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鉄道 × NFTの活用事例を解説|鉄道会社がNFTを活用するメリットとは?

解説系記事

2021年から日本でも注目を集めているNFT(Non-Fungible Token)ですが、デジタルアートの枠を超え、様々なビジネスに活用され始めています。鉄道業界でもNFTを活用する動きが登場しており、今後もこの流れは加速していくと考えられます。

この記事では、鉄道業界におけるNFTの活用に焦点を当て、各社の取り組み事例をご紹介していきます。また、鉄道会社がNFTを活用するメリットについても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

鉄道業界におけるNFTの活用事例

早速ですが、当記事の本題となる鉄道業界におけるNFTの活用事例をいくつかご紹介していきます。以下の3つの活用事例について、それぞれ確認していきましょう。

  • JR九州:JR九州NFTプロジェクト
  • 株式会社デジタル・ミー:鉄道 × 地方創生ふるさと納税NFT
  • JR西日本:大阪環状線NFT駅スタンプラリー

JR九州:JR九州NFTプロジェクト

画像引用元:鉄道業界初!NFTプラットフォームを備えた「JR九州NFT」プロジェクト、始動!!

2023年5月9日、JR九州(九州旅客鉄道株式会社)は株式会社ピー・アール・オーと共同で、「JR九州NFTプロジェクト」の実施を発表しました。JR九州NFTプロジェクトとは、鉄道業界初となる「ユーザーに新しい価値や九州の楽しみ方を提案する」というNFTプロジェクトです。

具体的には、NFTをコンテンツの売買手段として利用するだけでなく、列車やバス、商業・宿泊施設などの利用に対してNFTを配布する計画をしています。つまり、ユーザーはJR九州のサービスを使うことで、それを「記念」「証明」する付加価値を持ったNFTを獲得できます。

また、「JR九州NFT」という独自のNFTマーケットプレイスも立ち上げており、そこでNFTを日本円で売買できます。今後は、保有するNFTの数量・種類に応じて、ユーザーが特典(ユーティリティ)を得られる仕組みの導入も予定されています。

JR九州NFTプロジェクトは、NFTを活用することで、ユーザーとのエンゲージメントを高めるプロジェクトだといえるでしょう。JR九州は、本プロジェクトを通して、ユーザーと多様な接点を築き、新たな関係性の構築を目指すとしています。

画像引用元:「JR九州NFT」販売第2弾! 西九州新幹線「かもめ」1周年記念NFTを販売!

すでにプロジェクトは開始されており、駅に訪れたことを記念するNFTの無料配布や、独自NFTの販売が行われています。2023年9月27日には、西九州新幹線「かもめ」の1周年を記念した独自NFTが販売されました。

なお、JR九州NFTプロジェクトでは、国内発のブロックチェーンであるAstar Network(アスターネットワーク)が採用されています。

関連記事:Astar Network(ASTR)とは?日本発パブリックブロックチェーンの特徴と最新事情について解説

株式会社デジタル・ミー:鉄道 × 地方創生ふるさと納税NFT

画像引用元:株式会社デジタル・ミー、先着40名限定で全国初『鉄道×地方創生ふるさと納税NFT』提供開始(2023年11月17日~)

2023年11月17日、地方創生に取り組む株式会社デジタル・ミーは、全国初となる鉄道を活用したふるさと納税NFTの提供を開始しました。今回のふるさと納税NFTは、兵庫県加西市を盛り上げるための地方創生プロジェクト「Kasai GO!」の第一弾として実施されています。

NFTの数量は40個限定となっており、同市に路線を持つ第三セクター鉄道、北条鉄道と提携する形で実施されました。寄付者には、北条鉄道が所有する「キハ40貸切団体列車」の往復乗車券と、北条駅で行われる貸切列車撮影会の参加権という2つの特典が付与されます。

また、乗車と撮影会の当日には、特別なヘッドマークを装着した列車が使用されることになっており、鉄道好きには嬉しい特典だといえるでしょう。鉄道とNFTを組み合わせた、ユニークなふるさと納税NFTの事例となっています。

関連記事:ふるさと納税 × NFTの可能性は?メリット・デメリットや取り組みをしている自治体の事例を紹介

JR西日本:大阪環状線NFT駅スタンプラリー

画像引用元:「EXPO 2025 デジタルウォレット」とJR西日本との連携企画 『大阪環状線NFT駅スタンプラリー』の実施

JR西日本(西日本旅客鉄道株式会社)は、ブロックチェーン関連事業を行う株式会社HashPortと提携し、「大阪環状線NFT駅スタンプラリー」を実施しました。スタンプラリーで発行されるNFTはHashPortの関連会社、HashPaletteが開発するPalette chain(パレットチェーン)上で発行されます。

関連記事:国内発のNFT特化型ブロックチェーンPalette chain(パレットチェーン)の概要や特徴をわかりやすく解説

今回のスタンプラリーは、2025年に開催予定の大阪万博に向けたイベントとなっています。ユーザーは、専用ウォレットの「EXPO 2025 デジタルウォレット」をスマホにダウンロードし、駅に設置されている専用2次元コードを読み取ることで、簡単にNFTスタンプを獲得できます。

NFTスタンプは、関西にゆかりのあるイラストレーター、アーティストがデザインを手がけており、今回のイベントのためだけに作成されました。また、全20種類のNFTスタンプを集めることで、自動的に「コンプリートNFT駅スタンプ」が付与される点も特徴的だといえるでしょう。

大阪環状線という鉄道を舞台に、NFTとスタンプラリーを組み合わせた、新たな体験を提供する面白い活用事例となっています。

鉄道会社がNFTを活用するビジネス面でのメリット

ここまで鉄道業界におけるNFTの活用事例をご紹介してきましたが、NFTを導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

記事の最後に、鉄道会社がNFTを活用するビジネス面でのメリットについて考察していきます。

  • 利用客の増加に繋がる可能性
  • 新しい収入源の確保

利用客の増加に繋がる可能性

鉄道会社がNFTを活用するメリットとして、まず利用客の増加に繋がる可能性が挙げられるでしょう。

例えば、前述のJR九州が実施している「JR九州NFTプロジェクト」では、駅や列車などのサービスを使うことで、ユーザーは「サービス利用を証明するNFT」を獲得できる仕組みが導入されています。また、NFTを収集することで特典(ユーティリティ)が得られるため、ユーザーには積極的にサービスを利用するインセンティブが働くと考えられます。

もちろん、提供する特典内容が重要になりますが、NFTをきっかけとして鉄道の利用客が増加する可能性はあるでしょう。また現状、NFTをビジネスに活用している鉄道会社は、まだまだ少ない状況です。NFTを活用することで、ユーザーに新たな体験を提供し、顧客満足度が向上するメリットも挙げられます。

JR西日本が実施する鉄道NFTスタンプラリーに関しても、全国的にはめずらしい取り組みであるため、利用客(観光客)の誘致に繋がる可能性があります。また、北海道が開催した「縄文×NFT デジタルスタンプラリー」のように、集めたNFTスタンプを「周辺店舗での割引券」として利用するという活用方法も考えられます。これにより、周辺地域の活性化や、より価値のあるサービスをユーザーに提供できるかもしれません。

関連記事:世界遺産 × NFT|北海道が実施している「縄文×NFT デジタルスタンプラリー」のプロジェクトの詳細やメリットを解説

上記はあくまで一例ですが、鉄道とNFTを組み合わせることで、ユーザーに新たな価値を提供できると考えられます。また、NFTの活用によって自社の認知度が向上し、結果的に利用客の増加に繋がる可能性があるでしょう。

新しい収入源の確保

鉄道 × NFTのメリットとして、新しい収入源を得られることも挙げられるでしょう。独自のNFTを販売することで、通常の運賃以外の収入源を確保できる可能性があります。

例えば、株式会社デジタル・ミーが北条鉄道と提携して進める「鉄道 × 地方創生ふるさと納税NFT」は、一つの参考事例となります。一般ユーザーでは体験できない撮影会の参加権利や、特別乗車券を特典とすることで、鉄道ファンに新たな価値を提供し、かつNFTの販売収益を確保しています。

現在、日本全国にあるローカル鉄道線の多くが、経営不振に陥っているとされています。赤字が続く鉄道会社にとって、NFTが経営状況を改善する起爆剤になるかもしれません。

鉄道業界におけるNFTの活用事例やメリットまとめ

今回の記事では、鉄道会社によるNFTの活用事例や、鉄道会社がNFTを活用するメリットを解説してきました。まだ数は多くありませんが、大手の鉄道会社を中心に、NFTを活用する動きが登場しています。

今後、NFTやブロックチェーンの活用を考えている鉄道業界の方は、ぜひ他社の活用事例を参考にして、自社ビジネスへの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

GM

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2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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