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暗号資産(仮想通貨)のクジラとは?市場に与える影響や動きを追跡する方法を解説

解説系記事

暗号資産(仮想通貨)業界において、大量のビットコインなどを保有しているクジラ(Whale)と呼ばれる存在は、市場に大きな影響を与えることで知られています。

そのためクジラの動きを追跡しておくことで、今後のマーケット状況の変化をいち早く察知できる可能性があると言えるでしょう。

この記事では、暗号資産市場におけるクジラとは一体誰なのか?という正体や、市場に与える影響について解説していきます。

また、クジラの動きを追跡できるツールや指標などもご紹介していくので、興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

暗号資産市場におけるクジラ(Whale)とは?

まずは、暗号資産市場におけるクジラの概要・特徴をご紹介していきます。

また、現在考えられているクジラの正体についても解説していくので、詳しく確認していきましょう。

暗号資産市場に大きな影響を与える大口保有者のこと

暗号資産市場のクジラとは、ビットコインなどの暗号資産を大量に持っている大口保有者のことです。

一般的にビットコインであれば、1,000BTC以上を保有する投資家のことをクジラと読んでおり、2023年1月21日時点のデータでは2,045頭ものクジラが確認されています。

画像引用元:Addresses with Balance > 1,000 BTC | LookIntoBitcoin

また、BitInfoChartsによると、1,000BTC以上を持つクジラが全てのビットコインの約40%の割合をシェアしているとされています。

画像引用元:Top 100 Richest Bitcoin Addresses and Bitcoin distribution | BitInfoCharts

このようにビットコインなどの暗号資産では、少数のクジラが市場に対して非常に大きな影響力を持っていることがよくわかるでしょう。

暗号資産のクジラの正体

暗号資産を大量に保有しているクジラですが、その正体はどのような人々なのでしょうか?

次に、暗号資産のクジラと考えられる投資家についてご紹介していきます。

  • ヘッジファンドなどの機関投資家
  • 個人投資家
  • マイニング業者

ヘッジファンドなどの機関投資家

クジラの正体としてまず挙げられるのが、ヘッジファンドなどの機関投資家です。

これまで暗号資産の取引は個人投資家によって行われるのが中心でしたが、近年では莫大な資金量を背景に取引を行う機関投資家の参入が目立ってきています。

一般的に機関投資家は、個人投資家から集めた資金をまとめて運用する投資機関となっており、その資金量の豊富さから個人投資家とは比べ物にならないほど、市場に大きな影響を及ぼします。

また、機関投資家とは少し異なるかもしれませんが、マイクロ・ストラテジーやテスラなど、大量のビットコインを保有する企業も徐々に登場してきています。

個人投資家

暗号資産のクジラの中には、個人投資家も一定数含まれると言われています。

2023年1月現在では、1枚あたり約300万円で取引されているビットコインですが、2009年に運用が始まった際には1BTCあたり0.07円程度で売買が行われていました。

ビットコインに限らず、一般的にリリースされたばかりの暗号資産は非常に安い価格帯で取引されるため、初期フェーズで購入していた投資家は大量の枚数を保有していると考えられます。

また、個人投資家だけでなく、大量のトークンを保有しているプロジェクトの初期開発者メンバーもクジラだと言えるかもしれません。

マイニング業者

ビットコインなどの採掘を行うマイニング業者に関しても、暗号資産のクジラとして有名です。

特に、大手のマイニング業者に関しては、採掘したビットコインを売却せず、大量に保有し続けているケースも珍しくありません。

そのため暗号資産のプロの投資家ほど、マイナーの動きに関しても詳細にチェックしている傾向があります。

暗号資産のクジラが市場に与える影響

次に、暗号資産のクジラが市場に与える影響についてご紹介していきます。

現在では、世界的にも投資アセットとして認められつつある暗号資産市場ですが、まだ伝統的な金融市場と比較すると取引ボリュームは小さいと言えるでしょう。

そのため、大量のビットコインなどを保有するクジラが及ぼす影響力は非常に大きなものとなっており、市場をコントロールすることも不可能ではないとされています。

実際、暗号資産市場ではテクニカルやファンダメンタルズ的にも不自然な値動きをするケースが存在しており、こういった予測できない値動きはクジラによる大量の注文がきっかけとなって発生すると言われています。

2023年1月現在、年明けから暗号資産市場は大きな上昇を見せていますが、オンチェーン分析を手がけるCryptoQuantによると、誰かが先物で40億ドル分の成行買いを行ったことで、ショートカバーによる大規模反発が起こったとしています。

このように大きな資金を持つクジラの影響力によって、ある程度の市場操作が行われていることは知っておいてください。

暗号資産のクジラの動きを追跡できるツール・指標

暗号資産市場に大きな影響を持つクジラですが、どのようにその動きを追跡していけばよいのでしょうか?

ここでは、クジラの動きを把握するのに役立つ、以下の4つのツール・指標について解説していきます。

  • Whale Alert(ホエールアラート)
  • Whalemap(ホエールマップ)
  • Coinbase Premium Index(コインベース・プレミアムインデックス)
  • Grayscale Bitcoin Holdings(GBTCプレミアム)

Whale Alert(ホエールアラート)

Whale Alert(ホエールアラート)とは、クジラによる大きな資金移動をリアルタイムで通知してくれるサービスです。

何かのアカウントに登録する必要がなく、Twitterで通知してくれるのでアカウントをフォローするだけでクジラの動きを把握することができます。

クジラの追跡ツールでは最も有名なサービスの一つなので、ぜひTwitterアカウントをフォローしておくことをおすすめします。

Whalemap(ホエールマップ)

Whalemap(ホエールマップ)は、クジラのウォレットの動きを追跡し、見やすいように可視化してくれる追跡ツールです。

クジラが大きな資金を動かしたポイントなどを視覚的に確認できるので、その後の上昇相場や下落相場の予想に活用することができるでしょう。

基本的に無料で使用できるツールなので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか?

Coinbase Premium Index(コインベース・プレミアムインデックス)

画像引用元:Twitter

クジラの動きを把握する指標として、Coinbase Premium Index(コインベース・プレミアムインデックス)というものがあります。

通称「Coinbaseプレミアム」とも呼ばれており、アメリカ大手の暗号資産取引所であるCoinbaseと、Binanceで取引されているビットコインの価格差を表す指標です。

一般的にBinanceは個人の投資家が使用しているのに対し、Coinbaseは大口の機関投資家(クジラ)が利用している傾向があるため、クジラが活発にビットコインを購入すると「Coinbaseプレミアム」の乖離が発生します。

こういった取引所間のビットコインの価格差を確認することで、クジラの動きを確認することもできるでしょう。

Grayscale Bitcoin Holdings(GBTCプレミアム)

画像引用元:Grayscale Investments BTC Holdings | Coinglass

Grayscale Bitcoin Holdings(GBTCプレミアム)とは、アメリカ大手の暗号資産投資企業「Grayscale(グレースケール)」が保有するビットコインの数量を表す指標です。

このGrayscaleは、GBTCという一般の株式のように取引できる「ビットコイン投資信託」を提供しており、主に機関投資やアメリカの富裕層が投資を行っています。

Grayscaleは1GBTCに対して1BTCの担保を保有していることから、多くのGBTCが購入されることでGrayscale Bitcoin Holdingsの数値が上昇します。

つまり、Grayscale Bitcoin Holdingsの上昇=クジラの活発な取引を意味するため、市場のセンチメントを測る上での指標にすることができるでしょう。

Whale Alert(ホエールアラート)の基本的な見方・使い方

記事の最後に、クジラの動きを追跡する上で最も手軽に利用できる、Whale Alert(ホエールアラート)の基本的な見方・使い方をご紹介していきます。

簡単な見方・使い方さえ覚えてしまえばすぐに活用できるので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

  • 暗号資産取引所からウォレットへの送金
  • ウォレットから暗号資産取引所への送金
  • ステーブルコインの新規発行(mint)と焼却(burn)

暗号資産取引所からウォレットへの送金

もし、ビットコインなどが暗号資産取引所からウォレットへ送金された場合、Whale Alertでは上記のようなツイートが行われます。

このツイートを例にすると、誰かがBinanceのアカウントからどこかのウォレットに2,000枚ものビットコインを送金したことを意味しています。

もちろん、送り先のウォレットが誰のものかはわかりませんが、2,000BTCという大量の送金額から考えると、長期保有するために自分のコールドウォレットに送金したと考えるのが一般的です。

つまり、取引所からコールドウォレットへの送金=長期保有が予想されるため、取引所にあるビットコインの残高が減少し、売り圧が減少すると考えられるでしょう。

こういった大量の暗号資産が取引所から出金される動きが増えてきた場合、短期的に価格が上昇するのでは?といった予想をすることができます。

ウォレットから暗号資産取引所への送金

先ほどとは反対に、大量の暗号資産がウォレットから取引所へ送金された際には、上記のようなツイートがされます。

上記のツイートでは、1,500枚ものビットコインがどこかのウォレットからCoinbaseへ流入したことがわかります。

基本的にクジラは長期保有する暗号資産をコールドウォレットに保管する傾向があるため、取引所への送金=売却を意味していると考えてよいでしょう。

つまり、短期的に大きな売り圧が生じるため、価格の下落に警戒する必要があります。

ステーブルコインの新規発行(mint)と焼却(burn)

Whale Alertでは、暗号資産の移動以外にステーブルコインの新規発行(mint)・焼却(burn)についても知らせてくれます。

もし、ステーブルコインが大量に新規発行された際には、上記のようなツイートが通知されます。

ステーブルコインが新規発行される理由の一つとして、新たに暗号資産を購入することが考えられるため、価格にはポジティブな影響が出ると予想できるでしょう。

ただし、ステーブルコインを新規発行してDeFiで運用するといったケースも考えられるので、必ずしも買い圧が高まるわけではないことは把握しておいてください。

新規発行とは反対に、大量のステーブルコインが焼却された際にもツイートが行われます。

USDTやUSDCなどの暗号資産担保型のステーブルコインが焼却される際は、単純にステーブルコインを法定通貨に戻すことを意味するため、ビットコインなどの価格の下支えが弱くなると考えられるでしょう。

今回は基本的なWhale Alertの見方・使い方をご紹介しましたが、もっとトレードなどに活用したいという方はぜひWhale Alertのアカウントをフォローしてみてはいかがでしょうか?

また、ステーブルコインについてもう少し詳しく知りたい方は、ステーブルコインとは?法定通貨などにペッグする暗号資産の特徴やステーブルコインの種類まで徹底解説の記事もあわせて参考にしてみてください。

暗号資産のクジラの正体や市場に与える影響まとめ

今回は、暗号資産市場に大きな影響を及ぼすクジラ(Whale)の正体などについて解説してきました。
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ご紹介したように、クジラの正体は機関投資家やマイニング業者と言われており、上位の大口保有者だけでビットコインの約40%のシェアを保有しています。

実際、クジラによって市場が操作されている側面があることは事実であり、クジラの動きを追跡することでマーケットの動きをある程度予想することも不可能ではないでしょう。

クジラの行動を追跡しておきたいという方は、ぜひ本記事でご紹介したWhale Alert(ホエールアラート)や、Whalemap(ホエールマップ)などのツールを駆使してみてはいかがでしょうか?

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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