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教育業界におけるNFTの活用事例|NFTの活用によってどのような影響がある?

解説系記事

2021年頃から日本でもブームになったNFT(Non-Fungible Token)ですが、現在ではビジネス面での活用も徐々に進んでいます。専門学校や大学などの教育業界でもNFTを活用する動きが見られており、いくつかの活用事例が登場しつつあります。

この記事では、教育業界におけるNFTの活用に焦点を当て、活用事例をいくつかご紹介していきます。また、NFTの活用による教育業界への影響についても考察していくので、ぜひ最後までご覧ください。

教育業界におけるNFTの活用事例

早速ですが、教育業界におけるNFTの活用事例をいくつかピックアップしてご紹介していきます。以下の活用事例について、順番に確認していきましょう。

  • 東洋美術学校:次世代のデジタルアーティスト育成を目指す「NFT講座」を開設
  • OCA大阪デザイン&ITテクノロジー専門学校:全専攻にNFTカリキュラムを導入
  • 千葉工業大学:NFTを利用した学修歴証明書の発行
  • 近畿大学:「2023年近畿大学入学式 入学記念NFT」の発行

東洋美術学校:次世代のデジタルアーティスト育成を目指す「NFT講座」を開設

画像引用元:東洋美術学校、日本モノバンドル株式会社と連携して次世代のデジタルアーティスト育成に向け「NFT講座」を開設!

2022年1月7日、東洋美術学校は、NFTインフラサービスの「Hokusai API」を提供する日本モノバンドル株式会社と提携し、「NFT講座」を開設することを発表しました。講座を通してNFTやブロックチェーンの正しい知識を提供し、次世代のデジタルアーティストを育成することを目的としています。

具体的には、同学校のイラストレーション科・イラストレーターコースの生徒向けに、NFTについて学べる配信授業を行っています。また、日本モノバンドルが提供する「Hokusai API」を使ってNFTをミント(発行)するという体験まで提供しているため、学生としては実践的な知識を身に付けられるメリットがあるでしょう。

専門学校が正式な講座としてNFTの学習機会を提供し、学生のアーティスト・イラストレーターとしての可能性を広げる面白い取り組みとなっています。

画像引用元:東洋美術学校、サイバードと産学連携でオリジナルNFTジュエリーブランド『Bits Of Me』「2023 オータム/ウィンターコレクション」のデザインを担当

また、2023年12月には東洋美術学校の学生が、株式会社サイバードのNFTジュエリーブランド「Bits Of Me(ビッツオブミー)」のデザインを担当したことも発表されました。同学校では、NFTに関連する様々な活動を実施し、学生の教育・育成に取り組んでいることがよくわかります。

OCA大阪デザイン&ITテクノロジー専門学校:全専攻にNFTカリキュラムを導入

画像引用元:日本初、2023年4月より全専攻に「NFT」を導入開始。目指せ、NFTデジタルアートクリエーター!

2022年3月18日、OCA大阪デザイン&ITテクノロジー専門学校は、2023年4月から全専攻にNFTカリキュラムを導入することを発表しました。全専攻にNFTカリキュラムを導入するのは、専門学校として日本初の取り組みとなっています。

今後、大きな市場の拡大が見込まれるNFTのテクノロジーを身に着けることで、学生はクリエイターとしての価値を大きく高められる可能性があります。同学校の公式発表によると、学生が卒業後にクリエイターとして長く活躍できるようになるため、全専攻にNFTカリキュラムを導入したと説明されています。

画像引用元:OCA大阪デザイン&ITテクノロジー専門学校

また、NFTカリキュラムの特別顧問には、VRアーティストとして知られる「せきぐちあいみ氏」が就任しています。せきぐちあいみ氏は、NFTアートの制作にも精力的に取り組むVRアーティストです。過去には、1,300万円という高額で取引されたNFTアートを制作している実績もあります。

取り組みとしては始まったばかりですが、教育業界でもNFTに注目していることがよくわかる事例となっています。

千葉工業大学:NFTを利用した学修歴証明書の発行

画像引用元:国内初!千葉工業大学で学修歴証明書をNFTで発行

2022年8月18日、千葉工業大学は株式会社PitPaと共同で、NFTを利用した学修歴証明書の発行開始を発表しました。学修歴証明書をNFTで発行し、ブロックチェーン上に記録する取り組みは国内初となっており、学生は自分の学修歴を卒業後も永続的に証明することができます。

なお、NFTの発行にはPolygon(ポリゴン)ブロックチェーンが採用されています。学修歴証明書NFTは、他のユーザーに譲渡できない仕組みとなっているため、学位が市場で流通(売買)される危険性を排除している点も特徴だといえるでしょう。

関連記事:【譲渡不可能なNFT】SBT(ソウルバウンドトークン)を徹底解説

また、学修歴証明書などの個人情報をパブリックブロックチェーンに記録する場合、プライバシーの問題は避けて通れません。その点、千葉工業大学の取り組みでは、成績や単位などの情報はオフチェーンで保管する仕組みを採用しています。企業などの雇用側が学生の情報を照会したい場合にのみ、詳細な情報を閲覧できる設計にすることで、学生のプライバシーを保護しているといえるでしょう。

千葉工業大学は、今回の学修歴証明書NFTの発行により、学生が大学での学修履歴や成果を世界中にアピールし、就職活動や留学などに活用できるとしています。

近畿大学:「2023年近畿大学入学式 入学記念NFT」の発行

画像引用元:国内の大学初!近畿大学入学式で入学記念NFTを配布! 「個人の体験を価値化」するWeb3.0サービス『アプデミー』β版の提供開始

2023年3月28日、近畿大学は約8,000名の新入生を主な対象に、「2023年近畿大学入学式 入学記念NFT」を配布することを発表しました。

近畿大学と株式会社ODKソリューションズの共同で実施され、ODKが提供する「アプデミー」β版というWeb3.0サービスを利用した実証実験となっています。今回の実証実験を通して、NFTやWeb3.0の思想を取り入れ、学生の価値観に基づいたキャリア形成の支援を目指していくと公表されています。

関連記事:話題のweb3.0とは?NFTやメタバースとの関係性や分散型インターネットの概要を紹介

今回の入学記念NFTは、「アプデミー」β版の機能を用いたオリジナルNFTとなっており、2023年の新入生を対象に配布されました。また、NFTやウォレットに触れたことがない学生にも配慮されており、会場内のスクリーンなどに投影されたQRコードをスマホで読み取ることで、NFTを獲得できる仕組みが採用されています。

あくまで実証実験段階の取り組みではありますが、学生がNFTに興味を持つことで、今後のキャリア形成にも影響を与える可能性がある事例だといえるでしょう。近畿大学は、2023年8月にFiNANCiE(フィナンシェ)とも包括連携協定を締結しており、今後もWeb3.0を活用した取り組みを行っていくとしています。

関連記事:FiNANCiE(フィナンシェ)とは?クラウドファンディング2.0と呼ばれる特徴や仕組みを解説

NFTの活用による教育業界への影響を考察

ここまでNFTの活用事例をいくつか解説してきましたが、NFTは教育業界にどのような影響を及ぼしていくのでしょうか。以下の項目に沿って、NFTが教育業界に与える影響を考察していきます。

  • 学歴詐称を防止できる
  • 最新技術を学ぶことで学生の可能性が広がる
  • 学生の学習意欲の向上

学歴詐称を防止できる

NFTを活用することで、まず学歴詐称を防止できることが挙げられるでしょう。現在、主に転職市場などにおいて、学歴や経歴の詐称は大きな問題となっています。

しかし、学歴証明書や卒業証明書といった書類をNFTとして発行することで、情報がブロックチェーンに記録されるため、不正・改ざんすることはできなくなります。

今後、学歴証明書などをNFTとして発行する大学・専門学校等が主流になれば、学歴や経歴詐称の問題を解決できる可能性があるでしょう。

最新技術を学ぶことで学生の可能性が広がる

NFTを活用する影響の一つとして、学生が最新技術を学ぶことで、将来的な可能性が広がることも挙げられます。

ブロックチェーンやNFTは、まだ歴史が浅いテクノロジーではありますが、今後市場規模が拡大していく分野だとされています。これからブロックチェーン、NFTが本格的に社会で活用されることで、一般社会にも大きな影響を与えていくと考えられるでしょう。

そういった最新技術の学びを教育現場で提供することで、学生の視野が広がり、将来の選択肢も増えていくと予想できます。

学生の学習意欲の向上

教育業界でNFTを活用することで、学生の学習意欲が向上する可能性もあるかもしれません。

例えば、大学や専門学校などでの課題やタスクをクリアしたり、良い成績をおさめたりした学生には、その報酬としてNFTを配布するといった活用方法が考えられるでしょう。学生としても、NFTという目に見える報酬が配布されるため、より自分の学習成果を実感できるといえます。

また、単純にNFTを配布するだけでなく、NFTに対して学内で利用できる何かしらのユーティリティ(特典)を付与するという方法も有効になるかもしれません。具体的には、報酬として獲得したNFT(トークン)に対し、イベントチケットや特別講座の参加権として利用できる機能を付与するといった方法などが考えられるでしょう。

いずれにせよ、NFTの活用方法次第では、学生の学習意欲、モチベーションを大きく向上させられる可能性があります。

教育業界におけるNFTの活用事例まとめ

今回の記事では、教育業界におけるNFTの活用事例や、NFTが与える教育業界への影響などについて解説してきました。ご紹介したように、NFTをうまく活用していくことで、教育業界にポジティブな影響を与えられる可能性があるでしょう。

今後、NFTを利用していきたいと考えている教育業界の方は、他社の事例などを参考にして活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。

AMEHARE

AMEHARE

ITの最新トレンドを発信しはじめて十余年。Web2から3の時代の変革もいち早く察知し、2012年ごろから仮想通貨に注目をし始める。次世代の文化やテクノロジーを情報を掴みつつ、NFT・メタバース・DAOなどの領域であらゆる情報を発信中。
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