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INO(Initial NFT Offering)とは?新しいNFTの販売(資金調達)方法を解説

解説系記事

2020年頃からNFTの本格的なブームが始まって以降、様々なNFTがリリースされてきました。

近年ではNFTの販売(資金調達)方法も多様化しており、ICOやIEOのNFT版であるINO(Initial NFT Offering)が徐々に注目を集めています。

この記事では、INOの概要・特徴や、INOを活用した事例などを解説していきます。

記事の後半では、INOができるNFTマーケットプレイスもいくつかご紹介していくので、これからNFTの販売を検討している事業者の方はぜひ最後までご覧ください。

INO(Initial NFT Offering)とは?

早速ですが、INOの概要・特徴について解説していきます。以下の3つの項目に沿って確認していきましょう。

  • NFTプロジェクトがNFTの一次販売を行う手法の一つ
  • INOを行う際にはプラットフォームによる審査が行われる
  • 事業者はNFTマーケットプレイスの知名度を活用できる

NFTプロジェクトがNFTの一次販売を行う手法の一つ

INOとは、NFTプロジェクトが自分達のNFTを一次販売する際の手法の一つです。正式名称は「Initial NFT Offering」となっており、プラットフォームによっては「NFTローンチパッド」と呼ばれることもあります。

販売の手続きや仕組みはプラットフォームによって若干違いがありますが、一定期間中に購入の申し込みを受け付け、購入できるユーザーを抽選で選ぶという形式が一般的です。

また、INOは基本的にNFTマーケットプレイスなどのプラットフォームを介して行われます。そのため仕組み的には、取引所が暗号資産(仮想通貨)の先行販売を仲介するIEO(Initial Exchange Offering)に近いといえるでしょう。

INOに参加することで、ユーザーは安価な価格でNFTを優先購入できる権利が得られます。事業者側としても、プラットフォームを使ってNFTの宣伝を行い、プロジェクト初期段階で資金調達できるメリットがあります。

INOを行う際にはプラットフォームによる審査が行われる

INOを行う際には、プラットフォーム側による審査が行われます。事業者側はプロジェクトの内容やロードマップ、運営体制、販売価格などを提出し、審査に通過して初めてNFTの販売ができます。

つまり、INOはどんな事業者でも利用できるわけではなく、選ばれたプロジェクトのみが利用できる販売方法だといえるでしょう。

また、ユーザーとしてもプラットフォームによる審査があるため、詐欺プロジェクトのNFTを掴んでしまう可能性が低く、安心して購入できるメリットがあります。

事業者はNFTマーケットプレイスの知名度を活用できる

INOを利用することで、事業者はNFTマーケットプレイスの知名度を活用できます。すでにプラットフォームを利用している既存ユーザーにアプローチできるため、一からマーケティングをする必要がありません。

特に知名度や実績がない新興のプロジェクトにとって、INOはNFTを新規販売する際の選択肢の一つになるでしょう。

INO(Initial NFT Offering)でNFTを販売した事例

次に、実際にINOでNFTを販売した事例をご紹介していきます。

現状、まだINOを活用したNFTの販売事例は少ないです。しかし、2023年4月に山形県西川町がデジタル住民票NFTのINOを行い、日本国内で注目を集めました。

ここでは「山形県西川町デジタル住民票NFT」の概要やINOの結果、NFTの価値(ユーティリティ)、そもそもNFTで販売(資金調達)する必要があったのか?といった点をチェックしていきましょう。

山形県西川町デジタル住民票NFT

画像引用元:HEXA(ヘキサ)公式サイト

2023年4月17日〜28日にかけて、山形県西川町が「デジタル住民票NFT」のINOを実施しました。INOは国内NFTマーケットプレイスのHEAX(ヘキサ)で行い、販売個数1,000個に対して13,440件もの注文が入るなど、大きな注目を集めたといえるでしょう。

過去には、新潟県長岡市の山古志地域(旧山古志村)が「Nishikigoi NFT」というデジタル住民票を発行しましたが、あくまで住民が集まった任意団体によるNFTでした。しかし、西川町のデジタル住民票NFTは自治体が公式に発行したものであり、そういった面でも注目を集めたと考えられます。

NFTの機能面としては、保有者は西川町のデジタル住民として認められることが主なユーティリティ(価値)となっています。また、町長が参加するオンラインコミュニティへの参加が認められたり、温泉の入浴が無料になるなどの特典も付与されています。

しかし、デジタル住民になることが認められるとは言え、西川町の本当の住民になれるわけではありません。デジタル住民票NFTには、いくつかのユーティリティが付与されていますが、そこに価値を感じるか感じないかは人それぞれだといえるでしょう。

また、今回のINOで西川町は資金調達というよりも、デジタル住民票をきっかけに同自治体の関係人口の増加を主な目的にしていたと考えられます。デジタル住民票をNFTとして発行することで、ブロックチェーン上で所有権を証明できます。

デジタル住民票という「客観的に所有権の証明が必要になるもの」を提供している点を考えると、NFTで販売する必要はあったといえるでしょう。

INO(Initial NFT Offering)ができるNFTマーケットプレイス

最後に、INO(ローンチパッド)ができるNFTマーケットプレイスをいくつかご紹介していきます。

それぞれのプラットフォームによって特徴が異なるので、これからINOの活用を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

  • HEXA(ヘキサ)
  • Zaif INO
  • Magic Eden(マジックエデン)
  • MOOAR

HEXA(ヘキサ)

国内発のNFTマーケットプレイスであるHEXA(ヘキサ)は、2023年1月からINO機能の提供を開始しました。HEXAの運営側にプロジェクトの目的やロードマップなどを提出し、審査に通るとINOを実施できます。

HEXAでのINOの事例は、先ほど解説した「山形県西川町デジタル住民票NFT」の一例しかありませんが、多くの購入需要を集めるなど話題となりました。

しかし、現状ではINOで発行したNFTは外部ウォレットに出庫できないため、全ての取引をHEXAのプラットフォーム内で完結しなければいけません。今後、NFTが出庫できるようになる可能性もありますが、今のところ少し利便性が悪いといえるでしょう。

HEXAに関する情報をさらに詳しく知りたい方は、国産NFTマーケットプレイスHEXA(ヘキサ)の特徴や使い方をわかりやすく解説の記事もあわせてチェックしてみてください。

Zaif INO

Zaif INOは、暗号資産取引所Zaifを運営するカイカエクスチェンジによるINOプラットフォームです。NFTゲーム(GameFi)のINOに特化しており、イーサリアムやポリゴン、BNBチェーンなど6つのネットワークでNFTを販売できます。

また、「ブラインドミント」というランダムに選定されたNFTをユーザーに販売する仕組みが採用されているため、ユーザーはガチャ的な要素を楽しむことが可能です。もちろん、INOには審査制を導入しているので、一次販売するNFTのクオリティも一定水準に保っています。

2022年10月にスタートしたばかりのプラットフォームではありますが、マルチチェーン NFTマーケットプレイスのtofuNFTと業務提携するなど、積極的に事業の拡大を行っています。これからNFTゲーム関連の事業を行っていきたい方は、利用を検討してみてもよいでしょう。

Magic Eden(マジックエデン)

Magic Eden(マジックエデン)は、ここ最近注目を集めている人気のNFTマーケットプレイスです。もともとはSolana(ソラナ)上のNFTを専門に扱うプラットフォームでしたが、2023年5月現在ではソラナ、イーサリアム、ポリゴン、ビットコインの4つのチェーンに対応しています。

そんなMagic Edenでは、NFTの新規販売ができる「ローンチパッド」の機能を提供しています。「プロジェクト概要」「チームメンバー」「価格」などを運営側に提出することで、審査を受けることが可能です。また、現在話題となっているビットコインNFTのローンチパッドができることも特徴の一つといえるでしょう。

Magic EdenでNFTのローンチパッドができれば、多くの既存ユーザーに自分達のNFTをアプローチできる可能性があります。

なお、Magic EdenについてはMagicEden(マジックエデン)の特徴や使い方を解説!Solanaチェーン基盤で要注目!でも詳しく解説しています。

MOOAR

MOOARは、Move to Earnで有名なSTEPN(ステップン)を運営するFind Satoshi Lab社によるNFTマーケットプレイスです。会員制マーケットプレイスとなっており、サブスクリプション型の料金形態を特徴としています。

MOOARではNFTの一次販売ができるローンチパッド機能を提供しており、イーサリアムもしくはソラナチェーン上でNFTを新規発行できます。また、STEPNのガバナンストークンGMTで購入できる投票チケットを使った抽選システムを採用しており、他のプラットフォームとは大きく異なる特徴を持っています。

STEPNの経済圏崩壊に伴い、現在は勢いを失っているプラットフォームですが、今後STEPNのエコシステムが再興した際にはMOOARに注目が集まる可能性もあるでしょう。

INO(Initial NFT Offering)まとめ

今回は、INO(Initial NFT Offering)という新しいNFTの販売・資金調達方法について解説してきました。

ご紹介したように、INOはプロジェクトがNFTを一次販売する際の手法であり、国内のNFT市場でも注目を集めつつあります。

これからNFTを利用した事業を行っていきたい方は、INOの活用を検討してみてもよいかもしれません。

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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