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XRP価格急騰の背景は?SEC訴訟撤回観測やRLUSDリリースについて解説

解説系記事

2024年12月、XRPの価格が急騰し、時価総額で暗号資産(仮想通貨)市場3位を記録しています。背景には、元CFTC(米国商品先物取引委員会)議長によるSEC訴訟撤回の可能性示唆、リップル社のステーブルコイン「RLUSD」のリリース、XRPレジャー上での初のトークン化マネーマーケットファンド発表など、複数の重要な要因が存在しています。

本記事では、各要因の技術的・制度的意義を検証しながら、XRPの今後の展望について考察していきます。

XRPを取り巻く最新状況

XRPは2024年11月以降、大幅な価格上昇を記録しています。特に12月に入ってからの上昇が顕著であり、時価総額はテザー(USDT)を超えて第3位に到達。1XRPあたりの価格も2ドルを突破し、時価総額は1,000億ドルを超える水準となっています。

価格動向と時価総額の推移

XRPの価格上昇は、2024年11月初旬から始まっており、30日間の上昇率は300%近くに達しています。

引用元:CoinGecko

特に注目すべきは、この上昇がビットコイン(BTC)や他の主要暗号資産のパフォーマンスを大きく上回っている点です。7日間の上昇率が30%に達し、2ドル台という価格水準は2018年1月以来、約7年ぶりの高値となっています。

未決済建玉は12月初旬時点の価格で20億ドル相当を超え、市場参加者の関心の高さを示しています。これは、今後のボラティリティに対する期待感の表れともいえます。

関連記事:【時価総額TOP20】XRP(XRP)について徹底解説

SEC訴訟の経緯と最新動向

SECとリップル社の法的争いは、2020年12月にSECがリップル社を「無登録の証券販売」で提訴したことに始まります。2023年7月の地裁判決では、XRPの一般投資家向け販売については証券性が否定され、リップル社に部分的な勝利をもたらしました。

しかし、SECは2024年10月に控訴を提起しています。これに対し、元CFTC(米国商品先物取引委員会)議長のクリス・ジャンカルロ氏は、SECが訴訟を取り下げる可能性を示唆しています。

ジャンカルロ氏は「SECは法廷で勝てない訴訟を継続するのではなく、撤回を検討すべき時期に来ている」と指摘し、特に来年の政権交代による規制環境の変化を重要な要因として挙げています。

関連記事:SECとリップルの法廷闘争とは?暗号資産市場への影響や今後の動向を解説

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価格上昇の主要因を検証

現在のXRP価格上昇の背景には、複数の重要な要因が存在しています。以下、それぞれの要因について技術的・制度的な観点から詳細に検証していきます。

SECによる訴訟撤回観測の影響

SEC訴訟の撤回が実現した場合、XRPエコシステムにとって大きな転換点となることが予想されます。最も重要な変化として、法的な不確実性が解消される点が挙げられます。

これまではXRPの証券性を巡る議論が市場の不安要因となっていましたが、訴訟撤回によってこの問題が終結することで、多くの取引所がXRPの取り扱いを拡大する可能性があります。また、これまで法的リスクを懸念して様子見の姿勢を取っていた機関投資家にとっても、参入への大きな障壁が取り除かれることになります。

さらに、技術開発の面でも大きな進展が期待できます。規制上の立ち位置が明確になることで、開発チームはより自由度の高い技術革新に取り組むことが可能となります。

特に、企業間での連携がしやすくなることで、新たなサービスやソリューションの開発が加速すると考えられています。中でも注目されるのが、クロスボーダー送金分野での活用拡大です。XRPの高速な取引処理能力と低コストという特徴を活かした、国際送金の革新的なサービスが生まれる可能性が高まっています。

ステーブルコインRLUSDがローンチ

リップル社のステーブルコイン「RLUSD」が、2024年12月17日に正式ローンチを迎えました。

引用元:CoinGecko

ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から最終承認を受けたRLUSDは、米ドル預金、米国債、現金等価物による完全な裏付けを特徴としています。

特筆すべきは、独立系監査法人による月次のアテステーション(証明書)公表を通じて、準備資産の透明性を確保する点です。

技術面では、XRPレジャーとイーサリアムの両プラットフォームでの展開が予定されており、クロスボーダー決済における即時性と低コストでのトランザクション実現を目指しています。

初期段階では、Uphold、Bitstamp、Bitso、MoonPay、Independent Reserveなどの取引所で利用可能となり、B2C2とKeyrockがマーケットメーカーとして流動性を供給します。

リップル社は、NYDFSの限定目的信託会社ライセンス下でRLUSDを展開する戦略を採用しており、この厳格な規制対応は市場から高い評価を受けています。また、ラグラム・ラジャン元インド準備銀行総裁やケネス・モンゴメリー元ボストン連邦準備銀行第一副総裁といった著名な元中央銀行家を諮問委員会に迎え、プロジェクトの信頼性をさらに高めています。

このRLUSDの正式ローンチは、時価総額1,400億ドルのUSDTや400億ドルのUSDCが主導するステーブルコイン市場に、新たな選択肢をもたらすものとして注目されています。

関連記事:XRP(リップル)が計画するステーブルコイン事業を解説

XRPレジャー初のトークン化マネーマーケットファンド

英アーチャックスとの提携により発表された「XRPレジャー上で初のトークン化マネーマーケットファンド」は、金融市場に大きな革新をもたらす可能性を秘めています。このプロジェクトでは、英国の資産運用会社abrdnの38億ドル相当の米ドル流動性ファンドを活用し、リップル社も500万ドルの初期割り当てを行うことを表明しています。

この取り組みの最大の特徴は、伝統的な金融商品のデジタル化を通じて、機関投資家向けDeFiの実現を目指している点です。運用コストの大幅な削減が可能となり、従来の金融システムとブロックチェーン技術の融合における重要なマイルストーンとなることが期待されています。

注目される新たな展開

XRPを取り巻く環境は、ETF申請の動き、米国の政権交代に向けた期待感、そしてRLUSDのローンチと、大きな転換点を迎えています。これらの動きは単なる価格上昇要因というだけでなく、XRPエコシステムの発展において技術面、制度面の双方で重要な意味を持っています。

特に、ETF申請の増加は機関投資家からの注目度の高まりを示し、RLUSDのローンチはXRPレジャーの実用性を大きく前進させる要因となっています。

複数のETF申請の動き

XRPのETF実現に向けた動きが活発化していることも、XRP価格に大きく影響していると考えられます。米資産管理会社WisdomTreeはデラウェア州で法定信託を登録し、既存のビットコインETF運用で培った実績を活かした展開を目指しています。

また、BitwiseやCanary Capital、21Sharesなどの資産運用会社も申請に向けた準備を進めており、ETF市場におけるXRPの存在感が高まりつつあります。

トランプ政権下での規制環境変化への期待

引用元:ブルームバーグ

米国の政権交代に向けて、暗号資産業界ではより柔軟な規制環境への期待が高まっています。特にSEC新委員長人事による方針転換の可能性が注目されており、クリプトフレンドリーな環境整備が進むことで、機関投資家の参入促進や新規プロジェクトの活性化が期待されています。

また、規制環境の明確化により、グローバルな展開も加速する可能性があります。特に国際送金分野では、XRPの技術的優位性を活かした新たなサービスの登場が予想されています。

RLUSDの技術的優位性と市場への影響

RLUSDの導入は、決済システムに大きな革新をもたらす可能性を秘めています。既存の送金システムとの統合により、企業間決済の効率化やクロスボーダー取引の簡素化が実現できます。また、XRPレジャーの特性を活かした高速な取引処理により、従来のステーブルコインと比較して優位性を持つことが期待されています。

さらに、RLUSDの導入は新規ユースケースの創出にもつながります。取引所との連携強化や決済インフラの整備により、XRPエコシステム全体の価値向上に寄与する可能性が高いと考えられています。

今後の展望と課題

XRPは現在、価格面での大きな上昇を見せる一方で、エコシステムの健全な発展に向けてはいくつかの重要な課題に直面しています。

特に、RLUSDのローンチやトークン化マネーマーケットファンドの展開といった新しい取り組みを成功させるためには、技術面での継続的な改善と、グローバルな規制環境への適切な対応が不可欠です。

技術面での検討課題

XRPエコシステムの持続的な発展に向けて、いくつかの重要な技術的課題への対応が求められています。最も重要な課題の一つが、スケーラビリティの向上です。トランザクション処理能力のさらなる拡張や、ネットワーク負荷の分散化、処理速度の最適化などが必要とされています。

特に注目すべきは、グローバルな決済システムとしての安定性確保です。XRPレジャー上でのトークン化マネーマーケットファンドやRLUSDの導入に伴い、より高度な決済処理と透明性の確保が求められています。また、国際送金における信頼性の維持と監査体制の整備も、エコシステムの健全性を確保する上で重要な要素となっています。

こうした技術的課題に対しては、リップル社を中心とした開発コミュニティによる継続的な改善が進められています。特に、トークン化マネーマーケットファンドのような新しい金融商品の導入に際しては、セキュリティ面での万全な対策が講じられています。

規制環境の変化がもたらす影響

規制環境の変化は、XRPエコシステムに大きな影響を与える可能性を秘めています。グローバルな規制基準への適合や透明性の確保、投資家保護の強化といった要素は、今後のビジネス展開において重要な焦点となっています。

特筆すべきは、規制の明確化が新規サービスの開発を促進する可能性です。現在、多くの金融機関や企業がXRPの活用に関心を示していますが、規制の不確実性が導入の障壁となっているケースも少なくありません。規制環境が整備されることで、こうした潜在的なパートナーシップが具体化に向けて動き出すことが期待されます。

また、市場参加者の多様化も注目されています。従来の暗号資産投資家に加えて、伝統的な金融機関や機関投資家の参入が増加する可能性があります。これにより、XRPの流動性が向上し、価格の安定性も高まることが予想されています。

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XRP価格急騰の要因まとめ

XRPの価格急騰の背景には、SEC訴訟撤回の可能性、RLUSDの新規リリース、ETF申請の動きなど、複数の重要な要因が存在しています。特に技術面では、トークン化マネーマーケットファンドの導入やRLUSDの開発など、実用的なイノベーションが進展しています。

今後は規制環境の変化とともに、さらなる技術革新や市場拡大が期待されます。ただし、スケーラビリティやセキュリティなどの技術的課題への対応も重要となっています。XRPエコシステムが持続的な成長を実現するためには、これらの課題に適切に対応していくことが求められます。

特に注目すべきは、技術開発と規制対応の両面でバランスの取れた発展を目指している点です。リップル社の取り組みは、暗号資産業界全体のモデルケースとなる可能性を秘めており、今後の展開が広く注目されています。

Sparrow

Sparrow

フリーランスのWebライター。ブロックチェーンの非中央集権的な世界観に惚れ込み、暗号資産・NFT・メタバースなどのWeb3領域に絞って記事を執筆。自らの暗号資産投資やNFT売買の経験をもとに、難しいと思われがちなブロックチェーンについて、初心者にもわかりやすい記事を書くことを心がけています。好きなNFTクリエイターは「おにぎりまん」氏。
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