 12.5 BTC |
3回目 | 2020年5月 | 12.5 BTC → 6.25 BTC |
このような半減期の仕組みが作られた背景には、急激なインフレを防止するためと言われています。
特に、ビットコインのように発行上限が2,100万枚に決められている通貨の場合、半減期という仕組みがないと短期間で全ての通貨を採掘してしまうことになります。
短い期間で大量のビットコインが市場に流通すると価格が暴落する原因にもなるため、半減期によって緩やかな通貨発行を行っていると言えるでしょう。
なお、ビットコインの半減期は33回目で終了する予定となっており、時期としては2140年頃を予定しています。
21万ブロックが作成されるごとに半減期が到来する
そんな半減期ですが、ある日突然発生するわけではなく、訪れるサイクルがあらかじめ決められています。
具体的には、ビットコインのブロックチェーンに21万ブロックが作られるごとに到来する仕組みとなっており、約4年ごとの周期で訪れるとされています。
実際、前回の半減期から21万ブロックが作られる時期が2024年3〜5月とされており、ちょうど4年程度のサイクルで到来する予定です。
暗号資産の価格追跡サイトとして有名なCoinMarketCap(コインマーケットキャップ)では、半減期のカウントダウンをする専用ページが用意されているので、具体的な日時が気になる方はチェックしてみてください。
これまで半減期の翌年にビットコインの価格が大きく上昇している
半減期が大きく注目される理由として、半減期の翌年に大きなバブル相場が発生していることも挙げられます。
半減期後の価格推移は後にご紹介していきますが、過去の相場では例外なく大きな価格上昇を見せてきました。
しかし、ビットコインは過去よりも注目度が圧倒的に増しており、多くの投資家が半減期を意識した買い注文を入れることが予想されています。
そのため、一部の専門家の間では「半減期の翌年にバブル相場が来る」というサイクルが崩れるのでは?といった指摘がされていることも事実です。
もちろん、2024年の半減期後も過去のアノマリー通りになる可能性はあるので、次回の半減期にもしっかりと注目する必要があるでしょう。
小規模なマイナーが市場から撤退すると言われている
半減期の最後の特徴として、小規模なマイナーは市場からの撤退を余儀なくされると言われています。
理由としては、半減期によってマイニングで獲得できるビットコインの枚数が半分になってしまうため、採算が取れなくなってしまう危険性があることが挙げられるでしょう。
また、近年は世界的にも電気代が高騰しており、マイニングを行う際にかかる経費が上昇していることも事実です。
しかし、長期的に見ればビットコインの価格は上昇し続けているため、得られる報酬が半分になったとしても収益性を確保できるとの見方もあります。
ただし、暗号資産の冬の時代と言われる価格が低迷するタイミングでは、電気代をカバーするほどの採算を取るのは難しくなるかもしれません。
ビットコインの過去の半減期と価格推移について
最後に、過去に発生した半減期後のビットコインの価格推移を詳しく確認していきましょう。
2012年の半減期後の価格推移
ビットコインが誕生してから初めての半減期は、2012年11月に発生しました。
この半減期では、マイニングで得られる報酬が50BTCから25BTCへと変化しています。
なお、この当時のビットコインの知名度はまだまだ低かったものの、翌年の2013年には1,100ドルを超える大きな値上がりを記録しています。
2016年の半減期後の価格推移
ビットコインの2回目の半減期は2016年7月に発生し、マイニングによる報酬は25BTCから12.5BTCへと半分になりました。
その翌年の2017年には日本でも暗号資産が大きな盛り上がりを見せ、過去最高値となる約19,000ドルを記録するなど、大きなバブル相場が発生しています。
しかし、その後Coincheck(コインチェック)から大規模なXEM(ネム)のハッキングが発生し、暗号資産市場全体が大きな下落相場に転換しました。
2020年の半減期後の価格推移
最も直近となるビットコインの半減期は2020年5月に発生し、新規発行枚数も12.5BTCから6.25BTCに変更されています。
その翌年となる2021年には、これまでのビットコインの歴史上でも最高値となる約69,000ドルを記録するなど、記録的な上昇相場を作り出しました。
これほど大きな価格上昇が発生した背景として、ビットコインの注目度が高まっていることもありますが、各国がコロナウイルス対策として大規模な金融緩和を行ったことも理由の一つとして考えられるでしょう。
ビットコインの半減期の特徴や過去の価格推移まとめ
今回の記事では、約4年に1度のサイクルで発生するビットコインの半減期について詳しく解説してきました。
ご紹介したように、半減期は21万ブロックが作成されたタイミングでマイナーの報酬が半分になる仕組みとなっており、ビットコインが急激にインフレをしてしまうことを防ぐために導入されています。
また、これまでの歴史上、半減期が発生した翌年にはビットコインの価格が急上昇しているアノマリーがあるため、多くの投資家に注目されているイベントでもあります。
2024年の3〜5月に到来するとされる半減期でも同じような値動きになるかはわかりませんが、ビットコインへの投資を行っている方は注目しておいて損はないでしょう。