日本でも2021年にNFTが大きく普及して以降、さまざまな業界でNFTを利用する動きが活発化しています。スポーツ業界もその一つであり、NFTを活用する多くのプロジェクトが登場してきました。
この記事では、そんなスポーツ業界におけるNFTの活用事例をいくつかピックアップし、詳しくご紹介していきます。これから自社ビジネスにNFTを活用していきたいスポーツ業界の方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の構成
スポーツ業界でのNFTの4つの活用種類・ジャンル
具体的なNFTの活用事例をご紹介する前に、まずはスポーツ業界でのNFTの活用方法を4つに分類してみました。
どのようなジャンルでNFTが活用されているのか気になる方は、まずはここからチェックしていきましょう。
- デジタルトレーディングカードゲーム
- NFTコレクション
- ファントークン
- 入場券・会員権
デジタルトレーディングカードゲーム
スポーツ業界において最もNFTの活用が進んでいるのは、デジタルトレーディングカードゲームのジャンルです。
バスケットボールや野球、サッカーなどプロスポーツ選手のトレーディングカードをNFT化したり、プレー動画をNFTとして発行する活用方法が取り入れられています。イメージとしては、「プロ野球チップスに付属する選手カードをNFT化している」と考えればわかりやすいかもしれません。
ただ単純に選手のNFTカードを発行するだけでなく、そこに現実世界の試合と連動するような、ゲーム要素を加えているプロジェクトも存在しています。
中には、2019年頃からリリースされているデジタルトレーディングカードのプロジェクトもあるなど、スポーツ業界においては確立されたNFTの活用方法だといえるでしょう。
NFTコレクション
スポーツ業界では、プロスポーツ選手に関係するNFTコレクションを発行している事例もあります。上記のデジタルトレーディングカードに関しても、大枠ではNFTコレクションに分類することが可能です。
NFTコレクションの例としては、例えばNFTアバターなどが挙げられるでしょう。また、プロスポーツ選手の3Dデジタルフィギュアを発行するといったNFTの活用方法もあります。
ただし、これらの活用方法はあくまでファンが「NFTをコレクションとして収集」することを想定しています。そのため、NFTに付与されているユーティリティはあまりなく、機能性が少ないNFTの活用方法だといえるでしょう。
ファントークン
スポーツ業界において、NFTはファントークンのような形でも活用されています。ただし、DAO(自律分散型組織)におけるガバナンストークンのような機能を持つ、厳密なファントークンとは異なります。
例えば、ファントークンNFTの保有者には、スポーツクラブから特別なプレゼントが届くといった機能が付与されています。また、NFTを持っている方限定で選手からのメッセージが届く、といったユーティリティがあるケースも多いです。
特定のスポーツクラブや選手のファンにとっては価値がある、有効なNFTの活用方法の一つとなっています。
入場券・会員権
入場券・会員権として、NFTを活用する事例も登場してきています。
例として、入場券の機能を持つNFTの保有者は、「一般のユーザーが入れない時間帯に施設に入場できる」といったユーティリティが与えられています。
まだ、事例としては少ないですが、今後多くの企業やプロジェクトが採用するNFTの活用方法になると考えられます。
スポーツ業界におけるNFTの活用事例
ここからは本記事の本題となる、スポーツ業界におけるNFTの活用事例をいくつかご紹介していきます。以下の活用事例について、それぞれ詳しく確認していきましょう。
- NBA Top Shot
- PICKFIVE(ピックファイブ)
- パシフィック・リーグ Exciting Moments
- レバンガ北海道
- ニセコパウダートークン
NBA Top Shot
画像引用元:NBA Top Shot公式サイト
NBA Top Shotは、スポーツ業界において最も成功したNFTの活用事例の一つです。
北米のプロバスケットボールリーグであるNBAが公認しているプロジェクトであり、2020年にリリースされて以降、短期間で大きな成功を納めました。
「モーメント」と呼ばれるNBA選手の短いプレー動画がNFTとなっており、プラットフォームを通してユーザーが自由に売買することができます。人気選手のNFTの中には、数千万円という金額で取引されるものもあるなど、熱狂的な人気を博したデジタルトレーディングカードゲームだといえるでしょう。
プロジェクトが成功した背景には、すでに多数のNBAファンが存在していることが大きいと考えられます。また、CryptoKitties(クリプトキティーズ)で有名なDapper Labs社が運営しているという点も、注目を集めた理由の一つといえます。
プロジェクトの詳細は、NBA Top Shotとは?Flowブロックチェーンで開発された大人気NFTトレーディングカードゲームを徹底解説でもご紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
PICKFIVE(ピックファイブ)
画像引用元:川崎ブレイブサンダース公式サイト
PICKFIVE(ピックファイブ)は、日本のBリーグ(プロバスケットボールリーグ)に所属する川崎ブレイブサンダースの選手をNFT化したカードゲームです。
ゲームは無料でプレイすることができ、まず試合が始まる前に活躍しそうな5人の選手カードをピックアップします。リアルな試合での選手の活躍度によってスコアが反映され、ランキングが決まります。高いランキングに入ると、より多くのポイントを獲得することが可能です。
ここまでなら、よくあるNFTトレーディングカードゲームです。しかし、PICKFIVEでは獲得したポイントを、選手のサイン入りグッズなどが当たる抽選に利用できるという特徴があります。
トレーディングカードゲームをプレイすることで、リアルな選手のグッズを入手できる面白いNFTの活用事例だといえるでしょう。
パシフィック・リーグ Exciting Moments
画像引用元:Pacific League Exciting Moments公式サイト
パシフィック・リーグ Exciting Momentsは、野球のパ・リーグのチームに所属する選手のプレー動画を販売しているプロジェクトです。パ・リーグ6球団やパシフィックリーグマーケティング株式会社、株式会社メルカリと共同で運営されています。
プロジェクトとしては、NBA Top Shotにかなり近い内容となっています。各ユーザーが好きな選手のプレー動画(モーメント)を購入し、自分でコレクションすることが可能です。しかし、あくまでユーザーがプレー動画をコレクションできるという趣旨のプロジェクトであるため、何か特別な機能やユーティリティがあるというわけではありません。
また、同プロジェクトはNFT事業と発表されていますが、現状のプレー動画はNFTとして発行されていません。今後、ブロックチェーンの活用やNFTの再販機能を提供するとしていますが、今のところNFTをうまく活用できているプロジェクトだとはいえないでしょう。
レバンガ北海道
画像引用元:レバンガ北海道公式サイト
日本のプロバスケットボールチームであるレバンガ北海道では、自チームのファントークン保有者を対象に、独自のNFTを配布する取り組みを実施しています。
具体的には、8,000枚以上のファントークンを保有している方には、クラブマスコットである「レバード」の限定NFTを配布しました。また、レバードの背番号である「14」が記載されたNFTを保有している方には、「レバードからの手紙」が届くというユーティリティも付与されています。
他にも、15,000枚以上のファントークンを保有している方を対象に、レバンガ北海道に新規入団した選手の記念NFTを配布しています。NFTをプレゼントされた方は、保有者しか見れない選手からのメッセージが届く可能性があるなど、ファンには嬉しい機能が提供されています。
現状、特に機能性がない画像をNFTコレクションとして発行しているプロジェクトも多いです。しかし、レバンガ北海道ではユーザーが楽しめるユーティリティに配慮して、NFTを活用しているといえるでしょう。
なお、レバンガ北海道はFiNANCiE(フィナンシェ)というプラットフォームにてNFTを発行しています。FiNANCiEについて詳しく知りたい方は、FiNANCiE(フィナンシェ)とは?クラウドファンディング2.0と呼ばれる特徴や仕組みを解説の記事もあわせてチェックしてみてください。
ニセコパウダートークン
画像引用元:PRTIMES
ニセコパウダートークンは、北海道倶知安町にあるスキー場「ニセコ東急 グラン・ヒラフ」のアーリーアクセス権が与えられたNFTです。NFT保有者は、一般のリフト開場時間よりも早くスキー場に入ることができ、誰よりも先にファーストトラックを楽しめます。
東急不動産株式会社と株式会社HashPaletteが共同で発行しているNFTであり、北海道倶知安町のスマートリゾート化の取り組みとして発行されました。今後、NFT保有者にはさらなる利用特典(ユーティリティ)が付与される可能性も検討されています。
北海道倶知安町の観光促進的な要素もあるNFTですが、スキーとNFTを組み合わせた非常に面白い活用事例の一つだといえるでしょう。
スポーツ業界におけるNFTの活用事例まとめ
今回の記事では、スポーツ業界でのNFTの活用事例をいくつかご紹介してきました。スポーツ業界においてもNFTの活用は着実に進んでおり、今後さらなる活用事例が登場してくると考えられます。
現状では、デジタルトレーディングカードゲームなどのジャンルでNFTを活用している事例が多い状況です。しかし、今後はスポーツクラブにおける会員権NFTなど、よりリアルな世界での活用事例も増えてくるでしょう。
これからNFTを自社ビジネスに取り入れたいと考えている方は、ぜひ今のうちからさまざまなNFTの活用方法を想定しておいてはいかがでしょうか。