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お酒業界におけるNFTの活用事例|お酒 × NFTのメリットも詳しく解説

解説系記事

2021年頃からNFTへの注目が集まって以降、様々な業界でビジネスにNFTを活用する動きが出てきています。

ウイスキーや日本酒など、お酒業界でもNFTの活用が進んでおり、新聞社のニュース記事などでその活動が取り上げられることも増えてきました。

そこでこの記事では、国内・海外のお酒業界におけるNFTの活用事例をいくつかご紹介していきます。

これから自社ビジネスにNFTを取り入れていきたい事業者の方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

国内・海外のお酒業界におけるNFTの活用事例

早速ですが、国内・海外のお酒業界におけるNFTの活用事例をご紹介していきます。

海外だけでなく、日本国内でもお酒にNFTを活用する動きが活発化しています。ここでは、以下の5つの活用事例を確認していきましょう。

  • UniCask(ユニカスク)
  • Blockbar(ブロックバー)
  • 雷鳥
  • 酒輪
  • 喜界島酒造

UniCask(ユニカスク)

「UniCask(ユニカスク)」は、株式会社UniCaskが運営するウイスキー樽とNFTを紐付けたプロジェクトです。

UniCaskでは、ウイスキー樽の所有権をNFTで細かく小口化することで、一般のユーザーでも購入しやすい形で販売しています。UniCaskに限らず、ウイスキー樽を共同で購入するケースはめずらしくありません。しかし、NFTを活用することで、ブロックチェーン上で各個人の権利を明確化できるメリットがあります。

また、ウイスキーは熟成期間によって、その価値が大きく上昇します。保有期間に応じてNFTの価値上昇が見込まれるため、転売によって利益をあげることも可能でしょう。もちろん、分割保有しているウイスキー樽の熟成が終わったタイミングで、本物のウイスキーとの交換も可能です。

ウイスキーというお酒の特徴に注目し、その熟成期間にも価値をつけるという非常に有効なNFTの活用事例だといえるでしょう。

Blockbar(ブロックバー)

「Blockbar(ブロックバー)」は、ウイスキーやテキーラ、ブランデーなどのお酒を取り扱うNFTマーケットプレイスです。世界的に有名なお酒メーカーと提携しており、HennessyやJohnnie Walker、軽井沢ウイスキーなどのお酒のNFTを取り扱いしています。

Blockbarが取り扱うNFTは、本物のボトルと同じデザインなだけでなく、実物のお酒と紐づいて管理されています。お酒はBlockbarが管理するシンガポールの倉庫で適切に保管されており、保有者はNFTとお酒を1:1で交換することも可能です。

また、お酒の発送と同時に所有しているNFTがBurn(焼却)される仕組みとなっているなど、NFTを非常にうまく活用している事例だといえるでしょう。

NFTとお酒を交換せず、価値が上がったタイミングでマーケットプレイスで転売することもできます。ユーザーとしても実物のボトルを管理する必要がないため、手軽にウイスキー投資などができる環境となっています。

公式サイトには、パートナーシップに関する専用メールアドレスが記載されています。お酒を製造している事業者の方は、Blockbarの利用を検討してみてもよいでしょう。

Blockbarの詳細情報を知りたい方は、お酒専門のNFTマーケットプレイス「Blockbar」の特徴や仕組み、使い方などを徹底解説もあわせてチェックしてみてください。

雷鳥

画像引用元:NFT日本酒「雷鳥」

「雷鳥」は、NFTアートと紐づいた日本酒を販売する合同会社VUIKUのプロジェクトです。それぞれのボトルには、唯一無二のNFTアートが印刷されたラベルが貼られています。

NFTアートは合計で1,152通り作成されており、NFTと同じ数だけの日本酒が販売されています。つまり、唯一無二のNFTアートとともに、日本酒を楽しめるプロジェクトだといえるでしょう。また、日本酒を飲み終わった後も、NFTアートの観賞やOpenSeaなどのNFTマーケットプレイスでの販売が可能です。

しかし、NFTの活用方法としては、メインの商品(お酒)のオマケとしてNFTが付属するようなものです。本質的には、ビックリマンチョコのシールや、雑誌の付録の域を出ないプロジェクトのように感じられます。

話題になったプロジェクトであり、売上も記録していますが、適切なNFTの活用事例だとはあまりいえないかもしれません。

雷鳥に関する情報をさらに詳しく知りたい方は、NFTアートと紐付いた日本酒「雷鳥」とは?特徴から購入方法までを解説も確認してみてください。

酒輪

画像引用元:酒輪 shrin|和魂プロジェクト

「酒輪」は、日本テクノロジーソリューション株式会社が主導する、NFTを活用したお酒造りのプロジェクトです。特定の酒蔵の商品のみを販売するのではなく、様々な蔵元と一緒に商品企画を行い、お酒の販売を行います。

酒輪では、NFTを事前予約票のような形で活用しています。具体的には、実物のお酒と交換できるデジタルラベルを先行販売し、購入者が飲みたいタイミングでお酒を取り寄せられるシステムを構築しました。

NFTを先行販売することで、事業者側は事前の資金調達と販売先の確保ができ、質のよいお酒作りに専念できるメリットがあります。また、あらかじめ資金調達ができることで、これまで管理費やキャッシュフローの面で難しかった日本酒の熟成酒、古酒の製造に挑戦できる可能性もあります。

ただし、事業者側にとってはメリットの大きいNFTの活用方法ですが、ユーザーとしては一般的な事前予約と何ら手続きは変わりません。むしろ、先に購入代金を支払わなければいけない点はデメリットともいえます。

酒輪公式サイトでは、お酒を飲んだ後もデジタルラベルが記念として残るメリットを強調しています。しかし、ユーザーの立場からすると、必ずしもNFTを活用する必要はないようにも感じられます。

なお、酒輪に関しては、和魂プロジェクト「酒輪」が日本酒業界と伝統産業にもたらす可能性は?の記事でも詳しくご紹介しています。

喜界島酒造

画像引用元:くろちゅうみそーり黒糖焼酎の喜界島酒造株式会社トップページ

鹿児島県の喜界島にある黒糖焼酎メーカー「喜界島酒造」は、酒類輸入業のジャパンインポートシステムと提携し、2021年からラム酒の製造を開始しました。

ラム酒の販売の際にはNFTを活用するとしており、実物のお酒を受け取れる権利をNFTで小口化販売する計画をしています。お酒は一定の熟成期間を経てから、購入者の手元に届けられます。

また、ラム酒は熟成期間が長くなると味わいがまろやかになり、価格も高くなる傾向があります。そのため、時間の経過とともにNFTの価値上昇が見込まれるでしょう。ユーザーはお酒が手元に届く前にNFTを転売し、利益を出すことも可能です。

他にも、熟成中の樽の管理状況(温度・湿度)をスマートフォンで共有することも計画しているなど、ユニークな取り組みを行う予定です。

NFTの販売は2023年中に行われるとのことで、まだ正式にプロジェクトがスタートしたわけではありません。しかし、熟成期間によるNFTの価値向上が期待できることや、樽の小口化販売、販売前の資金調達など、事業者・ユーザー双方にメリットがあるNFTの活用をしているといえるでしょう。

お酒にNFTを活用する4つのメリット

ここまで、お酒業界におけるNFTの活用事例を国内・海外別にいくつかご紹介してきました。

最後に今回の活用事例からわかった、お酒にNFTを活用する4つのメリットを確認していきましょう。

  • 事業のキャッシュフローが安定する
  • お酒の販売先を事前に確保できる
  • 小口化して販売できる
  • お酒の取引の流動性が高まる

事業のキャッシュフローが安定する

お酒にNFTを活用することで、事業のキャッシュフローが安定するというメリットがあります。ここまでの事例でもご紹介した通り、まだ完成していない、もしくはこれから熟成させるお酒をNFT化して販売することで、早期の資金調達が可能となります。

基本的にお酒は、原材料の買い付け〜製造〜熟成〜販売と資金回収までの期間が長く、資金繰りが難しい業種です。しかし、NFTを活用することで事前に資金調達ができるため、キャッシュフローが劇的に改善する可能性があるでしょう。

資金繰りのために借り入れていた銀行への利払いや、資金調達の事務手続きをなくせる点もメリットの一つです。

また、NFTでの資金調達が可能となったことで、これまでキャッシュフローの問題で難しかった日本酒の熟成酒・古酒に挑戦するようなプロジェクトが出てくる可能性があります。

お酒の販売先を事前に確保できる

プロジェクトによってNFTの活用方法に違いはあるものの、多くの場合はNFTとお酒を1:1で交換できるケースが多いです。

つまり、NFTを販売した時点でお酒の販売先を確保したのと同義であり、事業者としては大きなメリットとなります。販売先を確保することで過剰在庫を防げるため、より効率的な経営ができるでしょう。

販売するまでに長い期間や保管費用が発生する酒造業者だからこそ、NFTを活用するメリットは非常に大きいです。

小口化して販売できる

NFTを活用することで、お酒の小口販売ができます。具体的には、ウイスキーやラム酒などの熟成酒の樽を小口化して販売しているケースが多いでしょう。

小口化することで販売単価を下げられるので、多くのユーザーがお酒を購入・投資しやすい環境を提供できます。

これまでにもウイスキー樽などを共同購入する事例はありますが、共同で購入してくれる方を探さなければいけないという手間がありました。

しかし、事前にNFTで小口化すればそういった手間は必要ありません。個々の購入者の所有権も明確になるため、ユーザーとしてもメリットが大きいです。

お酒の取引の流動性が高まる

お酒 × NFTのメリットとして、お酒の取引の流動性が高まることも挙げられるでしょう。

例えば、投資の一種として注目されている「ウイスキー投資」ですが、他の金融商品と比較すると取引の流動性が低いという問題点があります。

しかし、NFTという形でトークン化すれば取引が簡略化され、流動性が大きく向上する可能性があります。特に、「Blockbar」のように実物のボトル管理までしてくれるプラットフォームを利用すれば、ユーザーがボトルを管理する手間がなくなり、手軽にウイスキー投資ができるようになるでしょう。

二次流通時のロイヤリティを設定しておけば、NFTが活発に取引されることで事業者側にとっても新たな収入源になる可能性があります。

お酒業界におけるNFTの活用事例まとめ

今回の記事では、国内・海外のお酒業界におけるNFTの活用事例をいくつかご紹介してきました。現在、様々な企業がお酒 × NFTの取り組みを進めており、今後も多くの活用事例が出てくると考えられます。

特に、お酒はNFTとの相性が良いジャンルであり、NFTを導入することでユーザー・事業者双方にメリットがあります。しかし、NFTを適切に活用しなければ、無価値なデジタルデータを生み出してしまうだけです。

お酒の製造や販売をしている事業者の方は、ぜひ本記事でご紹介した事例を参考にして自社ビジネスにNFTを活用してみてはいかがでしょうか。

GM

gm

2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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