Menu

ONGAESHIとは?NFTを活用してリスキリング無償化を実現する育成・採用サービス

解説系記事

現在、NFT(Non-Fungible Token)は様々なビジネスでの活用が進んでおり、日本国内でも複数のユースケースが登場しています。当記事でご紹介するONGAESHI(オンガエシ)もその一つです。NFTを活用することでリスキリング(新しいスキルの取得)の無償化を実現し、人材の育成・採用を目指すサービスとなっています。

この記事では、ONGAESHIとはどのようなサービスなのか?といった概要・特徴や、そのビジネスモデル・仕組みなどを詳しく解説していきます。これから自社ビジネスにNFTの導入を検討している方は、一つのNFT活用モデルとしてぜひ参考にしてみてください。

ONGAESHIとは?

画像引用元:デジタル人材の育成・採用サービス「ONGAESHI(オンガエシ)」

早速ですが、ONGAESHIの概要・特徴をご紹介していきます。以下の項目に沿って、順番に確認していきましょう。

  • NFTを活用したデジタル・リスキリングの無償化を目指すサービス
  • ONGAESHIに参加している企業
  • 2023年10月25日にサービスを正式リリース
  • ONGAESHIのロードマップ

NFTを活用したデジタル・リスキリングの無償化を目指すサービス

ONGAESHIとは、web3.0やNFTを活用したデジタル・リスキリング無償化を実現する育成・採用一体型サービスです。リスキリングとは、技術やビジネスモデルの変革に合わせ、業務で必要な新しいスキル・知識を学ぶことを意味します。

現在、世の中は急速に変化しており、社会で必要とされるスキルも変化しているといえるでしょう。社会で活躍するためには、常に学び続けることが必要です。しかし、資金面などの問題から、社会人のリスキリング格差は広がりを見せている状況だといえるかもしれません。

そういった問題を解決するために、ONGAESHIはNFTを活用することで、持続可能な形での無償教育の提供を目指しています。具体的には、NFTを利用して「タレント(無償で学び転職を目指す人)」と「スポンサー(学びを支援したい人)」をマッチングさせます。タレントがスキルを身に付けて転職に成功すると、スポンサーには人材育成に貢献した報酬として、連帯貢献金(ト―クン)が配布される仕組みとなっています。

つまり、NFTを活用し、従来の寄付や奨学金とは異なるアプローチ方法で、持続可能な教育支援を行うプロジェクトだといえるでしょう。

なお、ONGAESHIのビジネスモデル・仕組み(スキーム)については、後にも詳しく解説しています。

ONGAESHIに参加している企業

2024年1月16日現在、ONGAESHIのプロジェクトに参加している企業は以下の通りです。

画像引用元:デジタル人材の育成・採用サービス「ONGAESHI(オンガエシ)」

慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンター、東京理科大学インベストメント・マネジメント(TUSIM)、三菱UFJ銀行、SMBC日興証券、三井住友信託銀行、KOKUYO(コクヨ)など、日本を代表する企業がプロジェクトに参加していることがわかります。なお、プロジェクトはInstitution for a Global Society株式会社(IGS)が主体となって運営されています。

ONGAESHIは、2023年2月に開始された歴史の浅いプロジェクトではありますが、複数の大手企業による強力な支援体制があることがわかるでしょう。

2023年10月25日にサービスを正式リリース

そんなONGAESHIですが、2023年10月25日に正式リリースを発表しました。同日にONGAESHIの専用アプリがリリースされており、本格的にサービスの提供が開始されています。

画像引用元:【教育NFTの活用で、1年目は1,000人の無料学習を可能に】リスキリング・転職一体型サービス「ONGAESHI」リリース

なお、アプリはタレント(無償で学び転職を目指す人)向けの「ONGAESHI」と、スポンサー(学びを支援したい人)向けの「ONGAESHI View」の2種類がリリースされています。

リリース1年目はタレント1,000人へ無償教育の提供を目指しており、これまで3つの学習講座の募集が行われています(2024年1月16日現在)。

画像引用元:【「ONGAESHI」iOS版リリース】「学び転職を目指す人」に「スポンサー」がつくから、0円で学べて頑張れる!~11月・12月開講「ビジネスプランナー」「データサイエンス」講座のエントリー受付中~

ONGAESHIのロードマップ

ONGAESHIのロードマップは、以下の通りです。

時期 詳細
2020年4月 STARプロジェクトの開始
2023年2月 ONGAESHIプロジェクトの開始、記者発表会
2023年4月 発行体の設立
2023年5月 ONGAESHIの先行講座を提供開始

・DXデザイナー養成プログラム

・データサイエンス実践講座

・データ分析入門講座

2023年8月 採用マッチングを開始
2023年10月 ONGAESHIをリリース
2023年度 ・コイン交換マーケットのリリース

・連携講座を拡充

2024年度 ・独自のガバナンストークンであるONGSの発行

・NFTセカンダリーマーケットのリリース

2024年9月 ONGAESHIのアジア展開
2026年4月 ONGAESHIの世界展開
2033年9月 DAO(自律分散型組織)の設立
2040年~ 教育格差のない社会を実現

ONGAESHIは、2020年4月に実証実験が開始された学び支援型就活サイト「STAR」での知見を発展させ、プロジェクトが進められています。

今後の計画として、2023年度には連携講座の拡充、2024年度には独自トークンONGSの発行などを予定しています。また、2024年にはアジア展開、2026年には世界展開を目指しており、さらなる事業の拡大を行っていくとしています。

2033年9月にはDAO(自律分散型組織)の設立も予定しており、最終的には非中央集権的な形でのプロジェクト運営を目指していると考えられるでしょう。

関連記事:【完全版】DAO(自律分散型組織)とは?特徴や今後の課題、有名なDAOまで徹底解説

ONGAESHIのビジネスモデル・仕組み

下記の画像は、ONGAESHIのビジネスモデル・仕組みを表したものです。

画像引用元:デジタル人材の育成・採用サービス「ONGAESHI(オンガエシ)」

ONGAESHIのビジネスモデルは、「講師」「スポンサー」「タレント」「採用企業」という4つのファクターによって構成されています。NFTを活用することで、タレントの人材育成に関わった人々に連帯貢献金(トークン)が支払われる仕組みを導入し、持続的な無償教育の提供を目指しています。

ここでは、ONGAESHIの仕組みをさらに理解するためにも、以下の項目に沿って詳しく確認していきましょう。

  • 講師
  • スポンサー
  • タレント
  • 採用企業

講師

「講師」は、タレントの知識・スキル習得に直結する、講座を作成する役割を担っています。また、講師は自分が作成した講座をポジションNFT(講座の受講権)化し、スポンサーに販売して収益を得ています。

なお、タレントが知識・スキルを習得して転職に成功した場合、そのインセンティブとして「連帯貢献金(ト―クン)」が講師に支払われるケースもあるとされています。

スポンサー

「スポンサー」は、講師からポジションNFT(講座の受講権)を購入し、それをタレントに無償で貸し出す役割を持っています。つまり、スキルを身につけたいタレントを支援する重要な役割を担っているといえるでしょう。

ただし、タレントがスキルを身につけて転職が決まった際には、その報酬として連帯貢献金(ト―クン)が支払われる仕組みとなっています。連帯貢献金(ト―クン)は、採用企業から支払われる人材紹介フィーの約50%となっており、今のところJPYCでの支払いが予定されています。

タレント

「タレント」は、ONGAESHIのサービスを通して講座を受講し、スキルや知識を学ぶユーザーです。前述の通り、ポジションNFTはスポンサーが無償で貸し出してくれるため、タレントは無償で様々な講座を受講することができます。

また、ONGAESHIは採用企業とのマッチングも支援しており、タレントはリスキリングに取り組みながら、最短距離で転職を目指すことができるでしょう。

採用企業

「採用企業」は、ONGAESHIでスキルを身につけたタレントを雇用する企業です。上記の通り、ONGAESHIは、リスキリングしたタレントと企業をマッチングさせる支援も行っているため、採用企業は自社が求めるスキルを持った人材を採用できる可能性があります。

なお、採用企業が支払った人材紹介フィーが、スポンサーや講師のインセンティブとして分配されることで、ONGAESHIのビジネスモデルが成立しています。

ONGAESHIが社会に与える影響やメリット

ここまでONGAESHIの特徴やビジネスモデルについて解説してきましたが、今後ONGAESHIは社会にどのような影響を与えていくのでしょうか。記事の最後に、ONGAESHIが社会に与える影響・メリットについて考察していきます。

  • リスキリング格差の是正
  • デジタル人材の安定供給
  • 企業の採用コストの大幅削減

リスキリング格差の是正

前述の通り、現代社会は大きな変革を見せており、社会人に求められるスキルも変化しています。そのため、常に学び続ける姿勢が大切ですが、学びに使える十分な資金がないという方も多いでしょう。

しかし、ONGAESHIはNFTを活用した新しい仕組みを導入することで、多くの人材に無償での教育機会を提供します。この仕組みにより、意欲はあるものの資金がない人材の育成に貢献し、リスキリングや教育格差を是正できる可能性を持っています。

デジタル人材の安定供給

ONGAESHIのメリットとして、デジタル人材を社会に安定供給できるということも挙げられるでしょう。講座の受講権利を無償で提供することで、多くのユーザーがスキルや知識を身につけ、人材としての価値を高めることができます。

現在、十分なスキルや実務能力を持つデジタル人材は少なく、採用の難易度も上がっているとされています。しっかりとしたスキルを持ち、第一線で活躍できるデジタル人材を育成することは、採用企業に止まらず、日本全体に良い影響を与えるといえるでしょう。

企業の採用コストの大幅削減

ONGAESHIは、企業の採用コストを大幅に削減できるメリットもあります。ONGAESHIでは、システム利用料などの仕組みはなく、成功報酬型のシステムを採用しています。

タレントの採用が決定してはじめて人材紹介料が発生するため、採用企業は人材採用にかかるコストを大幅に削減できます。また、企業のニーズに合致したタレントをマッチングしてくれるため、採用後のミスマッチが起こりにくいメリットもあるでしょう。

関連記事:三井住友海上がDAO(自律分散型組織)型の採用プロセスを導入!DAO型採用プロセスのメリットとは?

NFT活用でリスキリング無償化を実現するONGAESHIまとめ

今回の記事では、リスキリング無償化の実現を目指すONGAESHIについて解説してきました。他のプロジェクトにはないユニークな方法でNFTを活用しており、新しいNFTのユースケースを示している事例となっています。

これから自社ビジネスにNFTの利用を考えている方は、ぜひONGAESHIの仕組みを参考にしつつ、活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
Author