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盆栽で世界中のアート好きを熱狂させる!「BONSAI NFT CLUB」について解説

解説系記事

「盆栽」と聞いた時、多くの人は「年配のおじいさんの趣味」といったイメージを持つのではないでしょうか。

確かに、同じ植物でありながらも観葉植物とは一線を画し、日本的な感性を秘めた盆栽を身近な存在であると言える人は少ないかもしれません。

そんな盆栽は「緑の芸術」と表現され、四季の移ろいを鉢の中で表現し、自然の景色を想像して愛でることを目的としています。

枝や幹の曲線の美しさ、葉の付き方のバランスなどで個性が現れる、立派な作品としての側面を持ち合わせています。

しかしながら近年では日本国内での愛好家の減少に加え、生産農家の高齢化により盆栽文化の継承が困難になっています。

その一方、海外のアート好きからの注目は年々高まっており、日本での取引額と比較して10倍以上の価格が付けられている事例もあります。

このような状況を背景に、盆栽の楽しみを世界に訴求しながら、新しい世代へ受け継ぐことを目的としたプロジェクトが生まれました。

「BONSAI NFT CLUB」と呼ばれるこのプロジェクトは、ブロックチェーンを活用した新技術であるNFTを活用しながら、目的を達成させるために動いています。

本サイトでも既に以下の記事にて取り上げておりますが、本記事はその内容をさらに深堀りし、歴史ある日本の芸術である盆栽と、NFTをかけ合わせた取り組みについて解説する内容となっております。

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NFT(Non-Fungible Token)とは日本語で「非代替性トークン」と呼ばれてお

NFTによる盆栽市場の活性化を目指す

NFT(Non-Fungible Token)は日本語では非代替性トークンと呼ばれ、唯一無二の価値を持つデジタルデータを意味します。

NFTの歴史自体も2017年以降と新しいものですが、世界的に注目を集めたのは2021年のジャック・ドーシー氏の初ツイートが高額で落札されてからでしょう。

従来、無限にコピーが可能であったデジタルデータに対して価格が付けられることは皆無でしたが、ブロックチェーン技術によって唯一性が認められるデジタルデータが生まれました。

これは現実世界における1点物の芸術作品や、歴史的に貴重な遺物と同様に、デジタルデータであるNFTも替えが効かない存在として認められるということです。

NFTはデジタルデータであるため、その内容は画像や音声、動画など様々なコンテンツに分けられますが、最も注目を浴びているものは「アート作品」でしょう。

デジタル上のアート作品に対して高額な価格が付けられることから、従来の芸術家のように多くのアーティストが生まれ、世界中のアートファンや、アート作品を購入したい、もしくはアート作品に投資したいと考える人の注目を集めることとなりました。

盆栽を世界のアート好きが熱狂するコンテンツにする

「BONSAI NFT CLUB」のファウンダーは「Majisuke」と呼ばれる人物であり、彼は自身の事業において愛媛県の盆栽園が海外進出するための支援を続けています。

それに伴い、盆栽市場の活性化に加えて、盆栽を世界に広がるコンテンツに成長させることを考えたと言います。

前述したように盆栽は「緑の芸術」と呼ばれるほど作品性が高く、海外の一部では高額に取引されている状況があります。

そして、世界のアート投資市場は年間7兆円にも上り、この中の1%でも盆栽市場に取り込むことができれば、盆栽市場はとんでもない発展を遂げると考えました。

そして、今最もアートに対する感度が高く、投資を考える人が集まるコミュニティはどこか、さらに若い世代を中心にブームを起こすにはどうすればいいかを検討した結果、NFTを活用する手段に至りました。

BONSAI NFT CLUB

「BONSAI NFT CLUB」は指定のNFTを購入することで、実際に盆栽が自宅に届き、NFT所有者同士で盆栽育成を楽しむコミュニティです。

コミュニティ内には長年盆栽を育てている愛好家やプロも在籍しており、初心者であってもアドバイスをもとに自分の盆栽を育てられます。

二次流通時の現物送付に関しては、売却時の価格が購入時の価格を上回っている必要があります。

また、日本国外への送付については2022年12月時点ではアメリカ、イギリス、シンガポールへの発送が可能です。

盆栽は個々に歴史があり、誰がどのように所有したか、育てていたかによって「形」を変える特徴をもっています。

この特徴がNFTによる所有者の記録と相性が良い上に、コミュニティを形成することで情報と資金が集まり、盆栽市場へ大きなイノベーションが起きると期待されています。

BONSAI NFT FARM

「BONSAI NFT CLUB」での活動内容をさらに押し進めたプロジェクトが、「BONSAI NFT FARM」です。

個人で盆栽を育てることを目的とした「BONSAI NFT CLUB」とは異なり、こちらではNFTの販売利益を使用して、本物の盆栽農園を買うことを目的としています。

会員権としての意味合いが強い「BONSAI NFT CLUB」に対して、「BONSAI NFT FARM」は二次流通での利益を目的としたジェネラティブアートとなります。

主に以下の要素を組み合わせたアート作品であり、内容によってレア度が変動します。

  • 樹種:黒松・五葉松・真柏・桜・紅葉・梅・イチョウ
  • 樹齢:3年・10年・50年・200年
  • 鉢:六角形・丸・楕円・長方形等(樹齢200年とシークレットのみ専用デザイン)
  • 内背景:和室・洋室・カフェ・オフィス等
  • 外背景:宇宙・月・桜並木・竹林等
  • 添配:ランダム作成(樹齢200年とシークレットのみ専用デザイン)

また保有しているNFT数によって、Discord上のコミュニティにおいて以下の権限が付与されます。

  • 1個~9個: FARM HOLDER
  • 10個~29個:園主
  • 30個~99個:大園主
  • 100個以上:超園主

さらに付与された権限に対して、3ヶ月に1回のペースで以下内容の盆栽が実際に届きます。

  • 園主:ミニ盆栽1点
  • 大園主:小〜中品盆栽1点
  • 超園主:オリジナル盆栽1点

今後も季節に応じたNFT作品の追加販売を予定しており、世界中からの注目が集まることが考えられるでしょう。

魅力的な世界観と取り組み

盆栽をアート作品と位置づけ、日本だけではなく海外にも売り込む戦略は非常に新しいと言えるかもしれません。

さらにNFTと連動させることで、盆栽が持つ歴史により重みを加えることに成功しているでしょう。

コミュニティの会員権とも呼べる「BONSAI NFT CLUB」に続き、NFTアートとしての位置づけが強くなる「BONSAI NFT FARM」、そして現在では第3弾プロジェクトの着想もスタートしているようです。

そして2023年2月には、現代盆栽アーティストである平尾成志氏がオープンする盆栽園の中に、「BONSAI NFT CLUB」の盆栽園ができる予定です。

盆栽を海外へ輸出するためには、検疫や規制面でのハードルが高くなりますが、盆栽園を所有していることで格段に容易になると言います。

今後は海外にも盆栽園を展開する予定としており、2月にオープンする盆栽園はそのための拠点となることが考えられるでしょう。

4月には「BONSAI NFT MUSEUM」と呼ばれる、盆栽美術館を設立するプロジェクトも控えています。

盆栽の世界観を広げるために、多種多様な取り組みを続ける「BONSAI NFT CLUB」から今後も目が離せません。

盆栽を取り巻く現状

日本国内での盆栽の歴史は平安時代にまで遡り、古くは「盆山」や「鉢木」などと呼ばれていました。

「盆栽」という表記が多く現れるのは鎌倉時代の末期以降であり、江戸時代からは盆栽の栽培や園芸が盛んになります。

明治時代には権力者が集まる席に盆栽が置かれるようになり、大正末期から昭和にかけて一般的な大衆盆栽が普及するに至りました。

戦後になると大型の盆栽の管理が困難になりましたが、その後は小型化が進み、現在我々が思い浮かべるような盆栽の形が作られていきました。

海外で注目を浴びている

盆栽が海外において人気となったきっかけとしては、1970年に行われた大阪万博だと言われています。

会場に作られた日本庭園が多くの外国人の興味を集めましたが、その中でも小さな鉢の中で美しい景色を表現した盆栽は特に注目が集まりました。

「BONSAI」という単語はそのまま英語にもなっており、その人気の高さがうかがえるでしょう。

また、もともと日本文化に興味がある外国人が多かったことに加えて、現在はSNSの普及によってより広い範囲、世代へとその魅力が伝わっています。

国内での需要減と海外への売り込み

日本国内での盆栽需要はバブル崩壊の90年以降、低迷の一途を辿り続けています。

さらに盆栽園を経営する人材も減少し続けており、業界全体として後継者不足に悩み続けている状況が長きに渡って続いています。

その一方、海外での評価や需要は日本での低迷に反比例するように高まり続けており、現在では多くの盆栽業者が海外へ向けた商流を作っています。

日本を代表する盆栽産地である高松市は、2016年まで3年間の輸出量は7,000本前後でありながら、2019年には12,800本にまで急増しています。

またこれまで病害虫の対策として輸入を禁じていたEUが、2020年に輸入を解禁するなど、業界にとって明るいニュースも少なくありません。

しかし、海外への売り込みについては検疫条件の1つとして、植物防疫所の検査を年間6回は行う必要があるなど、負担や課題が多いことも事実です。

それでも盆栽業界の生き残りをかけて、海外への売り込み強化は今後も加速していくことが考えられるでしょう。

市場活性化の成功事例となるか

日本国内には盆栽だけに限らず、後継者不足や売上減少に悩む伝統産業、工芸品などは数多く存在しています。

これらを存続させる手段としては従来、SNS上で口コミを集めることや、クラウドファンディングでの資金提供などが実施されてきましたが、今後はNFTを絡めた取り組みも考えられるでしょう。

特に海外へと販路を向けた訴求に関して、NFTを活用したマーケティングは効果が高いと考えられます。

「BONSAI NFT CLUB」でも、すでに海外ホルダーは数多く存在しており、今後は海外にも盆栽園の拠点を作り上げることを目標としています。

「BONSAI NFT CLUB」の事例が成功することで、衰退傾向にある伝統産業、工芸品などへの横展開も可能になるかもしれません。

日本が持つ魅力を更に海外に向け発信するための足がかりとして、今回の盆栽とNFTを絡めた取り組みが成功事例となることが期待されるでしょう。

まとめ

日本古来の芸術作品である盆栽を、NFTアートとして売り込む「BONSAI NFT CLUB」の事例を紹介しました。

もともと盆栽が持っていた所有者の移り変わりという特徴を、所有者データが引き継がれてゆくNFTと上手く連動させた事例であると言えます。

NFTはデジタルデータを所有できるという革命をもたらしましたが、「BONSAI NFT CLUB」の事例のように、現実世界の作品と合わせることでより活躍の幅を広げられるはずです。

また日本の伝統産業の存続、海外への認知、販路拡大に繋げるためにも、「BONSAI NFT CLUB」の取り組みは注目を集めるはずです。

歴史ある産業がNFTによってイノベーションを起こし、幅広い業界がさらなる発展を遂げる可能性は高いと言えるでしょう。

May

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ブロックチェーンを筆頭とする様々な技術が、今後世の中の仕組みを大きく変えるかもしれないという点に対し興味を持っているWebライター。 自身の経験を元にだれにでも分かりやすく、興味をもってもらえるような記事を執筆するように心がけて参ります。
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