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Blastとは?暗号資産業界で注目を集める利回り付きレイヤー2ブロックチェーン

解説系記事

Blastとは、現在の暗号資産(仮想通貨)コミュニティで注目を集めている、イーサリアムのレイヤー2ネットワークです。大手NFTマーケットプレイスBlur(ブラー)の創業者が開発しており、Blastのプラットフォームに資産をブリッジすると、自動的に利回りを得ることができます。

この記事では、Blastの概要・特徴や自動利回りが発生する仕組み、利用する上での注意点などを解説していきます。Blastに興味を持っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

Blastとは?

画像引用元:Blast公式Twitter

早速ですが、本記事の本題となるBlastの概要・特徴をご紹介していきます。以下の項目に沿って、それぞれ確認していきましょう。

  • Blurの創業者が開発するレイヤー2ネットワーク
  • ユーザーに自動利回りを付与
  • 大手のVC(ベンチャーキャピタル)から資金を調達
  • すでにTVLは約9億ドルを突破している

Blurの創業者が開発するレイヤー2ネットワーク

Blastは、大手NFTマーケットプレイスBlur(ブラー)の創業者である、パックマン氏によって開発されているレイヤー2ネットワークです。Blurは、OpenSeaを抑えて業界トップの取引高を誇る、最大手のプラットフォームとして知られています。

また、技術的にはOptimism(オプティミズム)が提供する、Optimistic Rollup(オプティミスティック・ロールアップ)という技術を採用したレイヤー2となっています。

関連記事:L2スケーリングへの移行とは?イーサリアムのネットワーク負荷対策を解説

Blastには、EthereumやSolanaなどでのプロトコル開発経験がある技術者も創業メンバーとして参入しています。ベンチャーキャピタルのY Combinatorや、イェール大学、MIT(マサチューセッツ工科大学)などの出身者も含まれており、経験豊富なメンバーによって開発されていると考えられるでしょう。

ユーザーに自動利回りを付与

Blastの特徴として、ユーザーに自動利回りを付与していることも挙げられます。詳細な仕組みは後述しますが、Blastに資金をブリッジすることで、ユーザーは時間の経過とともに利回りを獲得することが可能です。

画像引用元:Blast公式Twitter

デフォルトで利回りが付与されるレイヤー2は業界初であり、Blastが注目を集めている理由の一つだと考えられます。

大手のVC(ベンチャーキャピタル)から資金を調達

画像引用元:Blast公式Twitter

Blastは、大手VC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達に成功しています。具体的には、暗号資産業界を代表するParadigm(パラダイム)や、Standard Crypto(スタンダード・クリプト)などから、2,000万ドル(約28億円)もの資金提供を受けています。

暗号資産業界において、大手VCからの資金調達はプロジェクトの信頼性を測る一つの指標です。Blastには、力強い支援体制やパートナーシップがあるといえるでしょう。

関連記事:【完全版】暗号資産業界で有名なVC(ベンチャーキャピタル)15選まとめ

すでにTVLは約9億ドルを突破している

Blastは2023年11月21日にプロジェクトをスタートし、それと同時に完全招待制のEarly Accessを開始しました。Early Accessに参加することで、ユーザーはイーサリアムなどの資産をブリッジでき、利回りを獲得できます。

画像引用元:Blast公式Twitter

Blastは公式Twitterで情報発信をしており、2023年12月9日時点にて、TVLは約8億2,400万ドル(約1,150億円)、ユーザーは75,000人を突破したことを発表しました。

2023年12月20日現在、TVLは9億ドル(約1,260億円)を超えており、さらなる資金流入が継続しています。まだ始まったばかりのプロジェクトではありますが、多くのユーザーがBlastに注目していることがわかるでしょう。

Blastで利回りが発生する仕組み

Blastが大きな注目を集めている理由として、ユーザーが自動で利回りを得られることが挙げられます。ユーザーは、Blastのプラットフォームにイーサリアム、ステーブルコインをブリッジすることで、利回りを獲得できます。

ここでは、Blastで自動利回りが発生する仕組みについて、詳しくご紹介していきます。

イーサリアム:Lido

Blastでは、ユーザーがブリッジしたイーサリアムをLido(ライド)でステーキングする仕組みが採用されています。Lidoとは、イーサリアムをステーキングできるリキッドステーキングプロトコルです。

2023年12月20日現在、Lidoはステーキングされたイーサリアム全数量の約31.7%を占めており、最大手のリキッドステーキングプロバイダーだといえるでしょう。

画像引用元:Lido – Liquid Staking for Digital Tokens

Blastでは、Lidoで発生したステーキング報酬を、そのままユーザーに配布しています。時間が経過するごとに、ウォレット内のイーサリアムが増加する設計となっており、年利4.0%の利回りを獲得することが可能です。

ステーブルコイン:USDB

Blastにステーブルコインをブリッジすることで、同様に自動利回りが発生します。BlastではUSDT、USDC、DAIの3つのステーブルコインに対応しており、資産をブリッジしたユーザーにはUSDBというステーブルコインが配布されます。

関連記事:ステーブルコインとは?法定通貨などにペッグする暗号資産の特徴やステーブルコインの種類まで徹底解説

なお、USDBは、Blast独自のステーブルコインです。前述のイーサリアムと同様、時間の経過とともに、ウォレット内にあるUSDBの数量が徐々に増加する仕組みとなっています。

また、配布される利回りは、MakerDAOの米国債(T-Bill)プロトコルなどのRWA(Real World Asset)プロトコルで発生したものを源泉としています。Blast公式サイトによると、ユーザーはブリッジしたステーブルコインに対し、年利5.0%の報酬を獲得することが可能です。

関連記事:RWA(Real World Asset)とは?注目を集める現実資産のトークン化について解説

Blast Points(ブラストポイント)

BlastのEarly Accessでは、利回りに加えて、Blast Points(ブラストポイント)という独自のポイントを配布しています。ブリッジする資産の金額や、Early Accessに招待するユーザー数によって、もらえるBlast Poinsが変動する仕組みとなっています。

現状、Blast Pointsの具体的な利用用途はわかりませんが、Twitterなどでは「将来的なエアドロップに関係するのでは?」といった意見が見られます。Blastの公式情報によると、Blast Pointsは、2024年5月から請求(償還)できることが発表されています。

Blastを利用する際の注意点・リスク

Blastは、従来のレイヤー2にはない特徴を持っていますが、利用する上でいくつかの注意点・リスクがあります。

以下の3つの注意点について、それぞれ順番に確認していきましょう。

  • ブリッジした暗号資産はロックアップされる
  • 他のDeFiプロトコルのリスク
  • イーサリアムの中央集権化の促進

ブリッジした暗号資産はロックアップされる

Blastを利用する際の注意点として、ブリッジした暗号資産がロックアップされることが挙げられるでしょう。Blastは、2024年2月にメインネットのローンチを予定しており、メインネットの公開以降に資産の引き出しができるようになると発表されています。

そのため、相場が大きく下落した際などに、預け入れた資産を売却できないといったリスクが発生する可能性があります。Blastのプラットフォームに資金を預ける場合は、事前にそういったリスクを把握しておくようにしましょう。

他のDeFiプロトコルのリスク

前述の通り、Blastではユーザーがブリッジした資金をLidoやMakerDAOを使って運用する仕組みとなっています。そのため、ユーザーは実質的にLidoやMakerDAOのリスクを負っているといえるでしょう。

運用しているDeFiプロトコルでハッキングなどの問題が発生した場合、Blastのユーザーが損失を被ってしまう可能性があります。

イーサリアムの中央集権化の促進

Blastを利用することで、イーサリアムの中央集権化が促進される可能性もあるでしょう。先ほどもご紹介しましたが、現在ステーキングされているイーサリアム全数量の約31.7%をLidoが占めている状況です。

画像引用元:Dune Analytics

現在、イーサリアムネットワークにおけるLidoのシェアが増加しており、中央集権化の懸念が高まっている状況です。ある特定のノードが大きな影響力を持つと、ネットワークの分散性が失われ、単一障害点となったり、ハッキングの攻撃対象となるリスクが増加します。

Blastにイーサリアムをブリッジすることで、間接的にイーサリアムの中央集権化を促進してしまう可能性があるでしょう。

関連記事:リキッドステーキングプラットフォームLidoとは?イーサリアムに忍び寄る中央集権化の懸念についても解説

利回り付きレイヤー2ブロックチェーンBlastまとめ

今回の記事では、Blurの創業者が開発を進めるBlastについてご紹介してきました。Blastは、自動利回り付きのレイヤー2ネットワークということもあり、暗号資産市場で大きな注目を集めています。

プロジェクト開始から約1ヶ月でTVLが9億ドルを突破しており、大きな資金が集まっています。いくつかリスク面もありますが、今後のBlastの動向には注視していく必要がありそうです。

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2017年から仮想通貨投資を開始し、2020年から本格的にweb3.0の世界に参入。現在はフリーランスとして暗号資産やブロックチェーン、NFT、DAOなどweb3.0に関する記事を執筆。NFT HACKでは「初心者にもわかりやすく」をモットーに、読者の方々に有益となる記事の作成を行なっている。
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